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37話:天使と魔王

 空中で体勢を立て直した俺は、近くにいたカレンとローゲンを抱えて羽を広げ着地する。

 遅れてアギトがビクティを、シャルルがグレイを抱えて落ちてきた。


「"クッションバブル"」


 落下地点に泡を発生される魔法を設置して落下ダメージから全員を守ったが、あきらかにやばい状況だ。

 吹き飛ばされる寸前にビクティが言っていた"蟲毒王カルナ"、これはアセンブルで数か月前にレイドボスとして登場していた魔王の名前だ。

 アセンブルのレイドイベントはほぼエンドコンテンツ。レベルは当然マックスだし魔王ならではのパッシブスキルや熟練プレイターでも対策必須の魔法が揃っているはず。


 正直本当にカルナが相手なら、勝てる可能性はない。


「全員無事かい!?」


「ビクティさんが気を失っている……外傷は少ないが魔力に当てれたようだ」


 ビクティ以外は怪我もほとんどなく大丈夫そうだが、まずは相手が本当に魔王なのか確認しないと。

 今すぐ逃げてもいいが、魔王だったとして町に逃げ込んだら町が滅ぼされる。


「エナさん! エナさん聞こえるか!?」


 シャルルが地下にいるエナに呼びかけるが返事がない。おそらくギルドのときのように体を乗っ取られて魔族になってしまっているのだろう。

 こうなったら反魂はできない、どうすれば……。


「エナ……それがこの女の名か」


 まるで浮遊するかのように、軽いジャンプでエナの体を乗っ取ったカルナらしき魔族が地上に姿を表す。

 肌に感じる魔力は異常の一言で、確認するまでもなく目の前にいるのが魔族の王――蠱毒王カルナであるとわからされた。


「これは結界か、我を縛るにはちとぬるすぎるな」


 カルナが腕を振ると、それだけで結界にひびが入り砕け散った。五重の結界に浄化魔法を重ねたものを悠々と砕かれ、力の差に全員が絶望する。


「君は、本物の魔王だね」


「わかるならひれ伏せ、我を前に頭が高いぞ下賤なヒト種ども」


 言葉そのものに重力があるような重みを感じ、アギト達がその場から動けなくなってしまう。俺はレベルのおかげが耐えられてるが、逃げ出すことすらできなくなった。


「……僕の前に頭が高いんじゃないのかい、魔王」


「嫌な気を感じると思ったが、貴様だったか。想定外だがよい、貴様の首を斬り落とし我がしもべたちへの土産としよう!」


 カルナの右手に魔法で作られた禍々しい剣が現れ、一気に突っ込んでくる。

 寸前でかわし、狙いが俺だとわかったので動けないアギト達から距離を取るように奥まで走った。


「魔王と強制一対一とか炎上ものだろ!」


 護符を三つの使って強化魔法を自分にかけ、もう一枚取り出して剣を作り出す。

 遠距離でしか戦えないのが弱点の魔術師職だが、武器を生成する魔法を使えば一時的には近接戦も可能だ。特にカルナは対魔術師に特化した魔王、遠距離ではむしろ不利になる。


「どうして逃げる、我が首を落とそうと言っているのだ。抵抗することなく落とすがいい」


「それは気が乗らないね、せっかくだから戦ってもらわないと……!」


「それも一興だな、"天使"!」


 再び剣を構えて飛び込んでくるカルナと激しい剣の打ち合いになるが、強化魔法でステータスを底上げしていなかったら完全に力負けしてるぐらいの差だ。

 俺自身レベルの高さとステータスでなんとかなっているが中身はただの廃人ゲーマー。剣を持って戦うなんて経験これっぽっちもない。


「くそっ、お前っ! 百二十年前に倒されたんじゃなかったのかっ!」


「魔王が殺しただけで死ぬような存在だと思うとは、思考の次元が低いのだな」


 魔王らしいこと言いやがって、こっちはなんとか戦うので精一杯だって言うのに!

 このままじゃ防戦一方だ、少しでも自分が有利な状況にしないと……思い出せ、カルナもゲームに登場したキャラクターの一人、敵キャラなら弱点があったはずだ。


「我を前に考え事など、余裕があるな!」


 強く振り下ろされた剣を受け止めって弾き飛ばされ、離れたところに着地する。

 ダメージも疲れも見えていないカルナは、動ける見ているだけのアギト達に向かって魔法を撃ち出した。


「待てっ!」


 撃ち出された魔法が動けないアギト達に当たる瞬間、弾けて消えた。

 よく見ると、シャルルとグレイが前に出て杖を構え、防御魔法と結界魔法を使い守っている。


「こっちは任せてくれ、シトはエナさんと頼む! すまないが俺達はじゃ役に立てそうにない!」


「結界魔法が一撃で壊されたのはショックですが、みんなを守ることぐらいはしますよ!」


 現役魔術師だからこその精神力の高さが功を奏したようだ。二人の魔法なら流れ弾ぐらいなら守れる。

 そして落ち着いていられる時間のおかげで、カルナの攻略法を思い出すことができた。


「こっちを見たほうがいいよカルナ、目の前にいるのは君の天敵だ」


「なんだと?」


 保存済みの護符を五枚取り出して、魔法を発動する。内包しているのはすべて別属性の元素魔法、カルナは"リジェクト"やMPを吸収する状態異常魔法を持っているからMPを大きく消費する複合魔法を使えないのが厄介やボスだが、ステータスではなくスキルで身を守るタイプ。

 符術師は保存した魔法の発動にほとんどMPを使用しないし、当てることさえできれば魔法そのものに耐性がない!


「"エレメントレイン"!」


「ぐあああ!?」


 五属性すべての魔法が雨のように降り注ぎカルナにダメージを与える。エナの体が心配だったがギルドの時はアギトの攻撃をもろに受けても大きな怪我はしてなかった。

 魔族化の影響で体はカルナと同じように強くなっているはず、多少は攻撃しても問題ない。


「"苦痛"、"絶望"、"赤子"、"夜星"、"不動"――シャルル、グレイ……今使える最大の防御魔法使え!」


「わかった!」


「承知しました!」


 隙ができたうちに、俺が使える最高威力の魔法で一気に畳み掛けるため護符の魔法とさらに五つ魔法追加する。

 残っている護符も少ない、これを当てて倒せなかったらその時は本当におしまいかもな。


「"アビスメイク・ノヴァ"!」


 展開された黒い魔法陣から巨大な黒い玉が出現し一気に凝縮され――地面に落ちると同時に弾けた。

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