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シゴノセカイ《改訂版》  作者: 福乃 吹風
47/72

47話 ラットリエ姫の暴走②

 焔副団長に言われてねずみを探し回っているも、どこを探せばいいんだと探し回っていた。アンジは心当たりがあるような場所を探しもらっているもどこにもいないと連絡を受けている。

 デステクライン使いと接触できればなと箒に乗って探していたら、ミケが手を振っていた。緊急っぽいようで早くこっち来いという合図をもらい箒から降りた。


「ミケ、何かあったか…え?夏海?」


 みゃあと鳴いていて想像していたのと全く違うんだがと猫になっちまった夏海を抱っこしてあげる。普通サイズなのにその一方ミケは熊型。何がどうなってんやらと思いながらも、ミケに頼るしかないか。


「至急、デステクライン使いのねずみを探し出せそうか?」


 ミケも心当たりがあるような感じで夏海を抱っこしたままミケについていくことに。行ってみるとそこはニャウ族が屯っている場で、そこになんとニャヴィがねずみと談笑していたのだ。

 えっと猫に狩られたってことでいいのかとポカンと突っ立っていたら、ニャヴィがやっと来たにゃと俺の腕を掴みねずみの隣に座らせられる。


「今さっきネズミ仕掛けにはまってたんにゃ」

「それに引っかかるもん?」


 ねずみは少々恥ずかしそうな顔立ちをしていて、誰だって引っかかるもんと言い出した。これは深く聞かないほうが良さそうだなと相談を持ちかける。


「あのさねずみ、わかっちゃいると思うんだけど、ファウが闇落ちした。だから」

「わかってる。お父さんから聞いたからここに来た。ファウに伝えても効果は薄いかもしれない。ただ後悔はしたくないから」

「ありがとう。あっアンジに見つかったって言わなくちゃ」


 アンジに連絡しようと思ったら扉が開き、ここにいたのと息を切らしながらばてるアンジであった。すると抱っこしていた夏海がぴょんっと降りて、ねずみの膝に乗り何かを伝えたくともみゃあみゃあと鳴いているから俺たちにはわからない。

 そしたらニャヴィが通訳をしてくれたのだ。


「あたしはこうなってしまったけれど、ファウのお姉ちゃんなら絶対に止められるって信じてるって言ってるにゃよ」


 ニャヴィは猫だから猫が何を伝えたいのかもわかるんだな。ねずみはやってみると夏海に触れていて、それでどうやっねずみの家族とそれからラットリエ姫を止めるかだ。

 何かいい策があればいいんだがと思考を膨らませていたら、強引に扉が開き雫かと思えば灯田副団長だった。


「想心くんたち、今すぐ来て!レイム団長が暴走しちゃって焔副団長と喧嘩し始めちゃった!」


 ラットリエ姫の暴走を止めていたんじゃないのかと思いながらも、俺たちはすぐさま焔副団長がいるところへと戻ることに。


 行ってみると本当に喧嘩というより争い合っていて、しかもラットリエ姫が出した巨大ネズミが二人を襲いかかっている。これは援護したほうがいいのか疑問だ。

 なぜなら二人は邪魔だと巨大ネズミを追い払っているし、援護したら俺たちにも牙を向けるんじゃないかって気がした。


 見ているとファウがこっちへと来て、ねずみが俺たちと一緒にいることに気に食わないんだろう。


「なんでお姉ちゃんがそっちにいるんすか?デステクライン使いなんだからさ、普通こっちのはずなんだけど?」

「ファウ、ううん和希かずきお父さんもお母さんも和希がデステクライン使いに変わること望んでないよ」

「そうさせたのはお母さんじゃないっすか!自分は何度も何度もお母さんに言ったんす!お母さんが何をしたのかっ。それなのにお母さんはカステクライン使いだなんて意味がわからないっすよ!」


 本当は全てファウは知っていたんだとわかり、悔しそうな顔立ちで俺たちを見ている。明香さんが何をしたのかは俺たちはまだわかっていなくても、闇落ちするほどショックすることがあったとしか言いようがない。

 雫、まだかとファウが俺たちに攻撃しようとしたところ、明香さんたちがやって来た。


「和希…」

「自分はこの手でお母さんの魂を狩るっす。話しても無駄」


 ファウの周りに黒紫のような光が現れ、それを見たらしい焔副団長とレイム団長が俺たちの前に来た。


「明香、わかっているな?たとえ息子であろうともこれはもう助からん。覚悟ができなければ家に戻れ」

「いいえ、残ります。私の手で無魂むこんに戻します。なので青の団の皆様はラットリエ姫を止めていただけますか?」

「ラットリエの暴走は自分のせいだ。自分たちでなんとかする」


 感謝しますと明香さんはいい、無魂むこんってどういうことだ。変わり果てたファウを茜の団はカスてクラインを使いながら攻撃し始めていく。

 俺たちは巨大ネズミが茜の団を邪魔しないように阻止することに。



 始まりましたわねとその光景を見物していましたわ。家族の絆はとうに壊れていて、修復することはもうできませんの。隣で様子を見ている牡丹はまだ迷いが生じていますわね。ここでカステクライン使いに手を貸せば発動するかもしれない恐れ。

 娘であるねずみを行かせたのは意味がありますわ。ねずみはすでにカスてクライン使いになる光が現れていますもの。だから手を貸したとしても焼印は発動しない。ただしねずみの行動次第で焼印が発動するかもしれないということを。


無魂むこんとなったらもう二度とファウには会えず、強制的に新しい魂となりますわよ。本当によろしくて?」

「わかっている。そうさせてしまったのも親の責任だということを。逮捕された時、薄々気づいていた。明香が仕組んでいたことも」


 ファウはそれを知ったことで闇落ちをし、あるに相談をしに来ていましたわね。自分は憎しみが強くて、父親に罪を着せた母親が憎いと。

 あるはどの方法がファウの心を安らかにできるのか考えた結果、ねずみがライトグレーノ団でもあったから、ラットリエを利用しましたの。その結果思っていたより早く動いてくれて助かりましたわ。

 

 巨大ネズミは想心たちを襲っていて、想心の体内から浮き出ている影はカステクライン使いには見えていない。ここで想心が闇落ちしたら、玖朗が動き出すのは間違いないですわ。


「あるはこのまま想心の見物を近くで見ていますわ。牡丹はどうするか、自分で決めますのよ」


 牡丹に告げあるは想心がよく見える場所へと向かったですの。



 ラットリエ姫は巨大ネズミの肩に掴まっていて、どうにか降りてもらう方法はないのかと巨大ネズミに攻撃を与えていく。焔副団長が原因なのはわかったけどさ、俺的にはファウを止めたい気持ちが強い。

 それは夏海がねずみと一緒にいてにゃあにゃあって鳴いて、ニャヴィも仲間たちを連れて来るとかでまだ合流はしていない。


「ラットリエ、話をしよう」

「話すことはありません!」


 焔副団長が言うもプイッとそっぽを向くラットリエ姫であり、これはまだまだ時間がかかりそうだな。そういや明香さんたち来たのに、雫の姿がなかった。

 まさかデステクライン使いがいるからなのか、それともねずみがいるからあまり表に出られない状況なのかもしれない。


 巨大ネズミに攻撃を与えていると、ライトグレーノ団員たちが現れ、攻撃を喰らうことになる。ここでねずみが協力していることがばれたらどうなるんだろうか。

 ライトグレーノ団員を倒しつつ、巨大ネズミに攻撃を与えようとしたところ、目の前に絹鬼涼真と針尾智人が璃子さんを連れて来ていた。


「璃子!」

「近づいたら針の針が刺さるよう首輪をつけさせた。大人しく姫様の願いを聞いてもらう」

「妹が大事なら来てくれるよね?」


 確か璃子さんはセブラって奴が保護してくれているんだろ。まさかそれは嘘でライトグレーノ団に譲ったとかじゃないだろうな。

 焔副団長が今でも飛びかかろうとしていて、近づけば針尾智人の針が璃子さんの首に刺さる。どうすりゃあいいとカスてクラインを起動させるか迷っている暇もなく、巨大ネズミが焔副団長を掴んでしまった。

 

 俺とアンジが動こうとしたら、動くなと焔副団長に指示を受ける。璃子さんは必死にこっちに来ようとするも、針尾智人ががっしり掴んでいた。

 ラットリエ姫は焔副団長をどうする気なんだと、様子を伺っていたらラットリエと叫んでこっちに来る人がいる。誰だあの人と思っていたら、赤毛より少し落ち着いた色合いを持っている男性であり、服装はどこかの貴族のものだろうか。


「ラットリエ、帰って来るの遅くなってしまってごめん!」

「あなたとは縁談お断りしましたの!今は焔様に恋をしていますから、あなたは消えてくれません?」

「…遅くなってしまったのは訳があるんだ!その人を降ろして話を聞いてほしい!」


 えっとここはどうすればいいんだと交互を見ていたら、ニャヴィたちが到着をする。後ろには兵がずらりと並んでいた。


「げっライトグレーノ団いにゃいと思って連れて来ちゃったにゃ。王子、ここは一旦引いたほうが」

「ニャヴィ、平気。あっこれは失礼しました。僕はホノオノ王国第三王子、フェンエンと申します。訳があって長らく国を離れていたんです」

「王子様が登場しても、ラットリエ姫はもう君に関心しないよう、僕特製の薬を飲ませている。それに獄の世界と天の世界のシジ族同士であっても結ばれてはいけない関係」

「そう仕組んでラットリエ姫が一時期獄の世界に帰れなくなったのも、あなたたちの仕業じゃありませんか?」


 俺たちには状況がさっぱり過ぎて、フェンエン王子は剣をとり俺たちにもわかるように説明をしてくれる。


「獄の世界にいるシジ族がこっちに来ることはできない。けれど可能にできることができるのはデステクライン使いたちがシジ族を誘拐することもできる。それを利用してカステクライン使いがラットリエを誘拐したと王に報告した。それ以来、こっちでは大量にネズミを見かけることになったのはラットリエを探すふりをして王の力でも借り、ホノオノ王国を探索していた」

「あーあ、完全にバレちゃったよ、涼真。どうする?」

「ばれてもすでに手遅れになってる。今頃行っても誰一人助かることはない」


 どういうことだと思っていると地震が起こり、立ってはいられないくらいの大地震が起きた。とにかく箒に乗って脱出するしかなさそうだなと箒を取り出して、避難することに。


 建物が崩壊して地割れからなんと死屍デッドルタがうじゃうじゃと出現してくる。兄貴たち無事だよなと少々不安になるも、飛んでるからどれくらい死屍デッドルタがいるのか把握できた。

 この数じゃ俺たちでも力が消耗してしまうぐらいの勢いだ。まだ焔副団長は巨大ネズミに捕まってるし、動けない状況にいる。璃子さんはと周囲を見渡すも絹鬼涼真たちの姿がなかった。


「ことを破らせた…」

「どういうことですか?」

「天の世界にある国と獄の世界にある国がリンクしているのはご存知ですか?」


 授業で学びましたと告げると、フェンエン王子は死屍デッドルタを見ながら教えてくれる。


「シジ族は決してお互いの国を干渉せず、それぞれのアノ族を指導するのが決まりなんです。ですが今回、ライトグレーノ王がことを破ったことで、こちらに被害が起きている。ことというのはホノオノ国に干渉しすぎた影響。おそらくライトグレーノ王国にもこれくらいの死屍デッドルタがいる」

「ちなみに生の世界に影響とかはないよな?」

「いえ。二つがこうなってしまったことによって、生の世界、現世にも影響が出てるかもしれません。ここはホノオノ王国。火事が多発しているかもしれない。とにかく避難誘導をしていただけませんか?教会は死屍デッドルタは入れないので」


 わかりましたと伝えたら、フェンエン王子はラットリエ姫を説得しに向かった。地震が落ち着いたところで、俺とアンジは箒に乗って逃げ遅れている人がいないか確認しながら教会に逃げてくださいと誘導する。

 死屍デッドルタがこんなに多く出ているから、撤退してるよなと思っていたが、ファウをまだ止めていた。


「アンジ、そういや無魂むこんってどういうことだ?」

「無魂は、記憶をリセットして送り出されるのではなく、記憶も魂もリセットされ新生として送り出される。たとえ家族だった人たちと巡り会ったとしても懐かしさとかは感じないんだ」

「じゃあリヴィソウルで確認はできないってことになんのか?」

「そういうことになる。だからなんとしてでも闇落ちだけはしてほしくないんだよ。闇落ちするカステクライン使いは二割とされている。そうならないために努力していくしかない」


 信じられないことでファウが無魂となってしまったら、明香さんたちもそうだけど、ずっと一緒にやって来た夏海たちにも影響が及ぶのではないかと感じてしまう。

 なんとか助ける方法はないのだろうかと、避難誘導を終え、アンジに伝え俺はファウの様子を見に行った。


 ファウは無鉄砲に明香さんやねずみたちに攻撃をしていて、後方にはカステクラインを起動させ合唱をしている。


「まだ想心と雫には教えてないけど、無魂むこんにするための合唱があるんだ。その合唱を邪魔されないように前方で止めてもらう人がいないと成立できない」

「…ファウが苦しんでいるように見える」

「闇落ちしてる時は感情なんてないよ…想心?」


 俺にはそうは見えなかった。ファウは何もできなくて、真実を知っていたのに言えなかった想い。

 ねずみを一人にさせてしまったこと、明香さんが牡丹に罪を着せたことを知っていたのに、言えなくて牡丹が捕まってしまったこと。そして夏海への想いだ。

 アンジに止められようとも俺はファウの前へ出て、ファうの攻撃をもらう。


 想心離れてと兄貴に叱られるも、俺はファウの想いを全て受け入れるその想いを、強く出していたら俺の周りが青い光と宙には葉桜が現れた。

 ファウ、もう苦しまなくていい。苦しまなくていいんだよとファウが暴れようともファウを抱きしめてやった。唸り声を出していても、噛まれようとも俺は一歩も動かない。

 少ししてファウが暴れることはなく俺の胸で涙を流し、辛かったなと頭を撫でてやった。そして体内から黒紫の光が出てきて姿を現す。


 ファウから生まれた邪人がファウを見ていてファウを殺そうとした時のことだ。光り輝くその姿、ねずみのデステクラインがカステクラインへと変わり、和希に手を出すなとその邪人はねずみによって倒される。

 終えると猫になっていた夏海が光り出して元の姿へと戻り、夏海は俺をまとめてハグしてきて一緒に泣く。


「信じられん…無魂しないと助からんと思っていたぞ」

「和希…ねずみっごめんなさいっ」


 明香さんも涙を流してここは母親の胸のほうがいいかと夏海をどかしてあげ、ファウを明香さんのところに行ってもらった。


「ありがとう、想心」

「ファウが苦しんでいるのを感じたからだよ。感じれなかったらファウは元に戻らなかったと思う」


 ねずみはこれからどこの国で指導をしてもらうのかはわからないが一件落着と言いたいところだ。しかしまだ終わっちゃいないことを伝えようとしたところ、拍手の音が聞こえそっちを向くとディーグがいた。


「よかったなぁ、ねずみ」

「ディーグ…」

「グレイが言っていたことはマジで当たってたわ。グレイの占いはマジで当たるからな。想心と遊びたいが、この国はもう滅ぶ。その前に」

 

 ディーグが口元を上げた瞬間に夏海の悲鳴が聞こえ後ろにいた夏海がなかった。夏海は茜の団員に襲われ気を失い、茜の団員は夏海を担いでディーグの隣へといく。

 茜の団員だった人の服装が変わりダークグレーノ団服だった。


「俺の部下が世話になったな」


 早く助けに入らなくちゃと動こうとした時、石戸牡丹が俺の前に現れ、腹に拳をもらう羽目となる。その影響で倒れたとしても石戸牡丹の足を掴んだ。だが思っていたより力が入らず、石戸牡丹とディーグたちは夏海を連れて消えちまった。

 死屍デッドルタが溢れ始めてると言われても、俺は意識が遠のいていく。



 ねずみちゃんがいるから表に出られなくて、かなりやばい状況と動けずにいた私で、夏海ちゃんがディーグに奪われちゃった。言い訳を考えている暇じゃないと背後から襲ってくる死屍デッドルタを倒す。

 カステクライン使いとなったねずみちゃんに正体を明かすか、少々迷いがあるも合流するしかない。


 そう思って行こうとしたら久しぶりですわとグレイの声が聞こえる。恐る恐る後ろを振り向くとグレイの両脇には人形が浮いていた。


「ロゼ」

「…誰のこと?」

「あるを見くびらないでもらいたいですわ。まあ玖朗には言いませんからご安心くださいまし」

「信じられるわけない」


 ふふっと微笑むグレイであってなぜ正体がばれたのか疑問だ。グレイは私の隣に立ち様子を見ながら言う。


「ねずみがカステクライン使いになったいことで、歯車が動き出しましたの」

「歯車が動き出す?」

「すでに各国でカステクライン使いになり得るデステクライン使いと、闇落ちしてもデステクライン使いとして動ける者が現れると言うことですわ」

「…つまりお父さんもデステクライン使いになって動いているってことなの?」

「シャンはこちらでも動きは分かりませんの。探すなら自力で探すしかないですわ。ただし一つだけ言っておきますわよ」


 グレイは私の耳を借りたいらしく少ししゃがんで、耳元でなぜか教えてもらう。


「想心の内に何かがいらっしゃいますわ。本人は気づいていないかも知れませんけれど、いずれその内に宿っている者に殺されないよう気をつけてくださいまし。それが出た瞬間、玖朗は想心を奪うことも忘れませんように。ではごきげんよう」


 グレイはそれを私に告げた後、暗闇へと消えて行き、濡羽玖朗がなぜ私を監禁していたのか想像したくないけど、私の憶測が正しければ想心は必ず闇落ちしてしまうということ。

 これはまだ誰にも言えないなと思いながら、私はみんなと合流することにした。



 いきなり涼真さんが現れて璃子さんを連れて行かれた時は、セブラがやばいやばいと焦っていたけれど、すぐ返してくれて崩壊した王国を回るそうだ。

 璃子さんは早く帰りたい素振りをしていて、まだ天の世界ではラットリエ姫が暴走しているのだろうかと感じてしまった。


 僕はるるちゃんと優くんとでトランプで遊んでいたら、ラットリエ姫がここに訪れる。それによって璃子さんはセブラの後ろに隠れてしまった。


「ラットリエ姫、どうした?」

「忌まわしい璃子はおかえりになってください。焔様が待っているので。言っておきますけど、焔様を悲しませたら、焼きリンゴのように焼きます」


 めやくだと小さく言った後、璃子さんは天の世界へと帰って行き、ため息を出すラットリエ姫。


「フェンエン王子がお戻りになられたことで、はっきりいたしました。セブラ、これが全て罠だったと知らず、信じきれていなかった。私はこれからどうすればよろしいのでしょうか?」

「国は涼真のものになっちまったから、ここにいても危険だ。天の世界にいたほうがいい。それにラットリエ姫を想ってくれているフェンエン王子と末長く幸せに暮らせよ。シジ族はそういう決まり事はないからな。ただ涼真が料理に仕組んでいた薬の影響で、しばらくは後遺症見たいのが」

「それはない」


 いつの間にか涼真団長が現れていてセブラはラットリエ姫を後ろへとやった。


「なんでいるんだよ」

「ラットリエ姫の幸せを僕は望んでいた。つっつまりだ。その僕はラットリエ姫に恋をしていたけれど、シジ族とアノ族は結ばれてはいけない。王が選ぶ婿はどいつも姫に相応しくなかった。だから天の世界へと行かせた」


 涼真はだんだんと恥ずかしくなって来たのか隠れ始めて行き、そうだった。涼真は大のねずみ好きでねずみの擬人化にも惚れていたってわけか。

 人の幸せを望めるほどあるにも関わらずここに止まっているわけは例の件に関することを調査したいがためだろう。それを知ったラットリエ姫もまたほおを染めていて、ありがとうございます、涼真団長と言う。

 そしてラットリエ姫は自由になったことで、天の世界へと戻られ、涼真団長は少し涙ぐんでいたものの、城を研究所にするために準備をするそうだ。


「僕たちは一度、ライトノ国に戻ることでいいんだよね?」

「いや、このままグレーノ王国に向かう。ちょっと気になっていることがあってな」

「どんな?」

「想心の妹、芽森を本当に奪いに行くのか。少し引っかかってな」


 グレーノ国と言ったら、白金銀団長やハウヴァさんだよね。連絡せずに行っちゃっていいのかなと思いながらも、旅支度をしに買い出しに行くことになった。



 夏海が奪われたことでファウは結構落ち込んでいるものの、今回の一件でねずみがカステクライン使いとなったことでホノオノ王国は大騒ぎ。

 しかしホノオノ王国は崩壊したと思っていたのだが、修復魔法というものが存在し、一日で建物や道は修復された。おそらくこういうことがいつも起きているのだと思いながら、ミケとニャヴィに挨拶をしに来ている。


 猫のたまり場へと行ってみると、猫が一匹ともいなく、連絡はしといたんだけどなと周囲を見ていた。すると扉が半分だけ開き、不機嫌な顔でこっちを見ているミケがいる。


「ミケ、俺たちそろそろ帰ろうと思ってさ。それに報告をしに戻らなくちゃならないから」


 そう告げてみると一度扉が閉まってしまい、ミケってこう見えて別れが辛いとかなのか。そう思っていると扉がガバッと開いてなんとミケが旅の格好をしていたのだ。


「え?僕たちについて行くの?」


 アンジが聞くと首に下げているホワイトボードでササッと書き、俺たちに見せてくれる。


 夏海を探しに一緒に行くと。


「気持ちは嬉しいんだけど夏海はファウの団、つまり赤の団が捜索に当たるらしいよ」


 雫が伝えると文章を消して再度書き俺たちに見せてくれた内容は


 想心について行けば猫の解除ができるかも知れない。


 あーなるほどと俺たちは閃いて、そうなると青の団に入ってもらうわけだがリディやテンファに先輩たちが受け入れてくれるかだ。ここではアレルギー的なものはないと教わったが、絶対にリディが弄りそうな絵が生まれる。

 まあなんとかなるだろうと、焔副団長に相談しに行くとするか。


「俺たちは別にいいけど、焔副団長の言葉を聞いてからでいいか?」


 待ってると書いてくれて茜の団がいるところへと行くことに。兄貴としばらく会えなくなるのは少し嫌だが、何かあったりしたら連絡すりゃあいいか。

 行ってみると璃子さんにくっついている焔副団長であり、いい加減離れろとイライラしているレイム団長だった。止めるの難しそうだなと眺めていると、灯里副団長がこっちにやって来る。


「もう出発されるんですか?」

「そうしたいところなんだけど、焔副団長しばらく離れたくない様子だなって思ってさ」

「妹想いのいいお兄さんですよね。ちょっとはずれている部分もありますけど。そうだった。今回の一件でねずみちゃんのご要望でファウくんが入っている赤の団に入団することになりました。こちらが書類等になりますので、ミズノ王国の王様にお渡しいただければと」


 そっか。俺たちは留学生でもあり、こういうのも受け取る役目があるんだそう。取り入れをしてそろそろ帰りますよと焔副団長に告げた。

 焔副団長は少し拗ねているも帰ることを決めたそうだと思いきやこう言われる。


「璃子ともう少しいたいから先帰ってくれ。それに自分にしかできない任務が残ってるからそれが終わり次第帰る」

「そうなんですね。じゃあ俺たちは先へ帰ってますけど、またどこかの国に留学するかも知れません」

「構わない。くるめちゃんからの招集が来ない限りは、どこかにいると思うが困ったら連絡してこい」


 ありがとうございますと焔副団長に伝えていたら、兄貴がやって来てもう行くんだねと言われる。少し二人きりで話がしたくて、アンジたちにはミケに報告しに行ってもらい、中庭にあるベンチで話す。


「兄貴、芽森のことなんだけど、芽森は」

「焔副団長と二人きりで話したこと覚えてる?」

「うん」

「僕が暗殺されたというのは芽森の宝物を奪って、自殺に追い込むためだったと焔副団長に告げられた。その理由は想心も薄々気づいているんじゃないかな?」


 家族でたまに行っていた神社と関わりがあるのは分かっていたけれど、俺は信じたくはなかった。なぜなら芽森がそこの巫女となるべき存在だということを。

 きっと芽森は今もなお死者が見えているのは間違いはない。


「芽森が巫女だからだよな?」

「そう。芽森は龍桜神社の巫女あり、守護霊のパワーが凄いと焔副団長に教わったよ」


 あの時、濡羽玖朗が現世へ連れてってくれた時、芽森の守護霊と少し話したな。どんなパワーなのかはあの場では見れなかったけれど、確かに神々しさはあった。

 

「芽森を失わせないためにも。僕たちはまず階級を上げることしかできない」

「どのタイミングで狙われるかわからないもんな」

「デステクライン使いは待ってはくれないからとにかくできることをやっていこう。困った時はいつでも頼ってほしい」

 兄貴は俺の手を握って瞳が潤っており、兄貴が後悔していたことに気づき、俺ももっと兄貴を頼っていればこんなことにはならなかったかも知れない。

 つうっと頬をつたいお互い涙を見せ合いながらハグをして、俺たちはミズノ王国へと帰還した。

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