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シゴノセカイ《改訂版》  作者: 福乃 吹風
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44話 白い林檎

 トキ婆ちゃんが目を覚まし事情を聞いて、俺たちは手分けしてムツさんを探していた。何者かがムツさんを連れて行こうとし、トキ婆ちゃんが止めに入ったものの、やられてしまったそうだ。

 デステクライン使いかミッドヴィークなのかは不明であって、どこに連れて行かれたんだか。


 ヒノ村の周辺は草原だしすぐわかりそうなんだが、馬車が通っていた形跡もない。だとすれば箒を使って移動したと俺たちは箒を使って捜索をしていた。

 

「ムツさーん!いたら返事をしてくださーい!」


 そう叫んでみるも簡単に返事はしてくれそうにないな。探し回っていると雫が何かを見つけたらしく降りるから、俺たちも降りた。


「何か見つけた?」

「ううん。ちょっと違和感があったから降りたの。ここって普通の森にしては変じゃない?」

「言われてみればこの森だけ白だな」


 すると焔副団長が地面に手をつけていて、何してんだろうと見ていたらこっちだと焔副団長の後を追う。上空ではわからなかった何かがわかるのかも知れないと進んでいくとここはとつい足を止めた。

 それは林檎農園だとしても木も実も白で食べていいものだろうかと思ってしまうほどだ。これが仮に罠だったらアウトなため、採らずに周辺を見渡す。


 なんもなさそうだけどなと歩いていたら、汀が唸っては先へ進むから追いかける。何があるんだと林檎農園を出た先は、ダークグレーのローブを羽織った連中が待ち構えていた。

 俺たちはカステクラインを起動させる準備をし、一人の奴が一歩前に出る。


「この娘を返してほしくば、お前の兄、葉桜颯楽を連れて来い。連れて来なければこの娘の命はない」

「兄貴になんのようだよ。それにムツさんは兄貴と関係ねえだろ!さっさと返せ!」

「いいから連れて来い。それともお前の妹を襲ったほうが動いてくれるか?」


 今何つったと体が動こうとした時、焔副団長が俺の腕を掴んで引き下がらせ、焔副団長が了承してしまった。


「わかったが条件がある。自分の妹と交換してもらおうか。そうじゃなきゃこの件は終わりにする」

「焔副団長何を」

「いいですわよ」


 そこになんとハウヴァとそれからファウの父親、石戸牡丹が現れる。ムツさんとそれからダークグレーの連中は下がり、ここでファウがいてくれたらと思ってしまった。


「ちょうど今、ディークがあの城に潜入していますわ。無傷で渡しますから、颯楽を渡してくれませんと、この娘をどうするかお分かりで」

「あぁわかった」


 後ほどと言われダークグレーノ団はいなくなってしまい、どういうことだよと、ついかっとなって焔副団長の胸ぐらを掴む。そしたら焔副団長に落ち着けと言われても落ち着けなかった。


「想心の兄は渡すつもりはないから安心しろ」

「じゃあなんであんな事を」

「後でわかる。その前に颯楽と話しておきたいから、一度ホノオノ国に戻るぞ」


 焔副団長が考えていることが理解できない俺たちでありながら、一度ホノオノ王国へと戻ることに。


 戻って茜の団がある家へと向かっているとファウとばったり会って、夏海見つかったと聞かれ、俺たちは少し考えてしまう。ちゃんと言うべきかそれとも嘘をつくか。

 考えているとちょうど兄貴が歩いていて、兄貴と呼ぶと兄貴が手を振ってこっちに来てくれた。


「夏海ちゃん見つかった?」

「いや、見つかってない。颯楽、別件で話したいことがある」

「話って?」

「囮になってほしい」


 俺たちは深いため息をだし、ファウはえっと混乱をしていて、兄貴はどういうことと、いうような顔立ちをしている。アンジと雫はごめんなさいと焔副団長を引っ張って叱っている。

 

「想心」

「悪い。ダークグレーノ団と取引しちまって。大事な妹、璃子さんを返してもらう代わりに、兄貴を引き渡すことになってんだ」

「あれ?ライトグレーノ団に奪われちゃったんじゃ」

「あっちでは璃子さん狙いで団が動いてるらしい。おそらく取引の際に焔副団長は仕掛けると思うから大丈夫なんじゃないかな。まあそこはレイム団長の許可が出ないと話は進まないと思うから頭に入れといて」


 二人に叱られた焔副団長はしゅんっとした顔立ちで何も言わなくなってしまい、アンジが兄貴に謝罪した。


「想心のお兄さん、すみません。想心からお聞きしたかと思いますが、そういう流れになってしまいまして、一度茜の団長であるレイム団長とお話がしたく伺ってもよろしいでしょうか?」

「いいですよ。力貸せる場は貸したいと思っているので」

「あの、自分も同席いいっすか?ダークグレーが絡んでるとなれば、自分の父さんと会えるチャンスがあると思うんで」


 もちろんと兄貴が言ってくれたことでよかったなと思いながら、俺たちは茜の団の家へとお邪魔することになったのだが……。



 家の中は散乱状態となっており、廊下では息を引き取ったらしい団員がちらほらといて、嫌な予感しかなくレイム団長がいるであろう部屋へ急ぐ兄貴。

 運ぶのは後にして俺たちも兄貴を追いかけていたらレイム団長が泣き喚く声が響き渡る。行ってみると兄貴がレイム団長を慰めていて、話せる状況ではないらしく一旦部屋を後にし、スライム状態となってしまった団員を庭へと運んでいった。

 

 結構な人数と思っていたが魂を奪われたのは合計で十人であり、それ以外はおそらく出払っていたから助かったと認識でいいのだろうと思いたい。


 少しして兄貴が中庭へと来てくれたが、話せそうにないらしく明日再度伺うことに俺たちは帰った。焔副団長は調べたいことがあるらしく、城の書斎へと行ってしまう。


「あれ誰の仕業なんだろうな…」

「あの感じだと団に裏切り者がいてもおかしくはないよ。じゃなきゃレイム団長が悔しそうに泣いてないもん」

「僕もそう感じる。団に裏切り者だとすれば一体…」

「もしかして自分の母さんだったりして…」


 俺たちに語ってくれたことが実際違くて、ねずみやファウのことを思っていなく、そして二人の父親、石戸牡丹に罪を被せたのは明香さんだったらどうだろうか。

 あの場には明香さんいなかったし、なんとも言えないが確かヒノ村に来てたから犯行はできる。


 とにかく今できることをしようと俺たちも書斎へと入り、勉学に励んでいった。



 レイム団長が休んで今は一人にさせないほうがいいと思い寄り添っている。僕がこの場を離れている間に何かが起きたのは間違いはない。

 一体何が起きたんだろうかと思考を膨らませていたら、団長と叫びながら現れたのは夏海ちゃんを捜索していた明香さんと部下たち。すぐ駆けつけて来そうなのは副団長である灯田朱里ちゃんだ。


 まさかと考えたくはないけれど、すぐ駆けつけて来ないということは、団員をやったのは朱里ちゃんかも知れない。


「颯楽くん、何があった?」

「僕もさっき来たばかりなのでなんとも言えません。朱里副団長は?」

「確か今日は団長と一緒に行動する日…。まさか…」

「断言はできませんが、レイム団長が精神的なダメージを受けていたのでおそらく。副団長がいない今、僕たちでなんとかしないと」


 璃子さんは奪われるそし、朱里副団長の行方がわからなくなったから、レイム団長が落ち着きを見せたところで、想心に連絡をしよう。

 それまでは亡くなってしまった団員たちを教会へと手分けして運ぶことにした。



 んんっんんっとジタバタ暴れてみるも拘束の魔法がかかっていて解くことが難しかった。ふらっと現れたシジ族のライトグレーノ王国の姫君、ラットリエ姫に襲われミルキス、通称白い林檎の農園にある建物に人質として捕まった。

 ここはホノオノ国だから赤系が多くあるもここだけ白い理由はラットリエ姫が関係している。もっと早く気づけばよかったとなんとか魔法を解かなければレイム団長が危険だ。


「ふふふっ。その縄は解くことはできません。団長が焔様を連れて来るまでは大人しくしてもらいます」

「璃子さんが奪われたのは全部ラットリエ姫」

「ご名答。お父様にあの忌まわしい娘の情報を与え、奪わせましたの。あの娘がいると焔様を独り占めできない。大丈夫、あなたに危害を与えるつもりもない。あなたの団長は必ずやってくださる。楽しみです」


 ホノオノ国ではネズミの発生が多く、寮にもごく稀にネズミが発生するのはわかっていた。今回も同じとネズミを追い払おうとした際に、罠にかかったことで団員たちがやられてしまい、うちはラットリエ姫に捕まってレイム団長に選択肢を渡した。


「副団長と鬱陶しいあの赤毛を返してほしければ、焔様をデステクライン使いになるよう仕向けてほしいですの。何日かけても構いません。楽しみにしてます」


 それを言った後、うちはなぜかダークグレーノ団員に連れて行かれここにいる。なんとかして脱出したとしてもダークグレーノ団員や団長、副団長もいるはず。

 どうすればと考えていたら、もう一人拘束魔法で捕まったらしい女性がこの部屋へと入って来た。鍵を閉められたのを確認したら、なんとその女性が光り出した。


 眩しいと目を瞑って数秒後、光が止み目をゆっくり開けると白いローブを着た女性で、シロノ国にいる団だと理解する。女性は私に近づいて拘束魔法を解除してくれた。


「ありがとうございます。えっと」

江野六実えのむつみ。とにかくここから出たいところだけど、私はやることがある。あなただけでも逃げて」

「だけど」

「いいから。それからおそらく焔は気づいてるから安心して」


 焔さんと知り合いなんですかと聞く前にうちは敷地内から出たようで、カステクラインを起動してうちはホノオノ王国へ帰ることに。



 璃子さんがいるであろう部屋へ行ってみると、扉はこじ開けられていて、すでに璃子さんは連れて行かれてしまったのだろうか。間に合わなかったと息を整えていたら、叫び声が聞こえてそっちへと急ぐ。

 行ってみると王様が璃子さんを連れていて、育さんもいた。


「璃子を離すだぁ!」

「涼真は何しているんだちゅう!この娘は絶対に渡さないでちゅうよ!」


 ゾロゾロと衛兵が集まって来てしまい、璃子さんのカスてクラインさえあれば璃子さんは逃げ出せる。どうすればいいと思考を膨らませていると、そこに玖朗さんと伊雪さんが登場した。


「おい、王の分際で何手出してんだ?」

「王に向かってその聞き方はないでちゅうぞ!傭兵やってしまえちゅう!」


 王様が指示をして衛兵が僕たちに攻撃をし始めてきて、その間に王様は璃子さんを連れて行ってしまう。行かせないと衛兵に向けて魔法を使いながら、追おうとしたところなぜか伊雪さんに止められてしまう。


「ここは育っちがやるんだから、邪魔しないでもらえる?」

「そうかも知れないけど、育さん一人じゃ」

「だーかーらー思穏がいると邪魔になるって言ってんでしょ?それに今、育っちの魔力を受けたら大事になんの!」


 どういうことと混乱をしていたら、何かとてつもない威力がこの場の空気を変える。ほらねと伊雪さんは言うように空模様が暗くなり次第に雨が降り始めていく。


「セブラは何してんだか。とにかく離れるよ」


 伊雪さんは女性だというのに、軽々と僕を担いで城から離れてしまう。城からは赤黒い光がばちばちと放っていて、あれが副団長の威力と圧倒されてしまった。

 いつもなら伊雪さんはセブラをいじめていたりしているのに、僕を助けてくれたのだろうか。


「あちゃああれは完全に激おこより上いっちゃってるかも」

「育さんっておっとりしているような方だと思うんですけど、実際は違うんですか?」

「普段はおっとり系だけど、璃子に関してはスイッチ入っちゃうから今度いじってみるとその素顔が見えるから試してみるといいよ」


 想像できないと思っていたらセブラがやって来たことにより、伊雪さんはじゃあねえといなくなってしまう。


「思穏、大丈夫か?」

「うん。伊雪さんが助けてくれたから」


 あの伊雪がと仰天ニュースを聞いているような驚きをしていて、セブラにとっては意外すぎたのだろうな。少しして空の色が元に戻ったことで落ち着いたでいいのだろうか。

 すると璃子さんを抱っこして城から出てきた育さんであり、その様子が見れてしまった。璃子さんは気絶していたとしても、デレデレしていて絶対に返さないような表情をしている。


「育さん、あのう」


 僕が声をかけると通常の育さんであっても、見られていたことで恥ずかしさを出していた。


「思穏とセブラもぎでぐれだんだぁ。めやぐだよ」

「めやぐだ?」

「ありがとうって意味だよ。ただこれで終わりじゃねえぞ。真犯人見つけなきゃまた璃子狙われる」

「けねけね。もう狙われねえように、わがそばに」


 するとバコンと叩く玖朗さんでいつの間にか、玖朗さんと伊雪さんが戻って来ていた。璃子さんを結局どうするんだろうと思いきや、セブラに璃子さんを託す。


「わはまだぁやらなくちゃいげねえから、セブラ、焔どのどごろに連れでっでぐれえ」

「自分で返せよ」

「焔と会うしがくがねえんだぁ」


 そう言って育さんはセブラに託した後、玖朗さんと一緒に行かれてしまった。セブラはもの言いたそうな感じであっても、天の世界に返すっぽい。


「思穏、そろそろルルたちが戻って来ているころだと思うから、先宿へ戻ってろ」

「うん、わかった」

「んじゃ行ってくる」


 セブラは璃子さんを連れて天の世界へと行き、僕は先へと宿へ戻った。



 なんなんだ、この違和感とありながら天の世界へと到着するも、この気配ダークグレーノ団がちらほらといるな。それに白い林檎農園からライトグレーノ王国の姫もいる。

 そういうことかと俺はつい足を止めてしまった。この現況を作ったのはあのシスコン馬鹿が招いたことでこうなったってわけか。今ここで璃子を放っておけばまたすぐ捕まりそうな感じもする。


 上からは何も指示が来ない限り焼印は発動しないから大丈夫だとしても、なぜこのタイミングで璃子を襲ったかだ。俺の憶測が正しければこれは想心の成長が試されているに違いない。

 ここは一旦ライトノ団で預かっといたほうがいいかも知れないなと思っていると、むにゃあと目を覚まそうとしている。いや一度焔に返して様子見るしかなさそうだな。そう思って焔のところに行こうとしたら、白いローブを羽織った奴が現れる。


「なんのようだ?」

「璃子さんを返していただけませんか?これは上からの指示です」

「あぁそっちのお偉いさんから指示もらってんのか。焔のところに返す。それでいいだろ?」

「いけません。なぜなら茜の団に裏切り者がいる。純粋な璃子さんを汚されたくはないんですよ」


 そこではっきりし璃子は潜入として元々茜の団にいたってことかよ。それを知ったら焔はきっと爆発しそうな勢いだな。そしたら璃子が目を開け状況が読めていないようであっても、セブラだぁと泣きついてくる。

 それを見たシロノ団員は笑っていながらもブチ切れそうな勢いで、デッドルタを出し俺は一度撤退した。


 あいつはまだこっちに来れない団員なのは目に見えていたから大丈夫だとしても璃子に確認をしなければならない。


「璃子、シロノ団員なのか?」

「ちがんよ」

「ならさっきの奴と関わったことは?」


 璃子はんーと考えていて、カステクラインにはいくつか林檎の名がある。璃子のカステクラインを見る限り、朱殷しゅあんの林檎。つまりあの女は白銅の林檎ってところか。


「しばらくの間ライトノ団が保護する」

「自分で帰れる」

「いや、無闇にシロノ団と接触は控えたほうがいい。何かする気だ。俺から焔に伝えておくから」

「わかっただ」


 璃子に了承を得たところで、俺はそのまま思穏がいるところへと戻った。

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