38話 ローノ街③
ニャウ族について来た俺らで猫アレルギー持ってたら確実に近づけないほど猫の溜まり場となっていた。汀はちょっかいしてくる猫に向かって威嚇するから抱っこしてあげる。
ニャーニャーと俺の周りに猫が密集してしまい、なんとかしろと焔副団長を運んでいるニャウ族のニャヴィに言ってもガン無視されてしまう。余計に歩きづらいと猫の尻尾を踏まないように歩いていたら、ふにゃっと柔らかいものを踏んづけてしまった。その瞬間にゃーと大声で泣き喚きすまんと足を上げた。やや大きめというより熊レベルの猫で俺に向けて威圧感を出している。
すみませんと段々小さくなっているような感じだったが、そこで寝るから踏まれるんにゃと軽蔑な目で見ているニャヴィだ。三毛猫の猫は俺に舌打ちをして家の中へと先へ入っていく。
「熊ぐらいの猫いるんだな」
「擬人化はシジ族とニャウ族の間に生まれることが多いからハーフみたいな認識でいればいいんだよ」
「なるほど。えってことはニャヴィの親父さん?」
「違うにゃよ。わにゃと連んでるにゃかまにゃ。にゃか入って作戦会議するにゃよ」
お邪魔しますと中へ入らせてもらうと猫が遊ぶ遊具がたんまりとあり、猫カフェとかできるんじゃないかって思った。適当に座り、なぜか焔副団長はさっきの猫に寝かしつけられていて俺たちは笑いを堪えるのに必死だ。
そしたら焔副団長が淡い光に包まれていて、まるで傷を癒しているようだった。少しして焔副団長がガバッと起き自分の体を確認している。
「体がめちゃくちゃ軽い。なんでだ」
「これはニャウ族が代々受け継がれている力にゃ。人間の傷も心も癒す力があるんにゃよ。ワン族も同じ力を持ってるにゃ」
えっとつまりあっちではペットどして飼って癒しをもらっていたから、こっちでもそういう癒し系があるんだな。焔副団長が座ったことで三毛猫もずしんと座る。
「ルドゥン工場にネズミがいたんにゃけど、従業員は普通に仕事していたにゃ。つまりネズミは監視役として動いている可能性が高いにゃよ」
ネズミという言葉でアンジは完全に失神してしまい、三毛猫にバシッと叩かれるも無理のようだった。ニャヴィは苦笑しながらも、話を進めていく。
「それでわにゃたちがネズミを追い払うからその隙に、探すといいにゃよ。ミケ、見取り図見せてあげてにゃ」
そのまんまの名前かいと言いたいぐらいで、ミケは立ち上がって見取り図を取ってくるようだ。その間にアンジ起きろと揺さぶってようやく目を覚まし、ごめんと謝罪をするアンジ。
「ごめん」
「いいよ。ニャウ族がネズミを追い払ってくれているうちに璃子さんを探すことになる」
「ファウもそこにいればいいけど、もし違う場所にいるなら二手に分かれたほうがいいよね」
夏海が言うにファウがルドゥンにいるかどうかは不明だ。どちらを最優先させるべきか悩んでいるとカステクラインがくるくると回る。誰だとカステクラインを起動させる。
「カステクライン!連絡、水のペンギン!」
カステクラインから水のペンギンが現れ、俺の周りを一周して俺の手のひらに乗っかると天ファの声が聞こえた。
『想心、今大丈夫?』
「平気じゃないけど、どうした?」
『さっき師匠から手紙もらって、もう一つの手紙が想心宛なんだけど読み上げる?それとも帰ってから読む?』
つい俺宛てなのかと再度聞いてみると、うんと言われてしまい、どうしたものか。雫にとっては早めにその内容が気になるだろうけれど、帰ってからちゃんと読もう。
「帰ってから読むから、俺の部屋に置いといてくれ」
『わかった』
「ちなみにさ、雫宛てっていうのはさすがにないよな?」
『なかったよ。ただ小生の内容には雫のことよろしく頼むって書いてあった。小生の読み上げようか?』
雫は少し考えており焔副団長はその内容が気になるようであっても、口出しをしないのは夏海たちがいるからだろうな。少し待っていると雫はこう答える。
「帰ってから読ませてもらうから大丈夫だよ。もしわたし宛てのが来たら教えて」
『うん、わかった。気をつけて』
そっちもなと伝え会話は終了したとしても、なぜこのタイミングで俺宛てに雫の父ちゃんが送る必要があったのか。どちらにせよ、今解決すべきことは、璃子さん救出することに集中することにした。
ミケが見取り図をテーブルに敷いて結構広い工場なのがわかる。これを探すにしても時間がかかりそうだし、璃子さんがいそうな場所って一体どこだろうか。
「ちなみに行くとしたら正面から入る形になるの?」
雫がニャヴィに聞きニャヴィはあるチラシを見せてくれた。それは先ほど行ったおもちゃ屋のチラシ。
「このおもちゃ屋の地下から工場が繋がっている通路があるんにゃよ。そこから侵入することができるにゃ。ただ入るにはまず人間は入れにゃいスペースにゃ」
「てことはネズミが入れるぐらいの大きさってことだよな?」
「猫も入れるぐらいのスペースはあったにゃ。ニャウ族は普通の猫になれる力をもらっているにゃよ。そこでにゃんだけど」
「そういうことか。自分たちがネズミサイズになれた理由は、魔法が関係しているってことだろ?」
焔副団長が言うとそうにゃとニャヴィは言い、アンジはその魔法について知らないようだった。
「その魔法はあまり知られていにゃい魔法で、魔法学ににゃいのはその魔法を使った人が元に戻れにゃくにゃったんよ。だからあまりその魔法を教えたくはにゃくて」
俺たちは思わずミケを見てしまい、ミケは不機嫌な顔立ちをしている。まさかと俺たちは聞きたくても聞けず、そうなったら厄介だなと感じてしまった。
「まずわにゃたちがネズミとルドゥンで働いている人たちを追い払うにゃから、その隙に入ればいいにゃよ」
「ありがとな。焔副団長、それでよろしいですか?」
焔副団長はずっとミケを見ていて、スイッチ入れなくていいですよとこちらを向かせようとしたら、こんな質問をニャヴィに聞く。
「ミケはどうやって入る気だ?」
「想心たちと一緒に行ってもらうにゃよ」
「なら、ミケは人間を止めてくれればいいんじゃないか?」
「ミケはどうしたいにゃ?」
ミケは喋ることはできないのか、紙に書いて俺たちに見せてくれる。できればやりたくないとあり、どうして人間を止めるのが嫌なのか気になる。
そしたら再び何かを書いて俺たちに見せてくれると、俺たちはつい笑いを出してしまった。内容は熊呼ばわれされて傷つくから家にいたいと。確かに熊が二足脚で立つ時とほぼ変わらない身長差はある。だからあまり人目には出ずに家にいるんだと納得した。
どうにかしてミケにも手伝ってもらえないだろうかと考えていたら、夏海が提案を持ちかける。
「それならさミケにやってもらいたいことがあるの」
「にゃに?」
「ホノオノ王国に行って、茜の団長であるレイムさんに報告をしに行ってほしい。いつも夕飯時には帰って来なければならないって決まりがあるらしくて、璃子さんが奪われたことを伝えて」
「確かにまだ璃子さんの団長さんに報告上げてなかったな。それじゃあ」
言おうとしたらミケがササッと書いて再び見せてもらうとレイムに熊呼ばわれされたから行きたくないと回答をもらう。つまりミケは茜の団にいた人なのではないかと感じた。
ここは焔副団長がレイム団長に報告してもらう形になるのかなと思いきや扉が強引に開いて、ミケと叫んでいる声がする。ミケは舌打ちしてズカズカと玄関のほうへと行った。
「あのさミケって」
「事情は本人から聞いたほうがいいにゃよ」
やっぱりミケから教えてもらわなくちゃならないよなと諦めていたところ、ミケが嫌々な顔をしながら戻って来てその後ろにはレイム団長が来られる。
「状況は理解した。私の団員だ。力を貸す。それに前からルドゥンには何かがあると思っていたんだ。ミケ、お前も手伝え」
レイム団長が言うもミケは罰点を作っていて、強制なんだよとレイム団長は目を光らせていた。
◆
気がついた時は親父に捕まって、着いた先は工場らしき場所。自分は結局、親父に魂を奪われるオチなんだろうと親父について行ったら、グレイが待っていた。
「ご苦労様ですわ、牡丹。ここからはあるに任せて、ディーグと」
「承知した」
「親父!頼むから話してくれよ!」
言ってみるも親父はすぐ姿を消してしまい、なんで話してくれないんだよ。そしたらグレイはお座りと言われ、勝手に椅子に座る羽目に。
「あると約束したこと覚えてますの?」
「もちろん…。自分の魂と引き換えに親父と会わせてくれたっす。なのに親父は一言も喋ってくれなくて、ただひたすら謝ってばかりだったんすよ」
「牡丹はファウのことを思って何も言いませんのよ。それでも聞きたいというのならば、一つやっていただきたいことがありますわ。青藍の葉桜を持つ想心と共にいる雫に興味がおありで、連れて来てもらえません?」
裏があるとしても親父とちゃんと向き合いたい気持ちは強い。ただせっかく釈放されたのに、再びミッドヴィークとしては動きたくはない。
「それは無理っすよ。他の団員を拉致ったりするのは、認められていないっすから」
「やはり夏海という子を狙ったほうがよろしくて?簡単なことなことですわよ」
「できないっす。それに親父と会えるタイミングがあったらその時、聞くっす」
「わかったですわ。なら」
グレイのポケットから夏海の人形を取り出して、やめろと言おうとしたらグレイは夏海の人形をばらばらにされてしまう。夏海が死屍になるのは見たくない。
「夏海の反応が楽しみですわね。大事な大事な寮長の哀れな姿を見届けることですの。またお会いしましょう」
グレイに触れたくとも自分は工場の外に追い出されてしまい、早く夏海のところに行かなくちゃと走っていく。
◆
結局、ミケはレイム団長と一緒に行動することになり、ミケのオーラが嫌々オーラを出していた。本当に大丈夫なんだろうかと少々不安になるも、もう一人凄いオーラを出している人がいる。
早く助けに行きたいオーラを出している焔副団長であり、もうすぐルドゥンが見えそうだ。
歩いていると夏海の様子がおかしく、大丈夫かと声をかけてみると大丈夫と言っている。しかし様子がとても変で夏海の手を握ると熱かった。
「夏海」
「これくらい平気だよ」
「平気なわけないだろ!レイム団長たち待ってください。夏海が」
すると夏海が倒れそうになって支え、相当熱があり茜の団にいる団員が診てくれる。ここでは病気とかはないから余計に心配になり、待っていると夏海と叫びながらファウが来た。
ファウは焦りながらごめんと何度も謝っていて、無事で良かったと夏海は言うが目を閉じてしまう。
「ファウ、何があった?」
「…グレイが夏海の人形を持ってて、その人形をばらばらにされちゃったんす」
その症状って湘西さんに似ているかもしれないとアンジと雫のほうを向けると、アンジは至急ホノオノ王国にいる宮廷医師に連絡を取っているっぽい。
ルドゥンにこれから行くにしても、夏海が心配だ。幸い、カステクラインが奪われていないからなんとか乗り切ってもらうしかないか。
「ファウ、夏海のそばにいてやれ。俺たちでルドゥンに行ってくるから」
「わかった。気をつけてっす」
夏海をファウに任せて俺たちはルドゥンに侵入することに。ニャヴィたちがうまくやってくれていると信じて、俺たちは付近で待っているとおもちゃ屋の店主がやって来る。
「団の皆さんたちまだルドゥンを疑ってるんですか?ルドゥンは潔白されたというのに疑いを持つとは」
すると焔副団長が手を上げようとしたから俺とアンジで止めに入ると、その店主は嘲笑いながら言われた。
「留学の方たちが暴行しようとするだなんて、ミズノ王国は乱暴な人たちばかりなのかい?」
焔副団長落ち着いてくださいと言いながら、この状況はさすがにまずい状況だな。
「所詮、留学の方たちは何もできない。入ったとしても求めているものはここにいないのだから」
「…貴様、シジ族ではなくミッドヴィークでもない。デステクライン使いだな?」
顔に手を当てて笑い出し雫がボソッと針尾智人と言い出し、俺にこっそり教えてくれる。
「お兄さんを刺した人だよ」
兄貴を傷つけた奴だったのかよと前に出ようとしたら焔副団長に腕を掴まれ引っ込むことに。針尾智人は正体がばれたことで姿が変わり、ライトグレーのローブを羽織って、顔はそのままだが手には針を持っている。
「涼真に頼まれて潜入したとはいえ、結構魂を狩れたよ。そうそう、緋色の鳳凰は無事かい?」
「答えるつもりはない。璃子をどうする気だ?」
「こっちも教えるつもりはない。本当は今でもここで暴れたいけど、上から報告を受けたよ。想心がもう少し強くなるまで見守ってあげろって。だから俺はお暇するよ」
「おい!」
俺はつい前に出て針尾智人に問い正した。
「針を使って赤の他人を殺した犯人だろ?なんで今もそうやって魂を狩るんだよ」
「俺が犯した事件を知ってくれてるんだ。へえ想心が生まれる前の話だと思うけど、どうして俺だと?」
「たまに遺族の話がテレビで流れてて、どうしても俺は引っかかる部分がある。お前が犯したとは思えなかった。加害者側の家族、智人の家族もテレビで映ってた。優しくて子供たちにも好かれて、時に困っている人を助けている場も目撃されてたのに、どうして犯罪を犯したのかわからないって」
「家族や友人、他人が思っているほど、時に闇を抱えていることもあるんだよ。その闇が溢れて犯行を犯した。まあ俺のことは詮索しなくていい。今は階級上げに集中しなよ。それじゃあ」
針尾智人は煙玉を使用していなくなってしまい、急ぐぞとレイム団長に言われたから、モヤモヤがあったとしてもルドゥンに侵入することに。
◆
ライトグレーノ王に簡単に会えるのだろうかと思っていたけれど、僕が透過の紅葉を持つ者としてすんなりライトグレーノ城に招かれる。
ここでもネズミが多くいそうと思っていたところ、チュウ族がいるから普通のネズミはいないんだろう。
傭兵に案内してもらい王の間へお邪魔をすると、チーズの匂いがしてルルラちゃんがいい匂いと言う。王様はというと思っていたより、ぽっちゃり系のチュウ族だった。
「よう来たちゅう。ライトグレーノ国はもう慣れたちゅうか?ここを選んだ者たちはネズミが大の苦手ちゅうだから涼真に指導させているちゅう」
本当にここを選ばなくてよかったと心の中で思いながらも、慣れましたと王に告げた。
「最初は驚きましたが、慣れました。失礼ながらカステクライン使いの女性をお迎えするとお聞きしたのですが」
「美しい赤毛の小娘を涼真が迎えに行っているちゅう。早く会いたいものだちゅうよ」
他国の王に言うのもあれだけれど、教科書に記されていたこと。デステクライン使いとシジ族は決して思いを寄せないこと。つまりカステクライン使いも同様でシジ族とは結ばれてはいけないはずだ。
「王様、シジ族とカステクライン使いは結ばれてはいけないという決まりがあるのはご存知ですか?」
「獄の世界ではそう言うのはなしだと聞いているちゅう」
そうなのとついセブラをみるとセブラは僕が言った言葉は合っているようで、セブラが代わりに言ってくれる。
「私の主人が言った通り、アノ族とシジ族は決して結ばれてはいけない規律がございます。どなたが仰ったのかは定かではありませんが、カステクライン使いを諦めていただきたい。でなければ王の身に何か起きるかもしれません」
「戯言を言うでないでちゅう!」
ぞろぞろと傭兵が来てしまってこれ以上話しても無意味なのかもしれない。そう思った時、ルルラちゃんが友達の璃子さんを思って王に伝える。
「ルル、一度だけ見たことあるよ。デステクライン使いに思いを寄せたシジ族が哀れな姿になって死屍になったところ。王様がそうなっちゃったら、この国は滅んじゃうよ。それでもいいの?」
「そんなことにはならないと言ってたちゅう。もう話すことはないちゅうだから、さっさと国へ帰れちゅうよ」
これ以上言っても駄目だと判断した僕たちはライトグレーノ城を出ると、もう来るなと傭兵に言われてしまった。その場を見ていたリラ団長はライトグレーノ城を見上げながら僕たちに任務を与える。
「嫌な予感しかしないから、あしゃは一度育を説得してこっちに来させる。涼真がカステクライン使いの娘を連れて来たら奪うわよ。セブラ、二人に習わせていないところ教えてあげといて」
「了解」
また後でとリラ団長は行ってもらい、僕とルルラちゃんは教わっていないことをセブラに教えてもらうことになった。




