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シゴノセカイ《改訂版》  作者: 福乃 吹風
32/72

32話 キャンドール鉱山③

 翌日、ネズミが発生するということで、アンジは夏海と会いに行き、俺と雫は兄貴の班に同行してもらうことになった。ここで兄貴と一緒に行動できることが嬉しすぎて、鼻歌を歌っていたら雫が笑いを必死に堪えている。


「なんだよ」

「だってお兄さんに会ったら、嬉しそうにしてるから」

「まあ兄貴にはまだあっちにいてほしかったけど、来ちまったしこうして再会できた喜びは大きいほうだよ」


 前で兄貴と兄貴の班の子が話している姿をみて、今でも夢をみているかのような感覚だった。兄貴が狙われなければ、こうして会うことはまだなかったのかもしれない。少し複雑な感情があるも少しずつ受け入れていくしかないよな。

 箒は火で燃える可能性が高いから、ケンタウロスタクシーを使うことになったんだが……。


「やる気なさそうなケンタウロスなんだけど、本当に乗っちゃっていいのか?」

「お兄さんたちも乗ってるから、きっと大丈夫なんじゃないかな」


 心配になるんだけどなと頭をかきながら、お願いしますとケンタウロスタクシーに乗った。ただ全然動いてくれなくて、僕たちはついカステクラインを起動させてしまう。


「カステクライン!水、雲雨の涙!」


 雨雲を発生させ雨を降らしたことで、ケンタウロスタクシーは復活をし、元気を取り戻してくれた。兄貴たちは羨ましそうにしているも、俺たちはキャンドール鉱山へと向かう。

 ホノオノ国から西方面へと進むに連れて、ネズミがちらほらと見かけた。アンジ、連れて来なくて正解だったなとケンタウロスタクシーに走ってもらっていると、目の前で大きなネズミが出現する。


 巨大ネズミは俺たちを襲いかかり始めていき、一度降りて巨大ネズミを退治したほうがよさそうだな。ケンタウロスタクシーに伝えようとした時だった。


「カステクライン!炎、炎の残石流星群!」


 残石が降って来て周囲が砂埃が起きそうなところ、兄貴が防御魔法をかけてくれる。


「カステクライン!防御、フェニックスの羽!」


 フェニックスの羽根が出現し、俺たちを囲んでこっちではフェニックスの羽根なんだと少し憧れてしまった。水魔導士の防御魔法はかもめの羽根だ。

 それにしても誰が助けてくれたんだろうかと、落ち着いたところで防御魔法が消えた。助けてくれたのは赤毛で髪の毛を後ろに束ね、右腕にはお洒落なタトゥーが入っている青年。助けてくれたお礼言わなくちゃと思った矢先のことだ。


「あんたが青藍の葉桜を持った奴か」


 そいつは近くにより俺の前に来て、上から下まで見終わった瞬間、その青年はやっと会えたと俺に抱きつきやがった。おいっと突き飛ばすも、そいつは俺に会えた喜びが隠しきれていないようだ。

 思わず兄貴の後ろに隠れてもらうも、そいつは後ろに回ってくるから逃げ回る。兄貴たちは笑っていて助けろよと思いながらも、しばらく逃げ回っていた。


 暑さもあったことでケンタウロスタクシーが体力をなくし、悪いと水を飲ませることに。


「で?お前は誰なんだよ」

「自分は雪山焔ゆきやまほむらと言って、青の団の副団長。よろしく」


 副団長いたんすかと非常に驚きがあって、俺と雫は叫んでしまうと、副団長は大笑いする。笑いを落ち着かせた副団長にあることを言われた。


「アンジ、今回はダメダメだっただろう?」

「あーはい」

「だから自分が様子を見にきたわけではあるが、来なくてもよかったと思ってる」


 ちらっと副団長は兄貴のほうを見ては俺のほうに顔を向けては雫をじろじろと見ているから雫は俺の後ろへと隠れる。


「くるちゃんから話は聞いてた。あんたが雫ちゃんか。どんな事情を抱えているのかは知らないが、困った時はいつでも連絡してくれればすぐ駆けつける」

「ありがとうございます」

「ならキャンドール鉱山へと行こうか」


 ここで副団長に同行してもらえるだなんて、何がどうなってんだと後でアンジに確認しておかなければならない。

 

 ケンタウロスタクシーに乗って、キャンドール鉱山に到着し、ポイを支払ってケンタウロスタクシーは引き返す。ここで何が起きているんだと踏み出そうとしたら止まれと副団長に指示をもらった。


「副団長?」

「奴らがいる。攻撃態勢」


 すると死屍デッドルタとネズミが出現し、各々の魔法を唱えることに。


「カステクライン!水、カワウソの牙!」


 汀と二匹のカワウソが死屍デッドルタに攻撃を与えるもあまり効果はなかった。てっきりここでは炎系だと思っていたから楽勝と考えていたのが間違いだったのかもしれない。

 なら一体、何系なんだと思考を膨らませていると、そういうことかと副団長は何かを掴んだようだ。


「想心のお兄さん」

「颯楽でいい」

「じゃあ颯楽、自分がやる魔法を真似して」


 副団長は一つ深呼吸をして、カステクラインを起動させる。


「カステクライン!炎、火神の大剣!」


 火神が現れ火が出ている大剣を思いっきり振り回し、兄貴もそれを真似して唱えた。


「カステクライン!炎、火神の大剣!」


 もう一体火神が現れ俺たちここにいて平気かとヒヤッとするも、火神たちは俺たちがいるところには攻撃を与えないよう配慮してくれている。

 それにしても凄いなと感心してしまうのは、俺の場合だと海神を出すとぶっ倒れちゃうからあまり使えていない。


 二人のおかげで死屍デッドルタは消滅し、先へと進むことになった。進むにつれてキャンドルが灯火を出していて、こうやってみると綺麗だなと、ついスマホがあったら写真に収めたいところだ。歩いていたら副団長が兄貴に聞き出す。


「颯楽の死因が事故死とされているが、死ぬ直前に何か見えたか?」

「一瞬だったので、覚えているのは運転手が慌てて救急車を呼びながら僕のことを心配してくれてました」

「そうか。あの時、実は現世で戦が起きていた。その戦というのは殺楽の暗殺」

「えっ…」


 副団長は守り切れなくてすまないと俺と兄貴に顔を見せ、副団長は現世にいたんだと知った。


「青藍の葉桜が発動したことで、その家族に危険が迫っているのは知っていた。もちろん、各国で葉桜家を守るために守護霊と共に、見守っていたんだ。ただこれは言うべきか迷うが、想心は聞かないほうがいいかもしれない」

「知りたい」

「それを決めるのは颯楽に任せる。少し二人で話してくるから、そこのキャンドルが灯っているところで待ってろ」


 副団長は兄貴を連れて少し距離を話して話していて、俺は聞かないほうがいいってどういうことなんだろうか。考えていると兄貴の班にいる灯田朱里さんが気にかけ教えてくれる。


「実はうちもその場にいたんです。それなのに颯楽さんを守り切れなかったのが悔しい」

「激しい戦だったんですね…」

「はい。現世でも派遣され守護霊と共に命を守る役目を持っているんです。階級を上げていけば想心さんたちの家族を守る依頼が来るかもしれませんよ」

「てことは芽森ちゃんを守れるかもしれないってこと?」


 雫が質問してくれて、はいと灯田さんは言っていて、芽森の守護霊が俺たちに依頼をかけてくれるかもしれないから、階級あげておかなくちゃな。


「ちなみに現世に行けるのはどの階級からなんですか?」

「三段魔導士からですよ」

「程遠いけどやる気がもっと出て来ました。ちなみにこっちに来た場合って守護霊は?」

「いらっしゃいますが、こっちにいる間は眠りにつくと聞いたことがあります。詳しいことは分かりませんが、現世に行く時は芽を覚まして一緒に戦ってくれます」


 めちゃくちゃ凄いこと聞いちゃったとつい胸に手を当ててしまった。俺の守護霊ってどんなものなんだろうかと。人なのか動物なのか。目に見えなくても、守護霊はそばにいてくれているんだ。

 雫は少し暗くなっていてどうしたと声をかけるとなんでもないとはぐらかす。さっきの話で獄の世界では違うことを教わってるのかなと感じた。


 二人が戻って来て兄貴の様子からみると打ち明けたくないような顔立ちをしている。


「想心、話すのは少し待っててもらってもいい?」

「わかった、待ってる。それで副団長、ネズミの大量発生って一体何が原因なんですか?」

「ライトグレー団長がネズミ好きで、ここホノオノ国ではライトグレーの国と共鳴している。つまりネズミがこっちに来ていてもおかしくはないということだ」


 想像したくない絵が生まれて頭に浮かんだものを揉み消していると、死屍デッドルタが出現する。ただ襲いかかってくる様子ではなく、再び俺たちに助けを求めていた。


「ダズゲデ…ゴノオグデ…」

 すると爆発してしまい俺たちは真っ先にその奥へと進んでいくと、悲鳴の声が複数聞こえる。奥に進むに連れてネズミが多くいて、俺たちに威嚇をしていた。


「ネズミに警戒しろ。この先は毒ネズミが紛れている可能性がある」


 副団長に注意されながら気をつけネズミを追い払いたくても、そう簡単には行かせないようだ。目の前に登場したのはねずみの格好をしている女子が現れる。


「意外とお早めに到着されたようですね。これは失礼しました、想心様。わずみはライトグレー寮長、雲井ねずみと申します」

「先輩たちの就寝にネズミ送った奴か!」

「その通りです。ネズミを送ってほしいとご依頼を受けたので、実行したまで。副団長が二名来るとは聞いていませんがまあいい実験体となってもらいましょうか」


 雲井ねずみは指を鳴らした瞬間に煙が漂い始め、吸うなよと副団長に言われたから腕を使って吸わないようにした。


「お察しがいいですね、青の副団長様。この煙は毒ガス。死にはしませんが、体に影響が出る」

「相変わらず悪趣味を持ってるな。涼真はここでなんの実験をやっているんだ?」

「すでに情報はそちらに届いているかと思っていたんですが、知っての通り、あなたたちの妹さんを引き摺り出すためと言ったらどうします?」


 今でも怒りが溢れ出そうになったところ、落ち着いてと兄貴に止められる。


「やはり想心様のお兄様はご存じだったのですね。それを知らされていない想心様が可哀想ではありませんか」

「なぜ僕が死ななければならなかったのか。理解できたよ。芽森の大事な宝物を奪えば、芽森が自殺すると確信していた」

「えぇ、その通り。なので芽森様の大切なものをどんどん奪う計画を立てました。最初はそうですね、芽森様と仲がいいお友達を落とそうと動いていますよ」


 芽森と仲がいい友達ってまさかとつい兄貴を見ちまった。爽がこっちに来ちまったら、芽森は再びどん底に落ちちまう。


「話はその辺にいたしましょうか」


 体に異変が起きまずいと思っていても、俺たちは毒ガスによって意識を失う羽目となった。



 ガッシャーンとつい手が滑ってお皿を割ってしまい、大丈夫と夏海が駆けつけてくれる。


「お皿が割れると不吉なことが起きる…。夏海、僕と一緒にキャンドール鉱山へと向かってくれる?」

「ネズミいっぱいいるよって校長に言われてたけど?」

「苦手だけど想心たちに何かあったんじゃないかって気がして」

「わかった。それにファウがもしかするとキャンドール鉱山に行ったかもしれないから行くよ」


 ありがとうと僕たちはキャンドール鉱山へと急ぐことにした。



 ハムスターになる体験といますか、二度と戻れないんじゃないかと思っていたけれど無事に元に戻れてよかったよ。涼真さんに渡されたものは受け取らないでおこうと反省しつつ、ねずみちゃんと少し話したかったな。

 探し回ってもいなくて、任務でいないかと街中を歩いていると、セブラが誰かを追いかけていた。誰だろうかと拘束魔法を唱えようか迷っていたら、僕の目の前でずっこける。

 やっと捕まえられるとセブラが行った途端になぜかその人の人質となってしまった。


「いのがない!」

「思穏に何かしたら」

「傷はつけないべ。質問に答えてもらおうが、セブラ」

「なんか毎回、このパターン来るんだが、てめえは誰だ?」


 その人はローブを外したのかセブラはまじかよと深いため息を出している。何が起きてんのと思いながらつい顔を覗きたくて、上を見ようとしたら手に覆われ確認ができない。ただ女性の手だと認識はできた。


「それで、何を聞きにこっちに来たんだ?」

「わの大事なふとをどこにやったんちゃ?」


 何を言っているのかわからない状況で、顔見ないので手をどかしてくれませんかと言いたかった。


「大事な人ってあいつに殺されたんじゃないのかよ。なんであいつを求める必要がある」


 ふとというのは人と意味だったのかと離れるようで僕は見ないようにとセブラのほうへと歩く。


「ふとげりでいいがら会いてえんだぁ」


 この人、カステクライン使いの人で、セブラが言ってた言葉。求める必要があるというのはきっとけりをつけたいからなんじゃ。

 到着するも姿みるなよと言われたから、その人に背中を向けたままセブラは言う。


「行ったとしても相手にされないし、殺した理由は絶対に話さない奴だ。命が欲しければ諦めて天の世界へといい加減戻れ」

「セブラ」

「この程度じゃ発動しないから平気だ」


 セブラがせっかく逃がしてくれるというのに、その女性は泣き出してしまい、つい振り向いてしまった。赤毛の髪質で編み込みをしており、りんごのブレスレットをつけている。

 青森出身かはさておきどくどくな喋り方をする女性と言いますか、僕たちと変わらない年齢ぐらいの彼女だった。次第にカステクラインがくるくると回っているから、誰かが連絡をしてきている。泣きながらその彼女はカステクラインを起動させた。


「カステクライン!連絡、つがるのりんご!」


 カステクラインからりんごが一個現れ、彼女の周りを転がる動作をして手のひらへと乗っかると、璃子りこどこにいると怒鳴られている。


「団長っ」

『またそっちに行ったのか…。早く帰ってこい。お前の好きなりんごが届いたから夕飯は遅れるんじゃない』

「セブラが教えてくれないっ」


 通常に喋れてるじゃんと突っ込みたくとも、団長の言葉でもう涙は止まった。


『おい、そこにいるんだろ?あまり璃子を泣かせるなとあれほど言っているんだが』

「教えたところでまた泣くのは璃子だからに決まってるから教えないだけだ」

『迷惑かけたな。セブラが優しいからわざと会いに行っていることぐらい、そろそろ気づいてやってくれ。ではな』


 そっち系ねとつい笑いそうになってしまい、セブラに一発軽めの拳骨をいただくことになる。ルルラちゃんがそわそわしていているから、どうしたとしゃがむ。


「どうした?」


 尋ねるとルルラちゃんが璃子さんのほうへと行こうとするから待ってと腕を掴んだ。


「璃子ちゃん?ルルのこと覚えてる?」


 落ち着いた璃子さんは涙を拭きながら、ルルラちゃんの姿を見て驚いていた。


「るこちゃん?」

「うん!そうだよ。どうして?なんで死んじゃったの?」

「わは災害で死んだが」

「そうだったんだ…。ルルが死んだその後って教えてもらえる?」


 璃子さんの表情が曇り、教えてよとルルラちゃんは言うも璃子さんは首を横に振る。


「言えね。言っだら、るこちゃん悲しむだぁ」


 ルルラちゃんが悲しむと言うのはどういう意味なんだろうか。ルルラちゃんは今でも泣きそうな表情であっても、璃子さんはかになと言いながらいなくなってしまう。

 いなくなったことでルルラちゃんは泣き出してしまい、僕はルルラちゃんを慰めているとセブラが言い出す。


「やっぱりあいつ説得しに行くから、ルルラが泣き止んだらネズミカフェで待ってろ」


 猫カフェじゃなくネズミカフェで待つだなんて嫌だよと言いたくとも、わかったよと伝えセブラはあいつと言った人を説得しに向かった。

33話〜35話、出来上がり次第随時配信。

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