25話:天使とダンジョン攻略
ダンジョンの前には人が入っていない鎧のモンスターが立っている。
確かこいつは、ダンジョンの門番で問いかけの後襲ってくるだったな。
物理には強いけど魔法に弱いから、俺が先に出て問いかけをした後、魔法で倒してしまえばいいだろう。
「"放電"」
魔法を保存して鎧の前に出る。
ここまで近づけば勝手にあっちから話しかけてくれるはずだ。
『冒険者よ、なぜここまで来た』
ゲーム通りだな。
ここはなにを言っても襲ってくるし、適当に返事するか。
「ここのお宝を貰いに」
『ならば裁定しよう、私を倒せれば扉が――ギャアアア!』
話が終わっていないが、早めに護符を投げて魔法を発動し、弱点の雷魔法を受けた鎧のモンスターはバラバラになって地面に転がった。
そしてモンスターの死に呼応するように、ダンジョンの扉が音を立てて開きだす。
「よし、じゃあ行こうか」
「あの、お話が聞かなくてよかったんですか?」
「別にいいんじゃない? 僕たちの目的はかわらないんだし」
不安そうなカレンをなだめてダンジョンの中へ向かうと、後ろでアギトとシャルルがひそひそ話しているのが聞こえてきた。
「なぁ、シトってもしかして結構怖いのか?」
「俺も少し見方を変えた方がいいかもしれないな……」
「勘違いしないでくれよ! 僕は少しでも早くスクロールを手に入れようと思っているだけなんだからねっ!」
振り向いて言うと、まだ疑いの目で見られながらも黙った二人はダンジョンの中についてきた。
ダンジョンをギミックを知っているとも言えないからな、中に入ったら先にギミックを片付けるのはやめておいた方がいいかもしれないな。
下手に敵を倒しまくったりしてるとやばい奴だと思われかねない。
「わぁ~すごい広いんですね」
ダンジョン内は石の壁と天井でできた洞窟のようになっていて、これはゲームで見たダンジョンの基本構造と同じだった。
先に進むと自動で壁にかかっている松明に火が灯り、気持ち程度の視界を与えてくれる。
「この先に行けば一層目だ、油断するなよ」
おそるおそる先に進み、一層目に辿り着くと、そこにはゾンビやスケルトンといったアンデッドモンスターが数十体もうろうろとしていた。
これがダンジョン一層目。
二層目に進むにはここにいるモンスターをすべて倒さなければならない。
「こ、こんな数のモンスターが……!」
「おそらくはすべて倒さなければ二層には行けないだろう、だが相手はアンデッドだ。ゾンビはシャルルとシトの炎魔法で、スケルトンは俺が倒す!」
「了解っ!」
「私はっ!?」
指示通りゾンビ型のモンスターを炎魔法で蹴散らし、終わった後スケルトンと戦うアギトをサポートして一層目は簡単に終わった。
心配していたがモンスターもレベルが少し高いとはいえアンデッド、知能のないモンスターならレベル差があってもこっちの方が有利だな。
ある程度の体力を回復するために休み、二層目に向かうと――二層目にモンスターはおらず様々なマークのついた石像と、壁に災害に襲われる人の絵画が描かれていた。
ここは確か絵画のヒントを読み解いて、石像に順番通りの属性の魔法を当てればいいだけのはず。
それとなくヒントを与えればみんなも理解できるだろう。
「見て、絵画にある災害がまるで魔法みたいだし、石像にも魔法の属性を現すマークがあるよ」
「なるほどわからん」
シャルルが自身満々に言っているが、教会区の生まれなのになんでこいつはこんなこともわからないんだ……。
「どういうことでしょうか?」
「簡単だろう、絵画に描かれている災害は落雷、火事、嵐、洪水――前後はわからないが二通り試すだけで道が開くはずだ」
さすがにアギトは頭がいいな、別にヒントを与えなくても理解できたかもしれない。
カレンに関しては……まあいいか、可愛いし。
「シャルルは左の雷と水の石像に魔法を当ててくれ、俺が火と風の魔法を当てる」
「あ、ああわかった」
いまだにわかってい無さそうだが、アギトの指示で順番通りに魔法を石像に当てると、奥の石扉が開いた。
二層目は少し魔法を使っただけで疲れはなかったから、そのまま三層まで進む。
三層には机と何かの材料、そして試験管のようなガラスの瓶が置かれていた。
ここは確か……置いてある材料から三種のポーションを調合するステージだな、調合師のスキルを持っていれば問題ないが、さすがにアギトやシャルルもできなさそうだろう。
俺も調合師のスキルこそ持っているが、ポーション作りとなると知識が必要になる。ゲームのようにワンクリックで出来る作業じゃない。
「これは……ポーションの材料か?」
「おいおい、俺はポーション作りなんてできねえぞ?」
「僕もこれはわからないな、どうしようか? 適当にやっても成功できるようなものじゃなさそうだし……」
三人で机の囲んで悩んでいると、後ろにいたカレンが手を上げて机の前に割り込んできた。
「ここは私に任せてください、これでも勇者様と冒険していた時はポーション調合もやってたんです!」
自信ありげなカレンが慣れた手つきでポーションを作り始める。
なにをやっているのかは理解できないが、手際よく薬草や漢方のような球体を擦りつぶしたりして、気づけば綺麗な三色のポーションが出来上がっていた。
「できました! でもこれをどうすればいいんでしょう?」
「あそこに納品箱があるよ、あそこに入れればいんじゃない?」
石扉の横に、これみよがしに置いてある木箱を見つける。
できたポーションが合っているならばギミックが解けて扉が開くはずだ。
「では入れてきますね」
そう言って走り出した時、俺たちが入ってきた扉の方から声が聞こえてきた。
若いような……もしかして俺たちの後に入ってきた冒険者か? ゲームじゃ別のステージに飛ばされる仕様だったけどこの世界じゃそんなことはない。
後から入ってくれば合流することもできるようだ。
「誰だ? 攻略中のダンジョンに入ってくるなんて常識知らずが」
アギトが背後を見て剣を構えていると、うっすら聞こえていた声がどんどん鮮明に聞こえてきた。
「なんだよ、高レベルのダンジョンだっていうから期待してたのになにもないじゃねえか。これじゃ置くの秘宝ってやつもそんなに期待できなさそうだな!」
このバカに肩書だけつけたみたいな声は――勇者だ。
あいつ俺たちが解いた一層目と二層目をスルーしてきやがったのか。それで調子に乗りやがって……町を出ていったと思ってたのに今度はダンジョンで会うのかよ。
「なんだ、誰かいるぞ? おーい誰だお前らー!? 勇者パーティーのお通りだぞー」
「ずいぶん元気だね、勇者パーティーが通る時はどうするのが礼儀なんだい?」
「おっお前は!?」
もう見たくはなかった勇者パーティーの面々と、俺は再び退治することになった。
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