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こんな夢を観た

こんな夢を観た「3Dグラフィックスで遊ぶ」

作者: 夢野彼方

 パソコンで3Dグラフィックスを始めた。思っていたよりも、ずっと簡単だ。わたしは夢中になって、「航空機」の制作を始める。


 ところが、ちょっと困ったことになった。

 出来上がった航空機は大きすぎて、画面の中でパンパンなのだ。

 

 どうしたものかと考えているうち、モニターからぐいぐいとはみ出してくる。

 これはまずい、と慌てて手で押し込もうとするが、何しろ相手は航空機だ。人間の力ではどうにもならない。とうとう、すっかりこちら側に出てしまった。

 仕方がないので、窓を全開にし、航空機を外へと追い出した。航空機は、まるで風船のようにふわりと宙を漂いはじめる。


 街じゅう大騒ぎになるだろうな。わたしは心配になった。全長が数十メートルもある巨大な航空機が、いきなり上空に現れたのだから。

 けれど、道ゆく誰1人として気にする者がない。

「ははあ、あれが3Dグラフィックスだとわかってるんだな」わたしはそう合点する。


 とはいえ、このままでは邪魔になる。そのうち、苦情の電話も来るかもしれない。十分に楽しんだのだから、そろそろ消去しておくか。

 わたしは、3Dグラフィックス専用の消しゴムを手に、ベランダに出た。手すりに足を掛け、えいっ! と航空機に飛び乗ると、手の届く所からゴシゴシと消し始める。


 この作業はたやすいことではなかった。

 まず、航空機は大き過ぎた。せめて戦闘機にしておけばよかった、と今さらながらに後悔する。

 さらに、これは3Dグラフィックスなので、「面」を消した後、ワイヤー・フレームを形作っている「線」も消す必要があった。それをしないと、すっかり消したことにはならないのだ。


 汗をかきかき、大部分を消し終える。残念ながら、完全にというわけにはいかなかった。3Dグラフィックス・ソフトのバグかもしれないが、部分的に残ってしまっていた。

 残った部分は洗濯機にそっくりだ。脱水槽にはそうめんが水切りされて置かれていた。

 動いて空腹だったので、そうめんをザルに取って、昼食代わりにする。

 脱水しただけのことはあって、きれいに水分が飛んでいた。味も悪くはない。

 ほのかに洗剤の香りがしたが、それくらいは我慢しよう。

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