第3話 オ○の魔法使い
ガチャ 「ほら、入って入って」
「言っときますけどちょっと見たらすぐ帰りますかr…ってなにこの部屋!?椅子がいっぱい…向こうに大きな幕が掛かってるし…演劇でもするの?」
「劇場は劇場なんだけど役者はここにはいないんだよ」
「…?役者がいなかったら元も子もないんじゃ?」
「まぁ、いいから座って座って」
「「それではお楽しみ下さい」」
「………あっ暗くなっちゃった!」
………………………………………シーン
キョロキョロ(大丈夫かな……?ここまで付いて来ちゃったけど誘拐されたり……)
………………ブーーーーーーーーー
っ!!ビクッ
……ガラガラガラガラガラガラガラガラガラ
「幕が……開いた!」
____一方、映写室
「ところでおじさん、何を上映するの?」
「舞台が近現代のやつはやめといた方がいいな……となると………これはどうだ?」
「あーこれかぁーだいぶ昔の映画だけど……うん、いいかも!老若男女問わず楽しめて分かりやすいし」
「よし、ならこれでいこうか」カチャカチャ…カチッ…カラカラカラカラ
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「お、音が!?ど、どこから?! あっ!人が幕の中に!?なんで?! い、一体どうなってるの!!」
上映開始すると共に、スピーカーからの音やスクリーンに映し出される映像、その一つ一つに目を白黒させながら驚く少女。
しかし時間が経つにつれ、じっと食い入るようにスクリーンを見つめる。時には焦ったり、笑ったり、身を乗り出して声を出したり、スクリーンの中の物語に感情移入していた。
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_____ガラガラガラガラガラガラ
「どうでしたか? " オ○の魔法使い " は」
「………す…スゴイ、スゴイスゴイスゴイ!!!なんなのあれは一体!!白い幕の中に突然人が現れてそれで色んなところを冒険してそれでそれで!!」
「楽しんでもらえたようでよかった、あれが"映画"って言うんだよ」
「映画……映画もっと見たい…それに映画についてもっと知りたいです!!」
「そりゃあよかったよかった、でももう夜も遅いから早くお帰り。色々この世界について教えてくれてありがとうね」
「……あ、あのっ!もしよければ…ここで働かせて貰えませんか?」
((唐突だなぁ…))
「……実は私、家出してたんです…だって…いつも私のすること口出しされるし、子供扱いしてまともに取り合ってくれないし……」
「だから本当の私の居場所を見つけようって思ってたけど、" オ○の魔法使い "を観て……当たり前だったから気づかない幸せとか…私の居場所は我が家なんだって…」
「ドロシーが出会ったかかしも木こりもライオンも、みんな自分の弱さを知ってたけど自分を信じてたから……だから、だから!自分という存在を気付かせてくれた映画のこともっと知りたい!…お願いします!雑用もなんでもしますからっ!」
「おじさん……どうすr「採用」「えっ、ちょっと!」
「ほ、ほんとですか?!」
「うん、幸博だけじゃ手が足りなかったし、ちょうどよかった、それに映画のこと好きになってくれたみたいだしね」
「やったぁ!ありがとうございますっ!」
(なんかもう色々と急だなー)
「幸博、今日はもう帰ろうか」「うん、色々ありすぎて疲れたよ」
「「…………ん?………待てよ?………そう言えばここって………」」
「「異世界だった……!!」」