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シゴノセカイ《改訂版》  作者: 福乃 吹風
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8話 ユッキーノ街②

 猛吹雪の中、俺とアンジは剣汰の名を叫びながら歩いているも人の気配が全く感じない。本当にこっちで良かったのか不明でも、ちらほらと死屍デッドルタが出現してくる。大半は死屍デッドルタがいると、人が襲われているケースが多いらしいから合ってるっぽい。

 それにしてもこれ以上進むのは危険すぎなんじゃないかって言うぐらい、吹雪が止むこともなく強くなっている気がする。


「アンジ!一旦避難しよう!これ以上、進んでも体力が低下していく一方だ!」

「そうだね。僕の防御魔法も効かなくなってるから、洞窟で体を温めようか」


 ちょうど洞窟を見つけ死屍デッドルタが入って来ないようにアンジが保護魔法をかけてくれた。


「カステクライン!壁、エイの腹顔!」


 外が見えなくなり俺は目が飛び出しそうなぐらいエイのお腹がなんか面白くて笑っちまう。エイってちゃんと見たことなかったけど、よくよくみると顔のような形をしてるんだった。


「急にどうしたの?」

「悪い、あまりにもエイの腹が顔になってるから面白いすぎて」

「言われてみればイラストにありそうだよね」

「寮のイメージこれがいい」

「いいかも。顔じゃないけどお腹をイメージしたイラストを描いて申請してみよう。入ってくれる寮生は増えるかもしれないしね」



 やったと喜んでいたら誰か助けてと叫んでいる声がして、アンジは一度防御を解除し外に出てしまう。俺も行こうかとしたがアンジが早くと叫んでいて到着した子を入れてすぐアンジは再び魔法を唱えた。


「カステクライン!壁、エイの腹顔!」


 エイが壁になってくれて焚き火で温まっても凍えており、俺が着ていたコートを羽織らせてあげる。アンジはこの子に傷の手当てをしていく。


「大丈夫か?」

「ありがとう、アンちゃん。えっとそれから」

「俺は想心そうご、想心でいいよ。もしかして剣汰?」

「うん。材料を集めに山を登って採取して下山しようとしたら死屍デッドルタに襲われちゃって。そうだ。盾乃大丈夫だった?」

「大丈夫、剣汰くんを待ってるよ。吹雪が止んだら帰ろう」


 アンジが手当てをし終えたが、帰れないと体を縮こませて発言する剣汰で何かあったんだと理解した。だが今は話せる状況じゃないと理解し、回復したらちゃんと話を聞こう。


「そっか。んじゃ兄ちゃんたちもついて行くよ。でも今は体力を回復させることが大事だから、ご飯食べたら体を休めるな?」

「うん、ありがとう」

「それじゃあ夕飯、よろしくアンジ」


 任せてと保持してある材料でスープを作ってもらい、それをぺろっと食べ、剣汰はずっと逃げていたこともありぐっすり眠った。予備用に寝袋を持っててくれてよかったと剣汰の寝顔を見ていたら、アンジに意外と言われる。

「面倒見がいいんだね」

「そうか?まあ俺の両親、共働きで兄貴がいない時は基本、俺が芽森の面倒を見てたもんだからそれの癖がついてるだけだよ」


 小さい頃、芽森は俺にべったりで兄貴がめちゃくちゃ拗ねてる時あったなと思い出しながら俺たちも就寝することにした。



 翌朝、ぐっすり寝れ回復した剣汰は俺とアンジを起こし早く行かなきゃとなぜか焦っている。どうしたと起き上がってアンジが防御魔法を解除したらこっちと走ってしまった。

 ちょい待ったと言いたかったが吹雪が止んでおり、下山ではなくなぜか登って行く剣汰でどういうことなんだ。昨日は下山しようと思ったら襲われたって聞いたのによ。どんどん登って行き行ってみると剣汰が止まっていて到着すると荷物が散乱していた。


「剣汰?」

「今すぐ戻らなきゃ。盾乃が危ない!カステクライン!取り出し、箒!」

「おい、剣汰!行っちまった…」

「急ごう!」


 俺たちも箒を取り出してユッキーノ街へと急いだ。どうして盾乃が危ないのか気になる。


 ユッキーノ街に到着すると死屍デッドルタが人を襲っていて、俺が覚えた魔法で死屍デッドルタを倒す。


「カステクライン!水、雲雨の涙!」


 目の前にいる死屍デッドルタだけをやろうとしたのだが、雨雲が段々と大きくできてしまい、街全体に雨の射的が放ってしまった。まだコントロールできてなかったけど、やったじゃんとアンジに褒められながら武器屋へと急ぐ。

 武器屋へ行ってみたら扉は壊されており、中へ入ってみるとフードを被った知らない奴が盾乃の首を掴んでいた。剣汰は倒れていてやめろと俺は知らない奴に攻撃を当てる。


「カステクライン!水、カワウソの牙!」


 カワウソが一匹現れて知らない奴の腕を噛んでもらうも手を離そうとしなく、今度はアンジがカステクラインを起動させた。


「カステクライン!雷、雷獣の閃光!」


 雷を放つライオンが現れ知らない奴に向かって突進すると同時に、眩しい光に包まれて俺は見てられず目を一瞬瞑る。

 光が消えたと感じて目を開けると知らない奴と盾乃の姿がなく、カワウソが何かを加えて俺のところに来た。それをもらうとカワウソは消えてしまい、よくみるとカステクラインだ。


「カステクラインだけでも無事でよかった」

「よくねえじゃん!盾乃は誘拐されちまったんだぞ!」

「落ち着いて。盾乃ちゃんは大丈夫。殺されたりはしないよ。カステクラインが僕たちの魂を守ってくれてるからね。だからカステクラインが完全に壊されると死屍デッドルタになっちゃうんだ。とにかく剣汰くんに事情を聞かないとならない」


 アンジは壊されてしまったところを魔法でチャチャと修復して、俺は剣汰の部屋まで剣汰をおんぶして連れて行った。知らない奴に相当やられちゃってるけど平気なのかな。

 ベッドまで運びそこからはアンジが回復魔法で傷口を塞ぐ。


「カステクライン!水、貝殻の海波!」


 大きい貝殻が現れて耳に当てると海波が聞こえる音色が響き渡り、傷が段々と消えていくが顔の傷は癒えなかった。


「この魔法は八割しか治せない。後は剣汰くんが目覚めるのを待つしかないよ」

「へえ。それって初心の俺でもできるの?」

「ううん。この魔法は三段魔法士にならないと取得できない。それで想心の段階ではまだ見習い魔道士ってことになる。僕はちなみに二段魔道士だよ」

「まじか。だからいろんな魔法が使えるってわけなんだな。どうすれば魔道士の階級を上げられるの?」


 アンジが詳しく説明してくれて、階級にはポイントが関係しているらしく百万点を取らないと階級には上がれないんだそうだ。それに階級に上がれば上がるほど魔法の取得が増えるため大体の人はクエストで稼ぎまくっているらしい。

 ただポイントで階級をあげると貯めたポイントがリセットされるため一からやり直しが必要なんだとか。だからほとんどの人たちは平民希望で、十八歳未満の剣汰や盾乃のように資格を取得すれば平民に移せるんだそう。


 まあ俺は青の寮長としてという役目があるから平民には移らないと決めたしな。それに階級上げていけばアンジのようになれるし、まだお小遣い程度のポイントしかないけど、コツコツ貯めていこう。


「アンジは階級あげてきつくはなかったの?」

「最初は全然だったよ。でも校長のお言葉を受け僕は待ってないといけないんだって理解したから、現れるまで階級をぐんと上げて指導できるようにしたからね」

「え?もしかして一億点いってたのかよ」

「もちろん。もし僕が生まれ変わってしまったら、汀春さんが困るからもう少し待ってくれって校長が駄々捏ねてたな。僕が持つカステクラインは、汀春さんの右腕と呼ばれていた人が使用してたんだって。もしかしたら僕がその右腕と呼ばれていた人かもしれない。ほとんどの人も生まれ変わった人が使用していたんじゃないかって仮説があるらしいよ」


 腰が抜けそうなぐらい衝撃な事実で、仮説があるぐらいなら本当に俺は汀春さんの生まれ変わりなんだろう。ただ千年も眠りについてたらしいけど、生まれ変わるのに千年もかかっちまうものなんだろうか。

 俺が仮に生まれ変わったら千年後の未来ってことだよな。どんな世界になってるのか少し気になってしまうも、俺はまだポイントを稼げてないから、頑張るしかない。


 俺が面倒を見ている間にアンジは街を人通り見てくるそうで、俺は剣汰の部屋にあった本を借りて読書していたら盾乃と叫びながらガバッと起きた。


「剣汰、大丈夫か?」

「盾乃は?盾乃のカステクライン、奪われちゃったの?」

「カステクライン!取り出し、盾乃のカステクライン!」


 盾乃のカステクラインを取り出し、それを剣汰に渡してあげる。よかったと胸に当てており、借りていた本を本棚に戻し何があったのかを聞いた。


「僕のカステクラインである鋼の不死鳥は、汀春さんが親しかった鍛治職人さんが使用していた。それで盾乃乃カステクラインである鉄の七竈ナナカマドは、鍛治職人の奥さんが使用してたから、僕と盾乃はその能力を活かし、鍛治職人となってみんなのサポートに切り替えた」

「そうだったんだな。やっぱり現況は俺が来たから?」

「そこはわからない。汀春さんと親しかった人たちのカステクラインが襲われるのはしょっちゅうで、注意は払ってたから気になさらないでください、想心さん」


 剣汰がこんなこと言ってくれるとは思わず、絶対に盾乃を助けよう。


「それで盾乃が狙われているのはなんでだ?」

「大体は獄の世界にいる人たちの犯行が多い。今回もそうだった。盾乃が持つカステクラインを壊してほしいという依頼があっちにあって、最近は狙われないと思ってたのが間違いだったのかも」

「どういうことだ?」

「最近、ユッキーノ街で盗人が出ているのと関係しているのかもしれない。その時、武器屋に逃げて来て盾乃を人質に取られちゃったけど、その子が持っていたのはカステクラインじゃなくってデステクライン。獄の世界から来たらしい子で、その子に言われた。武器を渡してくれれば、妹の命は保証すると。最初は敵だから武器を渡して盾乃は解放されて、その子はいなくなっちゃった」


 獄の世界ではカステクラインではなくデステクラインを使用していると教えてもらった。デステクラインの力で死屍デッドルタを放っている。だがその子は盾乃の命を奪わず武器を調達して、すぐ逃げたということか。 


「それから頻繁に来てたか?」

「ううん。だけど僕が雪山で材料集め行く前に訪ねて来た。妹のカステクラインが壊されるかもしれないから僕が持っていろって。それを言ったら店を出てった」


 まるで予言者のように突如現れるっていうパターンかと考えていたら、アンジが戻って来て街は大丈夫だったよと報告してくれる。

 俺はさっき教えてくれた内容をアンジに報告すると、珍しいなと呟いた。

 

「盾乃ちゃんを襲ったのは別の人物?」

「うん。盗人は男の人じゃないよ、アンちゃんと同い年ぐらいだと思う。襲って来たのは初めてみる男の人だったから敵わなくて」

「なるほど。カステクライン!取り出し、写真!」


 アンジは四枚の写真を取り出しベッドの上に乗せて剣汰に見せると、この人だよと指を指したのは右から二つ目の人物だ。体が鍛えられていて、頬には傷が残っている男性。


「やはり青藍の葉桜か、透過の紅葉が選ばれたことで動き出してる。剣汰くん、ここから先は僕と想心で行ってくるから、剣汰くんはここで待ってて」

「お願いします。報酬ポイントは百万ポイントをお渡しします。どうか、僕の妹を助けてください」


 頭を下げる剣汰で絶対に助けるよと剣汰の肩に手を置き伝える。


「大丈夫。絶対に無傷で助け出すからな。盾乃が大好きな料理を作って待ってろ。約束だ。それとさんはいいよ。想心でいい」

「うん。ありがとう、想心」


 指切りげんまんをして俺とアンジは武器屋を出て、さっき指を指した人物について聞いた。


「さっきのって誰なんだ?」

「ダークグレーの寮長を務めているディーグという人だよ。確か自殺の原因は裏切りによっての自殺。だから天の世界にいる者は全員裏切ったような感覚で人を殺める。今から遭遇することになるけど、心の準備はできてる?」

「もちろん。どんな野郎でも俺は絶対に逃げない盾乃を絶対に助け出す。んでどうやって探すんだ?」

「そこは任せて。すでに把握してるから。カステクライン!取り出し、箒!」

「カステクライン!取り出し、箒!」


 アンジの後ろで飛びながら、アンジが把握している場所へと出発する。



 いい音色と聴いている奥様たちで、僕は慣れた手つきでピアノを弾いていた。何年ぶりにピアノを弾いたんだろうと思い出しながら最終曲を弾き終え、大きな拍手が来たからペコリとお辞儀をする。

 奥様たちに評判を貰えちょっと照れ臭いなと微笑みながら挨拶していると、依頼をした人から五十万ポイントをくれた。後五十万で六段魔道士になれる。百万ポイントを集めれば一段上がれるけど、全てリセットされちゃうのがちょっと嫌だけどいいか。

 ありがとうございますと伝えるとまた依頼を受けたいらしく、連絡先を交換してもらいたいと名刺をくれたが名刺はさすがに持ってない。


「えっと…」

「奥様、まだ思穏様は見習いなものでして、もし良ければ私が代理で引き受けます」

「あらそう、セブラちゃん。ならまた会食があった時に連絡するわね。今日はありがとう、思穏ちゃん」


 初めて思穏ちゃんと呼ばれて是非とスマイルを出して、僕とセブラは奥様のご自宅を出た。あそこまで喜んでくれる人、初めてでまだ笑みが出てしまっているような感じ。

 達成感を出せたことでやる気が出たから、早く次の依頼を受けに行きたいとセブラに伝える。


「早く六段魔道士になりたいから、次の依頼を受けたい。またあそこに行けばいい?」

「行かなくても俺がいいなっていう依頼書何枚か貰っといた。ほい」


 こんなにと数枚貰ってくれていてどれにしようかなと見ていたら、そういえばと疑問に抱いたことを聞いてみた。


「ねえいつもなら俺なのに、奥様たちの前だと私って言うよね?いつも通りでよかったんじゃ」

「俺の印象を下げないように上目の人たちには敬語使ってるわけ。それに一応、俺は思穏の世話役だからな」

「じゃあ僕はセブラの主人なんだから敬語使ってよって言いたいけど、セブラは見るからに俺様系だし、雰囲気がなんていうか想心に似てるから気が楽になるからそのままでお願い」

「へへ。そう思って最初からそういう口調にしてたんだよ。もし想心に会ったらどうする?」

「わからないよ。でも想心がいる世界を見てみたい。想心がそれで幸せならそれでいいし、僕も前に進めるような気がするから」


 にっと笑ってこれ受けたいとセブラに伝えて、そこに行ってみることに。



 雪山にある洞窟で死屍デッドルタが私を囲んでいた。魂はカステクラインにあるから実際に私を殺せないのはわかっている。

 剣ちゃんが傷だらけで、もういいから出してと叫んだ直後、絶対に出てくるはずがない私のカステクラインが目の前に来ていた。以前、先生が教えてくれてたこと。自分の思いが強ければ強いほど、カステクラインは開花する。それによって私は何かを閃きそうな時に、アンちゃんたちが来てくれた。

 アンちゃんの友達が出したカワウソに私のカステクラインを見せている間に、アンちゃんの魔法で手を離してくれたのが幸いだった。カワウソにカステクラインを加えさせたけど。この人に捕まっちゃったから拘束魔法で捕まっている。


「嬢ちゃんのカステクラインどこに隠した?吐け」

「言わないもん。どんなことされても、あなたに屈しない!」

「そうか。じゃあ火炙りされるのとわんちゃんに噛みちぎってもらうのどっちがいいか?」

「好きにすれば?」


 この人は冷んやりというかマグマのような暑苦しい笑みで、火刑のように縛られ火がぼっとついた。それに火がついている狼、デッドウルフが私を噛み始めていく。

 大丈夫、私には剣ちゃんがいるもん。必ず助けに来てくれると信じ、我慢していった。

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