第4話 自己紹介
「そ、そうだった僕達は異世界に飛ばされてるんだった……もとの世界には帰れないのか?」
スタスタ………ガチャ「うーん…さっきと変わらんな」
「う、裏口は!?」タッタッタッタッ ガチャ「そんな……」
((どうしようか))
「えっと…あのーいつから働かせて貰えますか?」
「ん?あーそうだなぁ、とりあえずまた明日来てくれるかな?色々説明しないとね、あーそれと名前を聞いてなかったなお嬢さん」
「あっ申し遅れました!" イマ "と申します!」
「じゃあこれからよろしくイマちゃん、私の名前は定之、店長で構わないよ」
「これからよろしくお願いしますっ!店長!」
「僕の名前は幸博、敬語じゃなくていいよ」
「よ、よろしく!」
「じゃあもう遅いから気をつけてお帰り」
「また明日なー」
「はいっ!どうもありがとうございました!」ガチャ バタン
______スタッフルーム
「……で、これからどうするの……おじさん?」
「まぁとりあえず明日考えるか、今日はもう寝る」
「えぇ……ほんと、どうするんだよ…このまま帰れなかったらシャレにならないっt(うわ、もう寝てるよ…なんか考えるのバカバカしくなってきたな…僕も寝よう)
二人ともありえない体験をして疲れたのか、そのままソファーで爆睡。実は二人ともまだこれが夢だろうと心の隅で思っていた。
それと同時に夢であってくれとも思っていた。それもそのはず、もう二度ともとの世界に戻れなかったら?という言い知れぬ恐怖があるからだ。
二人は((きっと目が覚めたら元の世界に戻っているはず))と思い込み、それを願った。そしてその願いは半分叶うことになる。
______翌朝
「…………んー………か、身体が…痛い………あれ?なんで映画館に?……たしか昨日……いやまてまて、冷静に考えると夢に決まってるだろ笑………でも妙にリアルだったな、いやリアル過ぎた」
「………んん…ん?ここ映画館か?」
「あっおじさん、おはよう」
「おぉ幸博、おはよう……一体なぜ映画館で……………いや……まさかな」
「……ま、まさかとは思うけど、おじさんも同じ夢みた?」
「……あ、あぁ…妙にリアルだったがな、異世界でイマという名の子を雇う夢だったよ」
「……そんな……嘘だろ……嘘であってくれ!!」タッタッタッタッタッタッ ガチャ
「…っ!!………よ、よかったぁぁ…」
スタスタスタスタ
「おぉ…ちゃんと戻ってるじゃないか!」
「いやぁーそれにしてもリアル過ぎる上に、他人と共有する夢なんてあるのか……」
「あぁ…あんな夢、55年間生きてきて初めてだ」
_________
「じゃあね、おじさん」
「おう、気をつけて帰れよー」
二人が目を覚ますと、いつもの見慣れた商店街だった。二人はその寂れた商店街の景色が妙に懐かしく何とも言えぬ安心感を感じた。
しかし、再びあの異世界へ行くことになるとは二人とも思いもしていなかった。