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シゴノセカイ《改訂版》  作者: 福乃 吹風
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69話 猫はまた

 本当に冰春さんは大丈夫なのか少々心配になるも、滾良さんも来てたから大丈夫だと信じたい。不審に思われないように動いてはいるけれど、おそらく咲様は気づいている可能性が高い。迂生が猫柱であることを。それでも何も聞かれないのは、迂生が妹を心配しているからなのかな。

 母さんと会った時はまだその時、母さんはライトノ団長ではなく、カステクライン使いで、主に植物魔法を使用していた。迂生は母さんと再会したとき、涙がとまないぐらい泣いたのを覚えてる。


 るこが弟を誤って刺してしまったこと、そしてその光景をみた迂生は父親に殺されそうになっている、るこを庇ったこと。結局るこを守ることはできなくて、たどり着いたときは別の世界。

 一般はあの役所からのスタートだけれど、迂生はなぜか神の領域のような場所だった。綺麗すぎる場所で思わず見惚れていたら、李好さんに声をかけられる。


「君が猫柱。想像通りの子でなにより。歓迎しよう、ここは獣柱が集う場所。皆が待っている」


 最初は意味不明な場所に来てしまったのではないかと恐れていたけれど、李好さんについていくと迂生と同年代の子や李好さんより上の大人もいた。


「左から、鶏谷珺、鳩羽戸鈴翔、烏木滾良、狼牙藍雅、ーーーーーーーーー」


 全員の名前を教えてもらい、そしてもう一人。


「それで一番右にいるのが、長年と獣柱の番犬をしている龍桜冰春。今はアンジという名で動いてもらっているよ。冰春、優は少年でもあるから、教えてあげなさい」

「承知しました。李好さん、カステクラインはどうされますか?」

「優には重要な任務を与えたい。デステクライン使いに成りすまし、紅葉川家を監視してもらいたい。そのほうがいいでしょう?妹であるるこはあっちにいる」

「本当によろしいんですか?」

「えぇ。それに希望を持ってる。妹もカステクライン使いとなったその時は、救えるのは優のみ。冰春の指導を受け、時が来た時、紅葉川家と接触。それが優に与えられた使命」


 これが夢なら良かったと思っていた。けれど夢ではなく現実であり、そして迂生は冰春さんに教わることになる。獣柱の役目というのは龍ノ姫を護るためにできた組織みたいなもの。龍ノ姫というのはあの世とこの世を安定させる巫女だということ。悪いデステクライン使いから、天の世界を護ること。


 冰春さんの指導のもと、迂生の階級はすぐ上がり、デステクライン使いとして潜入する前。冰春さんが珍しく獣柱の集いに現れた。難しそうな表情をしていて、普段の冰春さんじゃなかった。


「冰春さん、どうされたんですか?」

「優くん、ちょっと頼みたいことがある」


 なんだろうと誰もいないことを確認した冰春さんは、迂生に語ってくれる。


「ライトノ団長のことについて気になってることはある?」

「…母さんのことですか?母さんは真実を知ってしまったことで、デステクライン使いになったとお聞きしてます」

「実際は違う。ライトノ団長は今まで空白だったんだよ。これで辻褄が合った。猫柱として動いている優くんのことを知って、優くんのお母様は父さん側についた」

「父さん?」


 セブラのことだよと言われた時は頭が追いつかなかった。まさか冰春さんがデステクライン使いで最も強いと言われているセブラの息子さんだっただなんて、誰も信じられないと思ってしまうほど衝撃だった。


「状況は分からない。ただ父さんが団長に推薦したわけには意味があるはずなんだ。なぜなら優くんの弟さんは猫柱には選ばれていないから」

「迂生の勘ですが、小さい頃、弟は猫に噛まれたことがあって、苦手意識を持ってしまったんです。迂生は幼い頃から猫が好きだったので」

「そうだったんだね。とにかく僕は弟くんと接触することが増えるかもしれないから、妹ちゃんのことだけを気にしていればいいよ」

「ありがとうございます。迂生がいることは一応伏せてあるので、内密にお願いします」


 もちろんと冰春さんは言ってくれて、迂生はデステクライン使いとして獄の世界へと潜入することに。本当にこっちを選ばなくてよかったと思いながら、適当に団に入っては抜け、どういう団がいるのかも報告を出していた。

 ただ一つ気になったのが、るこがどこにも団にいなかったことだ。登録されているライトノ国に訪れてみるも、るこの姿はなく、ること同年代ぐらいの子たちに聞いてみることに。


「あの、この子ってどこにいるか知ってるかな?」

「ルルラちゃん?そう言えば最近授業にいないね」

「うん。いつも先生に怒られてばかりいたから嫌になっちゃったのかな」


 それを聞いて不安が大きく膨れ上がっていた。もし魂が消えかかってしまったら後戻りはできない。すぐさま行きそうな場所を探してみるも、どこにもいなかった。


「るこ、どこ行っちゃったの…」


 落ち着かせていたら、優とお母さんの声が聞こえ、聞こえる方角をみる。冰春さんに言われた通り、母さんはライトノ団長の服装を身に纏っていた。

 ただ母さんは悲しそうな瞳で、僕の頬に触れる。


「ごめんね、優」

「母さんのせいじゃない。るこがどこにもいないんだ。母さんはどこにいるか知ってるの?」

「知ってるけど、覚悟は必要になる。るこはバイル村にいるわ」

「ありがとう、母さん」


 母さんはカスてクライン使いでもあったから、僕が潜入できているにも関わらず、上には報告しないでくれて自由に動けた。バイル村に到着して、るこどこにいるのかなと探し回っていたら、浜辺で何かを探している。


「るこ!」


 振り向いたるこは迂生のこと気づいてくれている、そう思っていたけれど違った。


「だあれ?」


 なぜ迂生のことを忘れているのか、心の整理がつかなくとも、無事でよかったと、つい抱きしめてしまう。


「お兄ちゃん、だあれ?」

「優」

「すぐる?」

「そう。優。何を作ってるの?」


 たとえるこの記憶に迂生のこと思い出せなくても、いずれ時がくれば思い出してくれる。そう願いながらるこが何を作っているのかを聞いた。


「ルルね、大好きなお兄ちゃんにプレゼントしたいの」

「プレゼント?」

「うん。ルルのこと止めようとしてくれたのに、間違えて刺しちゃった。だからごめんなさいって言いたくて」


 弟、ゆうはるこを止めようとして、刺された。迂生はその時、宿題をしていて、るこの叫びで降りたら手遅れだったのを思い出す。状況を理解し父さんがるこを殺そうとしている姿を見たくはなかった。

 ちょうどその時、実は焔と璃子が遊びに来る予定で、その二人も現場を見ていたんだ。


「焔、頼む!」


 それを告げ、るこを守り切れたと思っていた。焔と璃子は幸い、父さんに目をつけられることがなかったそうだ。結局、父さんは子供たちを失ったショックのあまり、自殺をした。

 

 もちろん父さんは獄の世界にいるのはわかっていて、様子を見に猫の姿となって歩いていた時だ。グレイというダークグレー団長を務めてている少女と父さんが歩いている姿。

 まるでること歩いているような感覚を浴び、父さんがなぜその団にいるのか確認がしたかった。


 父さんは娘を見るような目でグレイに微笑んでいること。グレイをること重なり合って、もし、もし何もなければあぁいう未来があったんじゃないかって思ってしまった。

 けれど実際、るこを見るとその憎しみがでるようで、あっちにいた頃の父さんじゃなくなっていると確信が持てた。


 だからなんとしてでも迂生はるこを、母さんを守らなくちゃならないと思い、思穏先輩が来るまでは猫としてるこのそばにいることを決心した。


「もう一人のお兄ちゃん…?」

「そうだよ。やっと思い出してくれて嬉しいよ」

「優お兄ちゃんっ」

 

 るこは迂生に抱きついて何度もごめんなさいと謝り、迂生からもごめんねと謝る。お母さんはいつ自分が母親であるのか分からないけど、寂しくないようにもう明かす必要があった。

 ただセブラさんがどのタイミングで迂生が猫柱であることに気づくかも不明だ。もしかするとすでにみよりさんが話している可能性だってある。ただいまは、るこのそばにいてやりたい。


「あっ」

「ん?」

「本当は悠お兄ちゃんに渡そうと思ってたけど優お兄ちゃんにあげる」


 貝殻で作ったブレスレットであり、ありがとねと撫でているとセブラさんたちが戻ってきた。


「あの鶏男、本当に腹が立つ。それに俺の息子たち、大丈夫かな」

「大丈夫じゃないかしら?二人を信じてあげなくちゃ」

「あんまり息子っていうのも変か」

「息子って?」


 思穏先輩が疑問を思っており、セブラさんが正直に話す。


「想心と一緒にいる子は、実は俺の息子なんだ。なんでまだいるのかは分からないんだが、いつか生まれ変わって新しい人生を歩んでってほしい」

「へえセブラさんに息子さんがまだいたんですね」


 ここはばれないように伝え、そうなんだよと話を進めてくれるセブラさん。


「冰春が天の世界に来たとき、すぐ駆けつけてやりたかったんだが、すぐ冰春の名前が消えてさ。正直、不具合かと思ってた。まさかあの姿となって過ごしていただなんて父親失格。本当は気づいてた。息子である光がどこにあるのか。それなのに俺の足は動かない」


 セブラさんは自分の足を触れ、セブラさん、やっぱりと気づいてしまう。おそらく想心さんがきてから、光が強くなっていること。


 そうか!


 潜入してくるよう命じられたのは思穏くんの他にセブラさんの光具合を見るようにということ。これはすぐ報告したいけど、また消えれば思穏先輩に疑われる。

 とにかく様子をみて報告しに行けば良さそうかな。


 ◆


 普段作れていた薬草がうまくできない理由は、材料は確かに間違ってないし、白い向日葵が関係しているのかもしれない。タンザ校長もしくは莱愛さんに聞くしかなさそう。

 考えていると焔に呼ばれる。


「何かあったの?」

「くるめ情報があるが、一応覚悟は必要になるかもしれないとくるめが言ってた。どうする?」


 小生が気になっていた情報が手に入ったってことなんだ。随分前から覚悟は持っている。


「話してほしい」

「優がスパイとしてライトノ団員になっている。どういうわけかは知らない。ただ言えるとしたら優は」

「覚悟はしていたよ。それに母さんがデステクライン使いになったのも、優がやろうとしていることを防ぐため。小生はできる限りのことをしようと思ってる」

「もし親父さんが会いに来たらどうするんだ?」


 その言葉で父さんはどんな表情で会いにくるのか想像がついてしまう。きっと小生だけには通常通りに接してくる。


「父さんを止める。焔、その時は頼みたい。るこを守ってやってほしい。胸騒ぎがするんだ。優と母さんがるこのそばにいたとしても、父さんは必ずるこをどうするか想像がつく」

「自分もできることはやってみるが、カゼノ国に行くつもりか?」


 行くつもりと言おうとしたところミケが強引に扉を開けた。ミケは何かを焦っている様子で、首に下げているホワイトボードに何かを書き、小生たちに見せてくれる。


「アンジの正体がやばい…?」


 つい焔と顔を見せ合い、ミケは続けて小生たちに教えてくれる。


「獣柱と繋がっていた…えっだとしたら想心さんが危険になるんじゃ」

「ミケ、なぜアンジの正体がわかった?」


 いきなり焔はミケを疑い始めていて、ミケはホワイトボードに書こうとはせず、焔をじっと見ていた。ミケは確かにグレイの呪いによって巨大猫になったと聞いてる。ただ実際、本当は違うとしたらミケは何者なんだろうか。


「重要なことは書けないから、黙ってるふりをしてるんだろ?」

「違う」


 ミケが初めて喋り首に下げているホワイトボードを下ろして、ミケの正体が明らかとなる。


「俺は想心の先輩だった久々くぐつみけ太。想心を一時期いじめてた奴。顔を合わせる勇気がなくて、喋ることができなかった」


 焔は今でも爆発しそうな怒りを浴びていたとしても、ミケは話を進めていく。


「俺がアンジの正体を知れたのは、せなを追いかけてた時にみたんだ。アンジが別の人だってことを。それですぐさまこっちに戻って来た」

「別の人はどんな姿だった?」


 怒りまじりで聞いている焔で、ミケはある一枚の写真を小生たちに見せてくれた。どこでこれをとミケの表情を伺うとミケはあることを言われる。


「龍桜咲さんから預かった。もしアンジが獣柱の元へ帰ってしまったとき、想心はおそらく闇へと堕ちてしまう。それを防ぐためにも、事前に知らせておく必要があると。ただそれを伝えるのはアンジ本人だから、説得して想心に話してほしいって」

「まさか汀春さんが双子で、弟がいまも新しい命ではなくここにいるだなんて。それをリディー先生が知っていたら」

「話は聞かせてもらった」


 リディー先生はライオンの怒りのような表情できて、やっぱりこうなりますよねと思った。


「おい、化け猫。なぜ貴様が龍桜家と関われる?」

「いや、知らないです。逆になんで俺に託したのか意味が…なんかすみません」


 リディー先生の圧が凄すぎると苦笑してしまうほどで、リディー先生は写真を眺め、リディー先生が疑問を抱いた。


「アンジと一緒にいるとき、なぜか懐かしさを感じていたんだが、汀春の弟だったとはな。だが疑問だ。アンジの魂は花畑蓮のもの。これは深く調査する必要があるな」

「実は咲さんから花畑蓮について聞いてます」


 ミケが言うと焔は炎を出し、リディー先生は吹雪を降らせる。あぁ小生が育てた花たちがと思わず二人を叱った。


「焔!リディー先生!ここは温室です!花たちを傷つけないでください!」


 伝えると二人の怒りは鎮まり、すまないとリディー先生が言うも、焔はつら貸せとミケは連行されてしまう。花たちが無事か確認をとって追いかけた。

 リディー先生も知らない歴史が存在するとなれば、一体千年前に何が起きたんだろうか。


 ミケを連れてった場所へと行き、ミケは正座をさせられていて二人ともやりすぎではと思ってしまった。


「花畑蓮となってアンジは過ごしていたとお聞きしています。汀春さんと会うことを禁じられていたようで。ただ一つ、アンジさんはそのことすら覚えていないようなんです」

「覚えていないと?」

「おそらく獣柱によってなのかは分からないようで、アンジも暗示がかかってその記憶は抹消されていると」


 小生はどう受け止めるべきか分からないけれど、リディー先生は何か思い当たる節があるのだろうか。焔はさっきの怒りは消えていて、考えている。


「先生が知らない出来事があったとはな。アンジはさぞ辛かったであろう。一部の記憶が消え、先生と共に歩んだことすらも忘れ去られている。この件に関しては他言無用だ。他の者に聞かれては、のちにアンジの居場所を失ってしまう」

「その方がいい。アンジは想心の隣にいさせるべきだ。ただ注意が必要になってくる。そこら辺はくるめと相談してみるから、テンファは剣汰や他の寮生に気づかれないよう過ごせ。あとミケ、今後も喋らずホワイトボードで内容を伝えろ」


 うんうんと頷いていて、全てが終えたとき、ミケはきっと想心さんに謝罪をするんだろうなと感じた。 

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