閑話 イマ視点
「あーーー腹立つなぁーー」
ここはレムリア王国王都。夕暮れ時の王都をトボトボと歩く一人の少女、彼女の名前は" イマ "現在家出中である、といっても今日の昼過ぎからなのだが。
「もーなんでお父さんもお母さんも分かってくれないの!しかも私のこと子供だと思ってちゃんと話聞いてくれないし!」
「うーん…でもこれからどうしよう……何も持たずに飛び出して来ちゃったからなぁ…かといって家に帰るのも嫌だし……」
「………で、でも元はと言えばお母さんが悪いんだからね!「Excuse me?」いっつもいっつも同じことばっかり「Excuse me Where am I?」
「!は、ハイ!なんでしょう?」(びっくりしたぁーあれいつの間にこんな所まで?全然気付かなかった……」
「あ、あのーここはどこですか?」
「………え?王都です…ケド……」(な、何この人達…ここどこ?って王都に決まってるし……しかもなんか変な服着てるし……」
「えーと、ここは何という国ですか?」
「………へ?……レ、レムリア王国です…よ」(やっぱりこの人達おかしいよ……今度は国の名前聞いてきたし……またなんかコソコソ話してるし…早く立ち去ろっと」
「あのーもう行っていいですか?」
「え、あっちょっと待って下さい!申し訳ないんですけど僕達気付いたらここにいて、何も分からないんです…」
「は、はぁ…そうですか、、、」(まともに相手しちゃダメダメ!)
「よければ色々教えて頂けないでしょうか?」
「それは名案だな甥っ子よ、立ち話もなんだし中に入って話そう」
「そうしましょう!そうしましょう!」
「え、えぇ?…ち、ちょっと…待って下さいよ」(ど、どうしよう早く立ち去らないと!でもこの人達嘘ついてるようには見えないんだよなぁ)
ガチャ「さぁ入って下さい」「お嬢さんの情報が頼みの綱だからな」
「わ、私忙しいので、すぐに帰りますからね!(本当はとっても暇なんだけど)あれ暖かい!?もう火を焚いてるんですか?」
「火を?いやいや流石に暖炉はありませんよ」
「あれ、暖炉がない?ということは魔道具?」
「いやエアコンですけど、魔道具…ってなんですか?」
「…えあ…こん?…」(えあこんって何?…新しい魔道具のこと?いやでも魔道具じゃないみたいだし…)
「まさかエアコン知らないんですか?」
(え、なんか知ってて当たり前みたいな顔されてる…私が世間知らずなだけ?いやでも生まれて一度も、えあこんなんて聞いたことないし……)
「し、知ってます!!えあこん!あー"えあこん"ね!ハイハイ」(あぁ!またやっちゃった!本当は知らないのに知ったかぶりしちゃった…)
「あ、あのー魔道具ってなんですか?」
「……え……魔道具も知らないんですかー?!笑」(魔道具も知らないの!?この人達!?ヨシっ!これで世間知らずなのも、おあいこだよね!)
「それにしてもとっても明るい!魔道具ではないということは、これも"えあこん"ですか?」
「いや、これは電気の力で光ってる照明器具ですね」
「……//////そ、それはともかく、ここは一体なんなのですか?みたことない造りの建物に部屋だし」
「ここは、"映画館"だよお嬢さん」
「え、えいが…かん」(また知らないコトバ…)
「見てもらった方が早いな」「し、知ってますよ!」
ガチャ「ほら、入って入って」
(ち、ちょっとだけ見たらすぐ帰ろう…)「ってなにこの部屋!?椅子がいっぱい…向こうに大きな幕が掛かってるし…演劇でもするの?」
「劇場は劇場なんだけど役者はここにはいないんだよ」
(どうゆうこと??意味がわかんないよ…)
「まぁ、いいから座って座って」「「それではお楽しみ下さい」」
「………あっ暗くなっちゃった!」
………………………………………シーン
キョロキョロ(大丈夫かな……?ここまで付いて来ちゃったけど誘拐とかされたり……)
………………ブーーーーーーーーー
っ!!(な、なに?!突然音が!?)
……ガラガラガラガラガラガラガラガラガラ
「幕が……開いた!」(何が始まるんだろう…)
「え!?どうなってるの?!幕の中に…ひ、人がいる!!しかも聞いたことない音楽…!一体どんな仕組みなの?!」
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(……この主人公…私に似てる…退屈な日々で親が話を聞いてくれないところとか……)
(….うわぁ…すごい…色んな風景が次々…あっ!かかしが喋った!なかまになるのかな?」
(そっか……ずっと早く家を出て自由に生きてゆきたいって思ってたけど、気づいてなかっただけなんだ………)
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(…すごい……これが" 映画 "……とっても面白かった……もっと見てみたいな…)
「……あ、あのっ!もしよければここで働かせて貰えませんか?」
こうして一つの映画によって彼女の運命が変わってゆく、そして彼女自身も変わったのだ。