episode1
学校行事の花形と言えば、学園祭だ。1年生にとっては入学して初めての学園祭なので、どのクラスもテンションが尋常でなく上がっていた。それは若葉のクラスも例外ではなく、出し物を何にするかで白熱していた。若葉はさほど興味がなく、ぼう、と外を眺めていた。だがそれがよくなかった。気づいた時には、出し物は喫茶店。若葉の担当はホールキャスト。若葉は血の気がサァっと引き、大声で「ムリムリ!」と声を上げ立ち上がった。しかし、クラス委員長はそんな若葉の元へと行くと、ヒョイっとメガネを取り上げた。
「佐倉君。君の可愛らしさを活かして是非とも客寄せパンダになっておくれよ。大丈夫。当日は可愛らしさを倍増させてあげるから。」
「問題はそこじゃないよ!と言うかメガネ返して!オレが客寄せなんてなる訳ないだろ!」
若葉は反論するが、教室中から「そんな事ないよ!」「佐倉君の可愛さは女子も負けるよ!」と声が上がった。
「クラス満場一致で佐倉君はホールキャストだよ。当日はコンタクトにしてもらうよ?異論は認めない。私の言葉は絶対だよ。」
クラス委員長はそう言うと若葉の肩をポンと叩き、手をとりその手のひらにメガネを置いた。若葉はガクッと肩を落とし静かに座った。
「佐倉ドンマイ!あの委員長の事だから、きっと女装させられる事間違いなしだな!」
「笑顔でとんでもない事言わないでよ...。そこは考えないようにしてたんだから...。」
後ろの席のクラスメイトから恐ろしい事を言われ、若葉は一気に学園祭が億劫になってしまった。
「...オレ、学園祭休もうかな...」
「佐倉君!それは絶対ダメよ!アナタは金もうけ...ゲフンゲフン。クラスになくてはならない存在なんだから!」
「...嬉しくないよ...」
若葉はどうしても逃げられないと悟り、諦めることにした。
「...もう好きにして...」
「皆!聞いたね?!言質とったよ!」
その言葉をかわきりに、クラスが「うおぉー!」と盛り上がった。
「クラス優秀賞は我らが1-3がとるわよ!」
「「おぉー!!」」
「ハァ...」
若葉はクラスの熱気についていけず、机にうっつぶしたのであった。




