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日常の終わり  作者: 日日
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今は過去と未来

討論番組の音の合間に、ゲームの音が響くリビング。

スマホでコミックを読み漁りながら、手とスマホの間から

白髪の紳士が、身振り手振りを交えて議論を重ねている。

階段を降りる音を聞きながら、音の主を推察する。

特にこの主は、解りやすい。階段を降りてそのまま、洗面台を占拠し、水量と費用が気になる音を響かせながら、洗面等を行うからだ。


隣のゲームの音は、中断と再開を繰り返す。

スマホと手の間から、中断時の業務内容を垣間見る。

朝食のレーズンパンを袋から取り出し、トースターへ。

洗面所の主の好みを知り尽くしたコーヒーをカップに注ぎ込む。洗面所の主が出てくるタイミングを、どの器官を用いて察するのか、感服する。

颯爽と暖簾をくぐる主が着座する頃合いに、湯気のでたコーヒーと、少し焦げ目の付いたレーズンパン2切れが、主の眼前に広がる。


一言二言交わしたのだろうか、二人の会話は聞こえないが、表情から何もない一日の合図を感じる。

再開されたゲームの音と、論点が変わった討論と、身だしなみを整える音を、スマホと手の間から聞きながら朝は過ぎる。

充電が85%を切った頃、読み漁る話しがなくなり二杯目のコーヒーを注ぎに立ち上がる。

一言二言を着座している彼女に伝えることもなく、ただ後を通り過ぎる。

咀嚼し、身だしなみを整え、着替えを済ませた彼女は、いつもの時間に家を出る。

いってらっしゃい。今日は、ママもパパも休みだからと昨晩伝えている事を、再び彼女に伝える。彼女は、知ってるよと答え玄関を出る。お気を付けて。はいよ。

音の中で。


二階から、トイレを流す音が聞こえる。

音の主を推察する必要は、ない。夏休みに入り少し夜更しをして、少し遅めに起きる。まったくの健全とは言えないが、健全の振り幅を超えない彼。ほっそりした見た目に反して、大きめな足音で階段を降りる彼は、ボソッと挨拶を済ませて、少し冷めたコーヒーを注ぐ。


我が家の朝は、このような日常。

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