episode2
出し物が決まった翌日のホームルーム。さっそく若葉は女子達の着せ替え人形と化していた。どこから持って来たのかという程の大量の衣装達。様々なメイド服やゴスロリ、チャイナ服まで。ウィッグもロングを中心にいろんな髪型が揃っていた。
「...チョット、まさかコレ全部オレが着るわけ...?」
と、着せ替えが始まる前、若葉が恐る恐るクラス委員長に尋ねた。すると、彼女は目をこれでもかと見開き、「何を言っている?」と言わんばかりの表情を浮かべた。
「佐倉君。クラス優秀賞は君にかかっていると言っても過言では無いのよ?そのためにはお客様に喜んでもらえるようにいろんな姿を見せる必要があるの。おわかり?」
「...わからない。わかりたくない。」
クラス委員長は「もう!ワガママ言わない!」と若葉の背中をバシバシと叩く。そうして若葉は彼女達の着せ替え人形となったのであった。しばらくいろんな衣装を着せられていると、ホールキャストのネームプレートを作っていた女子がキャッキャと騒ぎながらこちらに近づいてきた。
「佐倉君のネームプレートメッチャ可愛く出来たよ!」
「...ちょっと待って。何コレ?」
「何って?」
若葉の疑問に女子はキョトンとしていた。
「オレの名前"佐倉"だよ?...何"桜"って...」
「えぇー、可愛くて良いじゃん!"桜ちゃん"!」
「おぉ!メッチャ良いじゃん!佐倉、マジで女子にしか見えねぇし、学園祭の間は"桜ちゃん"でいこうぜ!」
女子に乗っかって、男子のクラスメイトまでテンション高く近寄ってきた。
「それにホラ。廊下見てみ?佐倉...いや、桜ちゃん見たさに他クラスの奴らが見に来てるぜ?」
「...え?」
そいつに言われて廊下に目をやると、他クラスの女子や男子が若葉のクラスの廊下に集まってきていた。中には「あんな可愛い女子このクラスにいたか?」と言う輩もいた。そんな様子を見てクラス委員長は「ふふふっ」と小さく笑い、「計算通り!!」と声高らかに言った。
「言ったでしょ?佐倉君は立派な"客寄せパンダ"になれるのよ!今の状況で立証出来たでしょ?自信持って!"桜ちゃん"!」
「...こんなので自信持ちたくないよ...」
若葉は今のロングヘアーのメイドさん姿で項垂れた。鏡がある訳ではないので、若葉は自分の姿が見れていない。コンプレックスである女顔が褒められているようだが、嬉しくない。
「さて!これであとは店作りやメニュー開発に力が入るわぁ!」
クラス委員長は若葉の様子に満足して、他の女子に若葉を任せ、ルンルン気分でほかの準備に取りかかりに行ったのであった。




