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シゴノセカイ《改訂版》  作者: 福乃 吹風
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51話 ハツコウ発電所①

 よりによってシャン・エンディリアと遭遇するとは思いもしなかったけれど、結局逃げられちまって雫はだいぶ落ち込んでいた。誰と戦っていたかは不明でも、カミナリノ王国に行けばまた会えるんじゃないかと、ただいまカミナリノ国に入ったものの、荒い嵐に雷の音がすごくて、このまま進んでも平気なのか少々不安だ。

 避難したくても周りは木々に覆われていて、いつ感電してもおかしくはない状況だった。特に俺たちは水魔道士でもあり、感電しやすいから、莉穏さんが作ってくれたものでなんとか進めてるけど、剣汰はつけていない。


 本当に大丈夫か心配になるも進むしかなさそうだなと歩いていたら、発電所っぽい建物が見えた。あそこで少し休ませてもらおうと俺たちは発電所へと訪れてみる。

 扉があるも取手らしきものはなく、カードタイプのものなのだろうかと扉の前で突っ立っていたら、扉が自動に開いた。建物に入ったことで俺たちは結構体力を使っていたことがわかりばててしまう。


「カミナリノ王国まで後どれくらい?」

「まだ先だと思う。雷がなければ飛行ですぐ行けると思うんだけどね。それにしても発電所だと言うのに少し暗い感じがする。気を緩めないほうがいいかもしれない」


 言われてみれば蛍光灯がチカチカしているしロビーや廊下も薄暗く、何かが出そうな発電所だった。一階のみなのか、それともこの建物自体、すでにデステクライン使いが使用していたら、まずアウトだろうな。

 とにかく人がいないか探そうぜと雫と剣汰に伝えようとしたら、俺とアンジ以外姿がなかった。


「アンジ!」

「全然気配すらなかった…。とにかく別々で動くのはよそう」


 一緒にいた雫と剣汰がどのタイミングで姿を消したのかわからない。確かに発電所に入った時には二人の姿はあった。何がどうなってんだと歩いていたら、雫の叫び声が聞こえ、聞こえた方角へと急ぐ。

 行ってみると雫はロボットたちに拉致られていて、ロボットは侵入者、侵入者と言っていた。


「雫を助けるか?」

「今助けたら、何かが起こるのは確かなことだよ」


 ロボットたちは俺たちがいるにも関わらず、その先へと進もうとしている。剣汰もロボットたちに捕まってしまったのかは不明だが、なんだこの妙な感覚。

 もしかしてすでに剣汰はすでに父親である白金銀に捕まったのかもしれない。早くしないと剣汰が危ないとロボットの後ろを歩く。


「後ろにいても僕たちに反応がないのがおかしい」

「触れてみるしかなさそうだろ」


 一か八かで前にいる一体に触れてみるも、無反応で前を歩いていた。となれば雫を運んでるロボットに触れれば何か起きるかもしれないと、アンジに伝えアンジがロボットに触れてみる。しかし物に当たったような感覚なのか、アンジにも無反応だった。

 どうにかしてロボットから雫を取り返せないだろうかと、ロボットの手を動かそうとも動かせられない。


「雫、一体何があったんだよ」

「わかんないよ。ただ、床のタイルを踏んだ時に、落下してロボットがいる部屋に辿り着いたらこうなったの」

「床にはトラップがあるってことなんだね。だけど僕たちタイル踏んでも反応しないのってどう言うことなんだろう」


 デステクライン使いに反応してしまうって認識でいいんだろうけど、剣汰も落下したのだろうから、違う部屋に着いたってことになる。そうなるとやっぱり早めに剣汰を探すしかなさそうだな。

 長い廊下を歩いた先には思いがけない場所で、そこには豪雨もなく、雷もない晴天の空に街並みがあった。そして城が見えるってことはカミナリノ王国に着いたってことでいいのだろうか。

 それにしても住民たちが袴を着ていたり、着物を着ている人たちが多くいた。建物自体もなんというか和風感が半端なかった。


「あれ?本で読んだ時は行き方が違ってたんだけど」

「そうなのか?なんか和風感があるのにロボットがいるって違和感しかない」


 早く降ろしなさいよとロボットに言う雫で、解除方法を誰かに聞いたほうがよさそうだな。城下町を歩いていると団員らしき人がいて、声をかけようとしたところ、すごい数の女性陣がその団員にちやほやされている。

 年齢的には三十後半から四十前後で、テレビに出てそうな顔立ち。国民的アイドル的な人だなと隅っこでその光景を見ていたら、ロボットに担がれている雫があの人と声に出す。


「あの人、ドラマや映画によく出演していた人だよ。えっと確か名前は瀬雷哉一せらいなりいちさん。二人とも知らない?難病が発覚して、四十の若さで亡くなった。まさかここで出会えるだなんて驚き」


 俺はあまりドラマや邦画は見なくて主にアニメやゲームならついていけるんだけどな。まあどこかで会えるっしょとロボットが進むんで、後ろをついていくことに。

 着いた場所は城に到着し、このままだったら牢屋に入れられちゃうんじゃないかとストップと俺とアンジは前に出る。それでも動こうとするから、雫を降ろせと城門の前でやっていたら、何やっとるんじゃとイッシェの声がかかった。

 するとロボットはぴたりと止まり声の主にこう言ったのだ。


「イッシェ殿、お帰りなさいませ。侵入者確保しました」


 ズコーっと俺たちはずっこけ、イッシェが開発したロボットなんかい。誤作動かのとイッシェはその場でまじまじと雫を担いでいるロボットを確認している。となれば剣汰も無事だよなと思っていると、降ろしてと剣汰の声が聞こえた。

 雫と同じパターンになってたのかとイッシェがいることで、全く同じ言葉を言い出し、誤作動じゃなとイッシェは言う。降ろしてあげるんじゃと、イッシェが言うとロボットは雫と剣汰を解放した後、発電所へと戻っていくようだ。


「すまんのう。後でしかと見ておくのじゃ」

「イッシェ、こっちに来て平気なの?」

「むぅ本当は来とうなかったんじゃが、想心に伝えなければならぬことがあってのう」

「直接、連絡くれればよかったんじゃ」


 首を横に振るイッシェであり、校長に挨拶し終えたら向日葵畑に来てほしいとイッシェはひと足さきに、向日葵畑へと向かわれた。

 雫と剣汰はまだロボットに捕まるのではないかと俺たちの服を掴んで警戒している。もう大丈夫じゃないかと城の扉を開けた瞬間、爆発に巻き込まれてしまった。

 ケホケホしながらすごい爆発だったなと髪の毛はチリチリ状態になり、周囲にいた子たちも丸こげ状態となっている。


 ごめんなぁと謝っている人がいて、校長いい加減にしてくださいと先生が叱っていた。あの人が校長なのとびっくりしてしまうほどで、突っ立っていたら俺たちを発見しこっちに来る。


「ミズノ王国の留学生たち、待っていたでぇ。わいはカミナリノ王国国王兼校長をしとる、ダンザ。よろしゅうな。んでかわええ、イッシェもおったようなんやけど」

「それなら」


 いきなり口元を塞ぐアンジで、会っていませんと嘘をつくアンジ。察知したのかえぇよえぇよと聞かなかったことにされた。事情は後で聞けるのだろうと、アンジから解放された俺は、留学届をダンザ校長に渡す。


「しかと受け取ったで。そんでなんやけど、どっから入って来たん?」

「発電所から来ました」

「ハツコウ発電所か。あそこはな、イッシェが持っていた発電所なんや。詳しいことは本人から聞いたほうがえぇから、わいからは言わへんけど、イッシェはミズノ王国に移った理由。アンジくんは分かっとるかもしれへんけど、君たちの団長である滝木くるめちゃんとイッシェは姉妹やから移ったんや」


 俺の読みはやっぱり当たっていたんだと理解し、それじゃあ団長も来ればよかったんじゃないかと感じでしまう。


「移った理由は、他でもないん。大好きな妹のそばにいられなかったことや」


 団長がイッシェの妹だなんて信じられなかった。


「これ以上わいから言ったら、くるめちゃんが怒りそうやからやめとくわ。ほんで想心くんたちにやってもらいたい依頼があってな。ハツコウ発電所に死屍デッドルタが出現することが最近多くてな。その調査をしてもらいたいんや」


 またあそこに行くのと雫と剣汰はしかめ面になっており、行きたくないと顔に出ている。それでも校長のご指示だから受け入れるしかなく、調査しますと伝えた。


「調査致しますが、一つ確認したいことがございまして」

「なんや?」

「白金銀が関わっているとかじゃありませんよね?」


 ここで白金銀が関わっているとなれば、慎重に動かなければならない。それにもし俺たちがこっちに来ていることで、盾乃が襲われる可能性だって出てくるはずだ。

 ダンザ校長は人差し指を頭につけ考えていて、剣汰は少し緊張感を出していた。豆電球が光ったように何かを思い出したのか俺たちに教えてくれる。


「白金銀はあんま見いひんけど、ハウヴァっちゅう子はよく見かけるって聞いてるで」


 俺たちはげっと顔に出ていたかもしれない。あまりあの時のことは思い出したくないんだが、剣汰を連れて行っても平気か迷ってしまうほどだ。ハウヴァに捕まったら何されるかわからないし、警戒は出しておいたほうがよさそうだ。


「ありがとうございます。あの、それから紅葉川さんがこちらにいるとお聞きしたのですが」

「あの子の祖父母なら南の城下町で研究をしてるから尋ねてみるといいよ」


 再びお礼を伝え調査は明日からでいいと言うことで、まずはイッシェが待つ向日葵畑へと行く。確かこの辺だったはずと進んでいくと、俺たちはつい見惚れてしまった。

 スクスクと育っている向日葵が広がっており、もしかしてと俺はついカステクラインを起動させ、テンファに連絡をとる。


『どうかされました?』

「テンファが探していた素材って向日葵のことか?」

『ちょっと違います。白い向日葵がカミナリノ国に咲いているようなんです』


 見た感じここでは黄色の向日葵しか咲いてはおらず、見つけたら採取しとくよと伝え、イッシェがどの辺にいるのか探す。イッシェどこだろうかと探し回っていたら、イッシェを見つけるもどこか寂しそうな表情をしていた。


「イッシェ?」

「あっ想心たち来たのじゃな。すまぬ」

「いいよ。それでどうした?」

 

 イッシェは向日葵を見ながら過去の話を教えてくれた。



 あれはきっと忘れたくても忘れられない、くるめには深い傷を負わせてしもうたかもしれぬ。いつも妾の真似をしておったのう。ねえね見てと無邪気に笑うくるめの笑顔は一番じゃった。


 そんな時、悲劇が起きたのは雨による災害が起きよって、妾たちも避難している最中に妾に言った。


「ねえね、お家に忘れてきちゃった」

「何をじゃ?」

「宝物」

「大丈夫じゃ。落ち着いたら家に帰れるから辛抱するんじゃ」


 そう言ってもくるめは何度も後ろを振り向いては、落ち着きがない様子じゃった。土砂災害が相次ぎ、妾の家は無事なのか不安が積もるばかり。

 そしていつの間にかくるめがいないことに気づいて、両親や大人たちは慌てておったのう。妾もくるめを探しに足が動いておった。


 胸がざわざわしよって、何かとてつもないことがくるめに起きそうで、怖かったのじゃ。家の付近でくるめが立っており、くるめの手を掴んで叱ったのう。


「何をしてるんじゃ!はよ、戻るのじゃ!」


 雨の中じゃったからくるめが泣いているのかわからずとも、ごめんなさいと妾に謝ったのじゃ。はよ、避難所へ戻ろうとした時じゃ。周囲に木々があったことで妾たちは雷に打たれてしまった。

 目を覚した時にはくるめの姿はなくて真っ暗の場所じゃった。どこじゃここはと体を起こして一歩を踏み出すと蝋燭の道ができよる。夢でも見ているんじゃろうかってできた蝋燭の道を進んでいくとひらがなでてんごくと書かれてあったのじゃ。昔、おばばが言っていた場所に来ちゃったのじゃと、その先へといくと案内役の人がいたのじゃ。


「こんにちはなのじゃ」

「君が滝木〇〇ちゃんかな?」


 こくんと頷くと案内役の人に手を差し伸べられ、妾は案内役の手を握り歩き出す。いくつか質問をされ多少は混乱があったのじゃが、帰りたくても帰れぬと理解し、最後の色は何が好きじゃと聞かれたのじゃ。

 妾は青が好きなのじゃが、くるめが向日葵が大好きじゃったから黄色にしたんじゃよ。


 手続きが終え黄色い扉の前でドアノブを掴んだのじゃ。くるめが無事で過ごしてくれたらと視界がぼやけるも、ドアノブを捻り、扉の先へと行ったのじゃ。扉の先はまさしくも向日葵畑で、妾は溢れていた涙が止まらなかったのう。

 まだくるめと遊びたかったという想い、くるめが寂しくないか不安という想いが溢れよって、しばらく動けなかったのじゃ。


 泣いておったら妾を抱っこし頭を撫でてくれて、妾の頭を撫でながら大丈夫やでと言ったのが、ダンザ校長じゃった。


「大丈夫や。わいがこれから〇〇の親父となるで。寂しいかもしれへんけど、〇〇のような子たちも多くいるんやで。今は受け入れられないかもしれへんけど、また家族や妹に会えるさかい。せやから」

「親父というより兄じゃのような若さじゃ」

「ははは。せやったら、〇〇の兄になるで。よろしゅうな」


 ダンザ校長の顔は向日葵のような笑顔で微笑みかけ、慣れない間はずっとダンザ校長についておったのう。この世界になれ色々学び、ハツコウ発電所をダンザ校長からもらった時はびっくりしたのじゃ。


「なぜ妾にくれるんじゃ?」

「イッシェがここに残ると言ったからで。好きに使ってええよ」


 ダンザはどこか寂しそうな笑顔をしながらも、妾がここに残る理由を責めたりはせんかった。名前を変更するということは永久にここに残るっちゅうことを意味するからじゃ。

 なぜなら妾は今も心の奥底に怒り、憎しみがあって、それがいつ爆発するかわからぬ。


 ダンザがリヴィソウルをくれた時、くるめが幸せに暮らしておると信じたかったのじゃ。それなのにくるめは夫に暴力を振るわれ、子供たちにも酷いことをしておった。

 もし、もし妾が生きておったらとその日以来、奴への復讐心があるも、無事でいてほしいと願っておったのじゃ。


 それなのに甥っ子も姪っ子も、そしてくるめの名の通知を受けた時、心が張り裂けそうな怒りと憎しみが強うなった。

 それでもくるめは平然と暮らしながら団長という座に昇り詰めていたことで、少しでもと想いミズノ王国に異動することを決意したんじゃ。



 俺たちはイッシェの過去を知り、すぐ理解ができたと剣汰の顔をつい見てしまう。剣汰は気づいている様子ではないようで、俺たちが言ってもいいのか判断しにくい。

 ここはあえて母親である団長から言ってもらったほうがいいのだろうと俺たちはその言葉を呑み込んだ。


「ダンザが妾のこと心配してくれてるのはわかっとるんじゃ。妾が闇堕ちするかもしれぬという心配」

「団長とよく話したんですか?」

「言えぬ。そもそも妾はくるめがこっちに来た前に名前を変更したんじゃよ。じゃから」


 イッシェが言おうとしたら剣汰はイッシェの手を握って、明かされる。


「母さんはイッシェさんのこと、姉だとわかってますよ」

「なん…じゃと?」

「僕たちが団に入らないわけは、母さんの想いを受け、平民として動いてます。もちろん、本当は青の団員として動きたかった。だけど母さんはそれを望んでいないのはわかっていて、だからせめてサポートできるようにと鍛治職人になったんです」


 ん?剣汰の苗字は梶で、団長は滝木で、あいつは白金……。どちらかの母方の旧名を使っているという認識でいいんだよな。イッシェはそうなんじゃなと自信がついたような笑みを出し、ありがとなのじゃ剣汰と言う。


「少し自信持てたのじゃ。くるめと話してみるのじゃ」


 イッシェは早速、団長と話してくるみたいで、もう一つ理解できたことがあった。あの時、剣汰と盾乃が襲われた時に、団長がすぐ来たのは子供たちを守るために動いていたんだろう。

 ただなぜ俺たちに教えてはくれなかったのか、それは後々教えてくれるだろうと思い、そのことは聞くのをやめた。


 少しして通常のイッシェに戻り、今度一緒に買い物に行く約束ができたようで、イッシェはそのままダンザ校長に報告しに行かれた。

 剣汰と雫は武器屋へと行き、俺とアンジは思穏のじいじゃんばあちゃんに会いに行くことに。どんな人なのかなと南の城下町を歩いていたら、あのっと声をかけられ振り向く。振り向いたら女子たちが複数いて、いきなりサインしてもらえませんかと色紙とペンを渡される。戸惑っていたらちらほらと葉桜様だと聞こえた。


 サインっぽく書けないけどと書いてあげると、ありがとうございますと立ち去っては次の女子が来るもんでアンジがストップをかける。


「申し訳ございませんが、主人はただいま任務中なので、これで失礼致します」


 礼儀正しくお辞儀をして俺の背中を押しその場から離れることになった。



 グレーノ王国はライトグレーノ王国と違ってほっとしている自分がいる。想像していた王国ではなく、ごく普通にあるような王国でよかった。まずはグレーノ王国の王様にご挨拶して、それからグレーノ団長である白金団長に挨拶だよね。

 さっきはハウヴァさんが危なかったってどういう状況だったのだろうか。


 僕をどこかに連れて行こうとしていた連中は、グレーノ兵に引き渡しちゃったから、動機は聞けない。姉がなぜあのタイミングで現れたのかも意味不明だった。

 僕がこっちに来てすぐ会っていてもおかしくはなかったはずなのに、どういうことなんだろうとグレーノ城に到着し、城内は変わらず生徒で溢れている。


 慣れるのが怖いぐらい、先生たちは生徒たちにびしばしと指導をしていた。止めたくても止められないのも辛いよとあまり見ないようにしてセブラの後をついていくとセブラーと走ってくる女性がいらっしゃる。

 その女性はセブラに飛びつき、会いたかったと言うも、セブラは会いたくなかったと言い出す。


「そんなこと言わないでよ。んっもう照れ屋さんなんだから。そうだ」


 その女性はセブラに抱きつくのをやめ僕の前にたち、僕の頬に触れる。


「可愛い顔立ちしてるのね」

「あまり色気出すなよ。それとハウヴァを虐めるのはもうよせよ」

「えぇだって、ハウヴァが悪いのよ。せっかくのお茶会をいつも台無しにするから、お仕置きする必要があるじゃない?このまま、私のお人形になってくれても」

「だーかーら、思穏に手出すんじゃねえよ」


 けちん坊と手を離し、一体どちら様でしょうかと二人の会話を聞いていたら、国王陛下お待ちくださいと兵が言う。この人がグレーノ王国の国王様とご挨拶をしようと思ったらこう言われた。


「堅苦しいことはいいよ。今日の夜、晩餐会開くから絶対に参加してね。セブラ、例のこと」

「あぁわかってる」


 例のことって一体と王様は行かれてしまい、セブラは深いため息を出す。


「思穏、晩餐会俺抜きで出られるか?」

「出られるけど、セブラはどこに?」

「野暮用。すぐ終わらせて戻ってくるから、ルルと優の面倒を見てやってくれ」

「…わかったけど、怪我だけはしないでよ」


 わかってると言うセブラは、僕たちに衣装を渡した後、すぐどこかへと行ってしまう。僕には言えない何かがあるのか、それともさっきの件で何かわかるのかは不明でも、大丈夫だよねと晩餐会の時間になるまで城下町を歩くことにした。

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