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35話:天使と夜の準備

「ぶっはぁ!?」


 なんとか気を失わず立ち直って、タオルで顔を覆い隠して風呂から出た。

 不意打ちとはいえ驚きで溺れそうになるとは、情けなくてへこみそうだ。カレンも心配してるし早く体を冷やしてしまおう。


「ごめんカレン、ちょっと離れててくれるかな」


「わかりました……とりあえずお水を持ってきますね」


 察しがいいのか悪いのか、カレンは俺がのぼせていると思ったようでタオルを体に巻いて部屋の奥から水を持ってこようとしてくれている。

 確かにのぼせかけてはいたけど、トドメがカレンの裸だったってことはバレていないようでよかった。


 はぁ……ついに超えないよう気を付けていた壁が崩壊してしまったか。

 記憶を消すような器用なことはできないし、もう開き直ってしまうしかなさそうだな。もう風呂に入る時は異世界にきてるし体も違うし、罪にはならないと言い聞かせよう。


「シト、お水を持ってきました。すいません熱かったですよね、私が引き留めてしまったせいで」


「気にしないで、僕も気にしないことにしたから」


「ありがとうございます、ではゆっくり休んでいてください」


 受け取った水を飲んで体を内から冷やしていく。

 サウナに入ったみたいで気持ちいいけど、これは命がけすぎるからもうやめておこう。


 水を飲み終わってから服をきつくない程度に着て、帰ってきたときのようにベッドに寝転がった。

 すると、同じように服を最低限着たカレンが隣に寝転がってくる。今までなら緊張してすぐにベットから出ていただろう俺も、なんだか一周回って落ち着いてしまったようでそのまま二人でゆっくりと夜までの時間を過ごす気になれた。


「そういえば初めてですね、シトと一緒にベットに入るのは」


「シャルルと会った日に一緒に寝てなかったかい?」


「あの時はいつ眠ったのかも覚えてませんし、ちゃんと一緒にいるのはこれが初めてですよ」


 確かにそうだな、今までずっと俺が個人的な都合で避けてきたし。

 たぶん寂しかったのかな、勇者パーティーを追放されてからはずっと精霊もいなくて一人だったみたいだし。町の人には優しくしてもらえてたみたいだけど仲間と言えるような人はいなかったんだろう。

 初めて会った時もずっと不安そうな顔だったから、やっぱりこの子に出会えてよかったかもしれない。


「そうだね、アギト達も隣の部屋に行っちゃったし、これからは二人だ」


「はい、一緒に寝ましょうね」


「僕としてはアギトとシャルルがいてもいいけどね」


「もう、シトはなんで私と二人きりじゃないようにしたがるんですか!」


「冗談だよ、そもそもアギトとシャルルは同じ部屋だと床で寝ちゃうしね」


「そうですよ、二人もしっかりベットで寝て貰わないといけないんですから」


 平和な会話を続けているうちに、やはり疲れが溜まっていたのかカレンが眠ってしまった。

 俺も疲れてるし、目を閉じていれば眠れはするから寝てしまおうかと思ったが、アギトとシャルルに儀式に行くかどうかを確認していないし、それだけ先に確認しにいくために部屋を出る。


 まだ夜までは長いけど行くとしたら休んでおかなきゃいけないからな、早めの確認は大事だと思っての行動だ。


「おっと、ノックぐらいしないとな」


 風呂に入ってたりしたらまたひと騒ぎ起きそうだし、大声を出されてたらカレンが起きてしまうかもしれない。

 扉を開ける前に立ち止まって、コンコンと扉を叩いた。


「誰だ?」


「僕だけど、入ってもいいかい?」


「シトか、いいぞ」


 許可を取って中に入ると、重い装備を脱ぎ捨てて椅子に座っているアギトとシャルルがいた。

 部屋の内装は変わらないが雰囲気は男部屋、吹っ切れた気がするけどやっぱりこっちのほうが落ち着くな。


「なにかあったのか?」


「反魂の儀式に行くかどうかの確認をしにね、二人はどうするんだい?」


「儀式か……俺はどちらでもいいが、シャルルがな」


「俺は行くよ。エナさんがやっと助かるんだ、できれば立ち会いたい」


「だそうだ、俺もシャルルと一緒に立ち会うつもりだ」


 そうだろうと思っていたから、確認は形だけのものになったな。


「僕も行くよ、カレンは今寝てるけど、みんな行くなら行くんじゃないかな」


「そうか、もしものことがあったらと思ってカレンは置いていこうと思ったんだが」


「大丈夫さ、カレンは僕が守るし、それにダンジョンでも勇気を出して戦っていただろう」


「そうだな、カレンも正式な冒険者だ。危険かもしれないが置いていくことはなかった」


「じゃあ僕はカレンが起きたら伝えるよ。二人ともしっかり休んでおいてね」


 確認は済んだので、名残惜しいが部屋を出て自分の部屋に戻る。落ち着きはするが、カレンが起きた時に俺がいなかったらまた怒られそうだし、そもそもアギト達の部屋にいたらなにか勘違いされそうなのが怖い。


 部屋に戻り、カレンがまだ寝ていることを確認して椅子に座り水をコップに入れて飲む。

 夜まではまだまだ時間がある、儀式に備えて俺もある程度の準備はしておくため、ポケットから残っている護符を出し半分だけ机に並べた。


「懐かしいな、昔はダンジョンとか行く前にずっとこんなことしてたっけか」


 符術師の戦闘における最も大事なフェーズは準備。

 様々なスキルや魔法を考慮して必要なだけの魔法を先にストックしておけば、戦闘中は魔法にかかるMPをかなり削減できる。


 ダンジョンでは準備をしてなかったせいでMPを使いすぎてしまったから、儀式には万全の準備で挑もう。

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