表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
カミあわないフタり  作者: 木下秋
over flow
2/30

女子生徒Aの証言 (1)

 磯村君? あぁ、そうね。確かに最近は元気そう。あんまりお話は上手じゃないみたいなんだけど、悪いコじゃないからね。高橋君とか、二見フタミ君とかと仲良いみたい。ホラ、あのコらってオタクっぽいでしょ? だから気が合うのよ。



 ーーうん、なんかね、尾下オサガ君って知ってる? そう、あの背が高くてちょっと怖い顔した人。ーーえ、ああいうのがタイプなの? まぁとにかくね、その尾下君が磯村君の為に動いてあげてたの。


 磯村君の事を虐めてた田村君とか松田君達って尾下君と一年の時同じクラスだったから仲良かったんだけど、尾下君は田村君達が磯村君のことをからかうのがイヤだったみたいなのね。それで注意したんだけど、そのせいで仲間外れにされちゃって。もう完全に無視。尾下君大きい声でよく笑ってたのに、笑わなくなっちゃってね。浮いちゃって、いたたまれなかったわぁ。


 それでも彼は田村君達が磯村君を虐めてたりするとヤメロって止めてて。……彼、身体が大きいでしょ? 運動もできるし。田村君達も手が出せなくて、注意されると「行こうぜ」って。無視してどっか行っちゃう感じ。


 でも虐めは無くならなかったの。尾下君が見てないところで田村君達は磯村君のことを虐めてて、他のクラスのコ達もオドオドする磯村君を面白がっちゃって。普通そんな時は担任の先生が注意するべきじゃない? でもホラ、ウチの担任はあの湯川だから。アイツ見て見ぬ振りしてたのよ。大人しい生徒にはキビしいクセに、不良には手が出せなかったのよ、アイツ。噂では教頭先生が今度退職するから次の教頭の座を狙ってたらしくて、面倒事は特にその時期避けたかったみたいね。ピリピリしてたもん。


 無視を決め込んでた湯川だったんだけど、尾下君は何度も磯村君への虐めを止めさせるように説得してて、それでいよいよ湯川も機嫌悪くしちゃって。「証拠はあるのか?」ってイライラした感じで言ってる場面、私見たことあるの。アイツまで尾下君の事無視するようになったんだけど、そこで尾下君は何をしたのかというと、磯村君が虐められてるその場面を携帯で撮ったみたいなのよ。ーーねぇ。大胆な事するよね。これは尾下君から直接聞いたんだけど、それは早稲田君からの助言があったからなんだって。「隠し撮りしろ」って。早稲田ワセダ君ってそういう事言うタイプなんだ、ってビックリしちゃった。知らない? いっつも本読んでるコ。前髪長いの。めっちゃ頭良いし真面目でイケメンなんだけど、誰とも仲良くしないのよ。ほとんど声聞いたことも無いわ。


 それで尾下君「これが証拠だ」って湯川に突きつけたんだけど、湯川は屁理屈つけてその携帯を没収しちゃったの。別に携帯持ち込み禁止な訳じゃ無いのにさ。ーーそう、アイツに没収されたら返ってこない。証拠隠滅、ってワケね。


 ーーじゃあ、どうしたのか。そう、そこが謎なのよ。わからないわ。尾下君に聞いても「それは教えられない」って言うの。携帯を没収されてるところはミキが職員室でたまたま見てたから間違いないのよ? それが週が明けたら尾下君の元には携帯が戻ってて、田村君達は停学、磯村君は虐められなくなって、湯川は意気消沈、って感じでおとなしくなって、アイツに没収されてたものが全部みんなの元に戻った。



 …………まさか、ね。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ