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36話:天使と反魂

 護符の準備をしている間に日は落ちて外は暗くなり、そろそろカレンを起こそうかとベットの方へ近づいた。


「カレン、起きて」


「……あれ、もう朝ですか?」


「おはよう、夜だけどね。いまから反魂の儀式を見に行くよ」


「わかりました……では準備を……」


 まだ寝ぼけているみたいだが、ベットから出たカレンが服を着始めたので俺はアギト達の部屋へ二人を呼びに行く。

 扉を開けると二人はすでに装備を着込んでいて準備万端と言った様子だ。


「アギト、シャルル、そろそろ行こうか」


「ああ、カレンは起きたのか?」


「さっき起こしたよ、いま準備してるからもう少し待ってて」


 そして自分の部屋に戻り、机に並べていた護符をまとめてポケットにしまい、服を着たカレンと一緒にアギトたちをもう一度呼んで宿屋の外に出た。


 この世界の季節がいつなのかはわからないけど、夜になると少し冷える風が吹いていて、頭上の月は全く見えない。現実で言うところの新月だろうか、月明かりはなく街灯だけで照らされている町は少し不気味だ。


「儀式のする遺跡はおそらく廃神殿、その地下だろう。なにかあっても町に影響がない場所だ」


「召喚の家か――」


 確かに町とかなり離れてるし、地下があるのは知らなかったけどあそこなら安全そうだ。


「私とシトが初めて会った場所ですね」


「そうなのか、ってことはシトは本当にカレンに召喚されたんだな」


「そうだよ」


 いろいろあったけど、この世界に召喚されたのもたった数日の前の出来事になるんだよな。

 すごい長いような短いような、かなり大変な日々だったけど、元の世界にいたときよりも楽しい日常を過ごせている気がする。なにより絶対になかった人との関わりを持てているのが何よりも嬉しかった。


 思い出すと、数日前なのに楽しい思い出だ。


「あそこで泣いてたカレンと会ってね、契約してアルタイルまで来たんだ。正確には口約束だから召喚石を買ったらちゃんと契約してね」


「い、いいんでしょうか……私が本当にシトと契約してしまって」


「いいに決まってるじゃないか、契約してほしいのは僕からのお願いだよ」


「わかりました、では召喚石が手に入った時に」


 とは言っても、いまは確か流通が止まってるんだっけ。ギルドの冒険者の人たちも困ってる様子はなかったけど、逆に困っていないのなら早急に開くことはなさそうだし正式に契約できるのはしばらく先になりそうだ。


「そろそろ行くぞ」


 アギトの先導で俺達は街を出て儀式を行う廃神殿――召喚の家へ向かって歩き出した。

 到着まではまた時間がかかるけど、四人で歩いていたらあっという間だろう。



 無意識に少し早足だったのか町を出てから数時間とかからず廃神殿にたどり着くと、先に着いていたであろうグレイが魔法を準備をしていた。

 神殿の周りに手描きで多くの魔法陣を描いていて、かなり大掛かりな魔法みたいだ。


「おやおや、あなた達が先に着きましたか。お嬢様方をお待たせするのは心苦しいですが、準備の途中ですのでもう少し待っていてください」


「俺達のことはいいのかよ……」


「はっはっは、ギルドを代表する竜騎士様と黒魔導士様も尊敬しておりますよ。ですが私は女性が人生の全てですので」


 グレイは相変わらず言動がやばい事が、魔法陣を見るとこれでも封印に関してはスペシャリスト何だとわかる。

 たぶん数人で行う儀式魔法だと思うが、これ規模の魔法を一人で発動しようとしているのならばレベルもかなり高いんだろう。

 王都から呼ばれたらしいがこの世界は中心に行くほどレベルも高くなっていくのだろうか。


「お前達早いな、グレイはまだ準備中か?」


「はい、もう少しで終わりますので」


 少し遅れてビクティとローゲンがエナを連れてやってきた。エナは封印魔法で手を拘束されていて、魂も暴走しないよう封じられているのか半分眠ったような状態だ。


「大掛かりな魔法じゃの、スクロールのない反魂ならわかるが今回は比較的安全なはずじゃが?」


「ギルドの被害は聞いています。エナさんの魂に同化している魔族はかなり強力だと想定してい万全を期すため、私の封印魔法に五層、一層事にローゲン殿の浄化魔法を重ねていただきたい」


「わしを呼んだのもそういう理由か、この老いぼれの魔法が役に立てるかの」


「ローゲン殿は王都でも五本の指に入る白魔導士、引退した後でもその実力は認められておりますよ」


 二人の表情はいつになく真剣だ。

 なにがあっても町に被害が出ないよう、万全の準備を整えてくれている。心配していたがこの二人が協力してくれたのはありがたい。


「儀式自体は地下で行う、確かにこの辺に入口が……」


 ビクティが廃神殿の中にある床の一部を引き剥がすと、そこには地下に繋がる階段があった。

 こんな場所があるだなんて、攻略サイトにも書いてなかったんだが……いま現実でこの情報を出したら攻略の第一人者になれるな。


「二人の準備が終わるまでにわたし達も準備しておくぞ、エナを連れてきてくれ」


 ぼーっと立っているだけのエナを誘導して階段から下ろし、地下室の中心に立たせる。

 ビクティは立会人ではなく儀式を自ら行うつもりだったようでスクロールを取り出して待機していた。


「準備ができました、いつでも結界が張れます」


 グレイとローゲンも地下に入ってきた。

 準備ができたということは、これからすぐに反魂の儀式が始まるのか。

 この部分はゲームでもムービーとかなしで"スクロールの力により混魔となった人族は反魂の儀式で人に戻った"というテキストのみで語られたところだ。どんな光景が見られるの少しわくわくしていた。


「お前達は離れていてくれ。グレイ、結界を――」


「"ディメンショナルロック"」


「"ホワイトエア"」


 グレイの結界魔法が展開されると同時に、ローゲンの魔法も重なるように発動される。


「うっ……ぐあああ!」


 ローゲンの魔法による浄化魔法でエナが苦しみだし、禍々しい魔力が立ち昇っていく。暴走するのではと心配になるがグレイの封印魔法のおかげで暴れ出そうにも暴れられないようだ。


「始めるぞ――修道女エナ・リットリーの魂を蝕みし魔族よ、その魂を刻め!」


 ビクティがエナの胸にスクロールを押し付けると、半分しか文字の書かれていなかったスクロールにさらに文字が刻まれ始める。

 距離が遠いし文字が読めないからなんて書いてあるかわからないが、おそらく引き剥がす側の魂の情報をとっているのだろうか。

 これならどんな魔族がエナに取り憑いたのかもわかる。


「刻まれし魂をあるべき場所へ、魔族の名は……! そんなこいつは!?」


 名前を読み上げようとしたビクティが驚いて止まる。

 一体どんな魔族が取り憑いていたのか気になって俺は少し前に出ようとするが、すぐにスクロールを放り投げて戻ってきたビクティに突き飛ばされて、その場にいた全員が地下の壁まで下がった。


「全員逃げろ! エナと同化した魔族は――蠱毒王カルナだ!」


 瞬間、黒いオーラのようなものがエナの体から飛び出し、俺達は地下から地上へと弾き飛ばされた。

20時にもう1話投稿されます。

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