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13話:天使とレベル

 記入が終わった用紙を受付嬢に渡すと、次は黄ばんだ紙を一枚机の上に置かれた。

 ゲームではメモに使うための羊皮紙と同じもののようだが、何に使うんだろうか?


「こちらは教会の秘宝である"白紙の聖書"の第一章一編を複写した"姿見の羊皮紙"です。触れた時に浮かぶ文字の数で現在のレベルがわかります」


 レベル……そういえば勇者で60とか言ってたな。となるとこの世界の平均レベルは60以下、モンスターに苦労してないとなると40前後ぐらいか。


 カレンが戦っているところは見たことないが、どのぐらいのレベルなんだろう? 仮にも勇者パーティーと冒険していた時期があるから低くはないと思うが。


「私が先に試しますね――」


 カレンが羊皮紙に触れると何も書かれていなかった羊皮紙に文字が書き込まれ始める。

 最初は勢いよく文字が刻まれていたが、半分を超えないあたりで勢いが落ち始めるとしばらくして止まった。


「表面の文字が半分ぐらいまでですと、レベル40ですね!」


「40……やっぱりアルトさん達には遠く及びませんか」


 カレンは俺が予測した平均値ぐらいのレベルか。

 勇者と比較して気にしているようだが、まだまだ子供に見えるカレンがレベル40なら誇ってもいいんじゃないかと思う。


「それではシトさんもお願いします」


「わかったよ」


 羊皮紙の前に立ってゆっくりと触れる。

 俺のゲームでのレベルはカンストの150。ただレベルの数え方は種族レベルと職業レベルの合算だから、この世界のレベルの図り方ではどう表示されるのだろうか。


 触れた羊皮紙に勢いよく文字が刻まれ始める。

 その勢いはとどまること知らず、すべての文字が刻まれても重ねて文字が刻まれ続け羊皮紙が黄ばんた紙から漆黒へと移り変わり――突然燃え上がった。


「やばっ……!?」


「きゃあ!」


 受付嬢が叫び急いで手を離したが燃え上がった羊皮紙は机の上で煤に変わり果てた。


「す、姿見の羊皮紙が……!」


「どうしたの!」


「シトお前何かしたのか!?」


 三階から急いで降りてきたアギトと、その前には灰色の髪をした女性の亜人族(デミヒューマン)が焦った顔で立っている。


「えっと……これ弁償しなきゃいけない?」


 焼けた煤をつまんで見せると、灰髪の亜人族に手を引かれて三階の部屋に連れていかれた。

 一応なのか、カレンとアギトも同じ部屋についてきている。


「姿見の羊皮紙が燃えるだなんて、一体なにをしたんだ!?」


 部屋に入りソファに座るやいなや亜人族の女性が机を叩いて問いかけてくる。


 下から見ると叩いた衝撃で揺れる胸が今にも零れてしまいそうだが、ここは真面目な話みたいだしさすがに凝視するのはやめておこう。

  

「落ち着いてくれよ、僕にも何が起きたのかわかってないんだ」


「ビクティさん、こいつらは怪しくはない。それは俺が保障しよう」


 問い詰められそうな俺をアギトにかばってもらい、ビクティと呼ばれた亜人族の女性がゆっくりソファにも座ると、さっき書いた俺達の登録用の用紙を眺め始めた。


「精霊使いのカレンと、上位精霊のシト……レベル40のカレンはいいとして、君はうちで雇うには得体が知れないな」


「雇うってもしかして――」


「自己紹介が遅れたね、わたしはアルタイル冒険者ギルドを任されてるギルドマスター、ビクティだ」


 この亜人族がギルドマスターか、威厳的なものはあまり感じないがむしろ話しやすそうでよかった。


「雇えないと言われても僕はカレンの契約精霊だ、別に雇われなくても問題はないよ」


 冒険者になれなくてもカレンが冒険者になれれば俺は勝手についていけばいい。契約精霊が精霊使いと一緒に行動するのは当たり前の話だ。


「契約精霊? 上位精霊が精霊使いの契約しているのか……とは言っても冒険者のクエストに個人として数える上位精霊の同行は容認できない」


「それじゃあカレンも冒険者になれないじゃないか」


 そうなると俺がカレンの契約精霊である意味がない。

 なんとしてもカレンを冒険者として認めさせないとここまで来た意味もなくなる。


「わたしだって認めてあげたい、でも君は明らかに高レベルで得体のしれない存在だ。君に任せるべきクエストも見当がつかないし、もっとふさわしいところを紹介したほうが良いと考えているんだが」


 困ったような表情で話すビクティ。

 どうやらギルドに所属する冒険者はゲームのように自由に依頼を選択するだけではなく、レベルの高い冒険者に見合ったクエストをギルドマスターから直々に依頼されることもあるようだ。


 となると、名を上げれば依頼人から指名されるということもあるかもしれない。

 本格的な冒険者っぽさに少しわくわくしてきた。


「冒険者として認めてくれるならそんなこと気にしない、クエストに見合った報酬が支払われるなら文句は言わないよ」


「いいのか? 王都に行けばもっと君の力量に見合ったクエストもあるし、少なくとも冒険者じゃなくて領主にだってなれるかもしれないんだよ」


「そんなもの興味ないよ、僕はカレンと冒険者になりにここまで来たんだから」


 そう言うと、ビクティは考え込むようなポーズで黙り込み、俺の登録用紙とにらめっこした後顔を上げた。


「わかった、君たちをこのギルドの冒険者として認めよう。でも先にわたしが出すクエストに行ってきてもらう、少しでも君たちの……シトの実力が知りたいからね」


 立ち上がって奥の書類が山積みになっている机の上から、ビクティが一枚のクエスト依頼書持ってきた。


「これは中々依頼できる冒険者がいなくてね、せっかくだから君たちに依頼するよ」


 字が読めないから内容がわからないが、おそらくは依頼書に描いてあるモンスターの討伐がなにかだろうな。


「それとアギト、君にはこのクエストに同行してもらう」


「なんで俺が!?」


「二人が怪しくないと保障すると言っただろう? つまりクエストの監視役だ。今この町にいる冒険者でこのクエストに同行できるのはお前かシャルルしかいないしな」


「……わかった」


 依頼書を受け取って冒険者ギルドをでる。

 とりあえず目標だった冒険者登録もできたし一段落ついたな。


 あとは今日中に受け取ったクエストを終わらせてしまうか、実力を図るといえど最初のクエストなんだからそんなに高難易度じゃないだろう。


「じゃ、初クエストに出発だ!」

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