最後は塵になろうとも俺は自転車を走らせる。

時間が停止している世界で俺は自転車を走らせる。

此の世界で俺が動かせる乗り物は自転車だけだからなんだけど。

俺の周囲２メートル程にある無機物だけが、停止した世界で動ける俺と同期できるからだ。

俺以外の人、否、動物も鳥も何もかもが停止している世界で動いているのは俺だけ。

時間が停止する前、ニュースを見ながら犯罪者なんて全員死刑にしてしまえって思ってたら、その願い叶えてやろうって声が頭に響いたんだ。

必要な時間を与えてやるから自分で行え、正し、代償も必要だぞって言われる。

え？と思った時には俺以外の全ての物の時間が停止していた。

だから俺は自転車で全国を巡って、犯罪者や糞だと思う奴等が死ぬように仕向けている。

仕向けているってのは、世界の時間が動き出した途端に処刑されるのさ。

例えば、走行中に時間が停止した電車や大型トラックの前に横たえたり、高層ビルの屋上に落下するような体勢で座らせたり、刑務所や拘置所の中にガソリンを撒き散らし時間が動き出すと火が点くようにしたりだ。

当然だけど高層ビルの下にいる人たちが巻き添えにならないように退かしたり、刑務所や拘置所の刑務官は全員外に退避させたりしているよ。

犯罪者や我が物顔で屯している外国人に自衛隊の基地や駐屯地前で憲法違反だとか叫んでる共産主義者の奴等、此奴を見つけては時間が動き出した途端にくたばるよう仕向けてる。

あとは熊の駆除に反対を叫んでる奴等、ああいう奴等はネットや電話で抗議するだけだから１人１人特定できないんだけど有名人なんかで反対してた奴は特定できてるんで、家でまったりしているそいつの前に罠に掛っていた熊を運び込んだりした。

人と違って重くて凄く苦労したけど、駆除反対を叫んていたんだから時間が動き出したら目の前にいる熊に喜んでくれると思うんだ。

１つだけ心残りがあるとしたら、その処刑を俺自身の目で見ることができないって事だな。

それが神だか悪魔だか知らないけど、俺の思いに応えてくれた奴が言っていた代償だから。

時間が停止してる世界で動いている俺は、人の数万数十万倍の時間を生きている訳だから時間が動き出した途端に塵になるんだ。

まぁ全国を巡っていて見つけた、好みの若いピチピチギャルの巨乳ちゃんのそのふくよかな巨乳に顔を埋めさせて貰って、エヘエヘ出来たから良しとしよう。

そして沖縄や離島を除く全国を巡り家に帰って来た俺は、「もういいよ」と呟き塵になった。