表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

45/59

45話:天使と初めての激痛

 アギトが剣の刃を見たままで、ちゃんと話を聞いてくれていないので少し不満げに声をかける。


「真面目な話なんだよ、ちゃんと聞いてくれ」


「わかったよ、まったくお前の話で真面目なことなんてほとんど――なっ!?」


 服を脱いでいる俺を見て驚いているが、そんなことよりもちゃんと話を聞いてほしくて服を着ろとかなんで脱いでるんだと叫ぶアギトを無視して話を進める。


「いいから気にしないでくれよ、僕の腰あたりに――」


「だから服を着ろ! 頼み事とか言ってなんで脱いでるんだ、そもそもお前は男の前で当たり前のように脱ぐようなところが女らしくないと――!」


「いいから先に話を聞いてくれ! 別に変なことをお願いしようとしているわけじゃないから!」


 話を進めようとしても遮るアギトを大声で黙らせた。

 悪いけどいまは裸とか気にしてる場合じゃない、カレン達がいつ帰ってくるかもわからないし短い時間ですませるため強引に喋らせてもらう。


「本当に真面目な話なんだ……僕の腰あたりを見てくれるかい?」


「腰辺り……これは、羽なのか?」


 近づいてきたアギトが俺の体を見て出かけている羽を見つめる。

 アギトに確認してもらって、俺の体に羽が一体化していることを確信した。あとは手伝ってもらってこの羽を詰まっている腰から引きずり出さないといけない。


「理解しがたいとは思うけど、羽が詰まって出なくなったんだ。だからちゃんと出すのを手伝ってほしい」


「事情はわかったがなんで俺なんだ? カレンとかエナに頼めばよかったんじゃ」


「それがかなりきつそうで、アギトが一番力が強いだろう?」


「もしかしてだが、アルタイルで空を飛んでたっていうのは……」


 まずい、誤魔化していたことを思い出されてしまった。

 でもいまはそんなことで怒られてるわけにもいかないので話題逸らしてまた強引に進ませてもらう。


「それも後で説明するからとりあえず手伝ってよ、裸のままじゃ風邪引いちゃう!」


 適当に言い訳をしたが焦っていることを察してくれたアギトがベットに昇ってくる。

 俺も腰に力を入れやすいよう四つん這いになってアギトに尻を向けて待っていると、まだ半信半疑なのか恐る恐る腰に触れられた。


「んっ……!」


 装備を外していないアギトの手は冷たく、素肌を触られた俺は雪が服の中にはいっときな感じで勝手に体が反応してしまう。


「変な声出すな、誰かに聞かれたらまずいだろうが!」


「じゃあ手の装備を外してくれよ、冷たいとびっくりするんだからっ!」


 そう言うと渋々ながらアギトは篭手を外して戻っきて、もう一度触れてくる。


「まさかとは思っていたが、本当に天使の羽なのか?」


「正真正銘本物のだよ、だから丁寧に触れてね」


 本当はただの装備アイテムなんだけど、たまたま見た目が良くてつけてたのが白い羽だったからより天使の羽っぽくなっているのでそう説明した。

 下手に強く引っ張られるのも怖いし、とにかく丁寧にどうにかして欲しい。


「強いのは認めていたが、天使が本当だったとはな……」


 理解してくれたのかアギトの触れる手は丁寧で優しい。ただその分触れるか触れないかギリギリの距離感で腰をなぞっているから、今度はくすぐったくて体が勝手に手をよけようとしてしまう。


「あっ……ちょっと、くすぐったいよ……!」


「す、すまん。本物の天使の羽だと思うと、俺が触って良いのか不安で」


「天使本人がいいって言ってるんだから遠慮なく触ってくれ、そんなおっかなびっくり触られても逆に怖いよ」


「わかった。それでこの羽を引っ張り出せばいいんだな?」


「そうだよ、でも無理やりとかやめてね」


 今度はしっかりと羽周りを掴んだアギトの手に力が入る。それに合わせて俺も腰に力が入り――二人とも羽を出す準備ができた。

 できるだけ痛くないよう頼むが、アギトは触れてみてかなり力がいると思ったのか多少は我慢しろと諭される。


「じゃあいくぞ――せーのっ!」


「――〜〜〜〜ッ!?」


 アギトの掛け声で羽を出す感覚で力を入れるが、引っ張られる痛みが背中全体を襲い我慢できず俺の口から絶叫を超えて言葉にならない声が飛び出た。


「全っ然出てこねぇぞ!」


「いだだだだ! 痛い痛い痛い痛いっ裂ける! 背中裂けるっ!」


「我慢しろって言っただろ! 思いっきりやってんのにお前が引っ込めようとするから全然出せないんだよ!」


 そうは言われても想像を絶する激痛があるのだから逃げてしまうのもしょうがない。

 全身小指になってタンスの角にぶつかったみたいだ、少しは痛みがあるだろうと覚悟していたがこんなに痛いだなんて思っても見なかった。


「少し出てきたぞ、この調子だ!」


「いいっぐうう……! 裂けてるだろこれ、裂けたんじゃないか!?」


「裂けてくれるなら裂けてくれたほうがいいっ!」


「なんでそんなこと言うんだ!?」


「穴が広くなるだろ?」


 絶対裂けるな俺の体!

 アギトのやつ最悪背中穴が開いてもいいと思ってやがる、そんなバッドエンド迎えてたまるか!


「お前も痛がってないで踏ん張れ、もう少しだ!」


「ひいぃ! 痛がる奴相手に踏ん張れなんてこの悪魔ー!」


 だがずっとこのままでは気を失ってしまいそうなので力を振り絞って羽を出そうとすると、バサッという音とともに白く大きな羽が抜け落ちた羽を舞い散らしながら体の外へ出ていった。


「うおっ!?」


 勢い余ったアギトがベットから落ちかけ、ギリギリのところで体勢を立て直して体をベットの上へ戻す。

 さっきまで感じていた激痛は多少ヒリヒリする程度まで収まっており、俺も自分の体から飛び出した羽――というより翼と言っていいそれを見て驚いていた。


「はぁ……はぁ……これが天使の羽なのか?」


「そうだけど、前よりなんか大きくなってるような? 羽もこんなに抜け落ちてるし……」


 ゲームじゃ装備品だから羽が抜けるとか手入れをしなければいけないなんてことはなかったはずだが、これは体を一体化したせいなのだろうか。感覚的にまるで神経が繋がっているようにも感じるし、自分の意志で少し動かせるようになっていた。


「……換毛期?」


「鳥じゃあるまいしそんなことあるもんかっ!」


「だが抜けた羽が詰まってたみたいだぞ、自分の体なら手入れぐらいしてなかったのか?」


「それは……してなかったけど」


 そもそもする必要がなかったのだから経験どころかそんな考えがなかった。

 これからは定期的に羽を出して抜け毛をブラッシングするみたいなことをしなければいけないのだろうか、それは面倒かもしれない。


「とりあえず三人が帰ってくるまで羽を片付けないとな、お前も手伝えよ」


「わかったよ、ああ痛かった……」


 立ち上がってベットを下りると、上裸だったのを忘れていたので正面向きで目が合ったアギトがさっきまでの俺ぐらい絶叫してしまった。

『面白い』『続きが気になる』など思っていただけたら評価やブックマーク、感想などいただけると励みになります!

よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ