26話 カイノ村⑤
ハウヴァについて行きここは昨日行ったダンジョンの場所だと進んで行くと、エリアに到着しそこにあったのは大きな扉だった。ここにいるのかと扉を開けたらなんと宝庫で宝がたくさん詰まっている。これ売ったらいくらになるんだと思いつつもその先に通路があってそこを歩く。
アンジは不審に思ったのかハウヴァに聞いた。
「ハウヴァ、こっちで本当にいいの?」
「そうですわ。だってここがアンジたちの墓場ですから」
しまったと俺を捕まえたハウヴァでアンジたちはデッドメイドに囲まれ一瞬で切り替わる。着いたその先はイタヤ貝のベッドに寝ているリディー先生と横で愛しそうに見ている白金銀がいた。
「リディー先生を返せ!」
「それはできない。リディーはいい切り札になる。汀春を思い続けるリディーの魂はすでに崩壊するよう仕向けた。こんな人形がなくても、自分で破壊できるってね」
「…へえ。そう言ってるけど、リディー。いい加減狸寝入りするんじゃねえよ。俺を裏切ったらお仕置きどころじゃなくなるぞ。どうする?」
起きたリディー先生は欠伸をしながらベッドから降りて、どういうことだという瞳をしている白金銀。枷を外してあげてリディー先生が喋り出す。
「いい情報をありがとな。先生の魂が崩壊するわけないだろう。なぜなら、先生は汀春だけを愛する者だ。お前に支配されていたように見せかけながら情報を盗んでいた。想心殿、後でたっぷりご褒美を」
「あいつを倒せばご褒美をやる。やれるな?」
はいと急に声が高くなりリディー先生の攻撃が開始した。
「カステクライン!氷、トナカイの残雪!」
トナカイが複数現れ雪を掘るかのように動いて、白金銀とハウヴァに直進して行くも塞がれてしまう。簡単には倒せないのはわかってる。だから俺もとカステクラインを起動させた。
「カステクライン!風、ダチョウの疾風!」
ダチョウが現れて翼を広げ風を出してもらい、二人は耐え切れないような感じ。俺も飛ばされそうになりつつも、今だとリディー先生に指示を出した。
「カステクライン!氷、雪男の暴風雪!」
ダチョウと雪男の力で一面が雪に覆われるもリディー先生がついてくれているから寒くも感じない。やったかと様子を伺っていると、雫の声が聞こえてアンジたちもやって来たようだ。
「今回はいい遊びができたよ。今度はリディー、自分のコレクションになってもらう。行くぞ、ハウヴァ」
「はい、銀様。またお会いしましょう、春樹」
いなくなったのを感じたのかダチョウと雪男がいなくなったことで風が止み、これで本当に一件落着かと地べたに座り込む。
「リディー先生、ありがとう」
「想心殿、先生はよい。すでに呼んでるではあるまいか。そう呼んでくれると発揮できる」
「わかったよ、リディー。さてと寮に戻って盗んだ情報を聞かせてもらう。それからでもいいか?」
「もちろんだ」
リディーが手を差し伸べてくれてその手を掴み立ち上がって俺たちはミズノ王国へ帰還することにした。あっさりな終わりかただったけど、リディーが狙われる可能性はまだ残っているってことでいいんだよな。
寮へ戻って新しく入団して来た二人も戻って来たことだし、談話室で話を聞くことにした。
「情報を盗んだのはシャン・エンディリアについてのことだ。本来ならば天の世界にいるんだが、娘が自殺をした原因によりシャンはデステクライン使いと手を組んでいた。しかしデステクライン使いはシャンを利用するため、ある研究を行なっていた。今もその研究が続いている」
「研究ってどんな研究なんだ?」
「魂を半分にし多くのデステクライン使いに使用するためとか言っていた。そのためにはまずデステクラインとカステクラインの相性がいいものを奪わなければならない。ようは魂の相性というものだ。だから最近は魂だけを狩るのではなくカステクライン使いを誘拐することもあるらしい。その一人が先生だと判明した」
「だからやられなかったってこと?」
そういうことだと紅茶を飲むリディーで、想像するだけでゾッとした笑みだったな。
「あのう、それって俺たち聞いちゃってよかった?」
「そうそう。だって俺たちまだ見習い魔道士…」
きっと妄想してしまったんだろう先輩二人で、そりゃあ怖いもんな。誘拐されたら何されるかわからないしデステクライン使いにこき使われそうな感じもあるからな。
「誘拐するリストとかは見せてもらったの?」
雫がとんだ質問をして来て、リディーは普通に答える。
「ざっとしか見せてもらってはいないが、アンジの名前も入っていたぞ」
「僕!?」
「あれじゃないか?汀春さんの右腕だった蓮さんのカステクラインを使用しているから。ちなみに俺の名前は入ってなかった?」
「入っていなかったな。だが要注意は必要だ。カステクラインを奪われたらあっちのものだと思え」
警戒すべきは汀春さんの兄である濡羽玖朗だ。
「リディー先生、その他にも何か言ってませんでしたか?」
「言っていたな。シャンの娘であるロゼが行方不明になったと。雫とそっくりだから驚いていたとかは言っていたぞ」
いやあれは確実に気づいている前提で話を吹っかけたとしたらどうだろうか。ここは知り尽くしているリディーに口止めをする必要がある。
「それ以外は?」
「それしか情報は掴めず寝てしまった」
情報が盗めただけでも対策はできるから、他の団にも共有はしてもらったほうがいいな。
その話が終わりそれぞれの部屋に戻って、俺は寮長の仕事をするため執務室で書類やらの処理をしていた。仕事をしているとノックが聞こえ、どうぞと伝えリディーが入ってくる。
「想心殿」
「三回回って犬の体勢になり一回吠えろ」
書類を見ながらリディーは俺が言った通りにやりワンッと吠えた。何をしてるんだかと思うも椅子から立ち指示を待っているリディーでありやっぱり駄目だと机に手をつく。
「想心殿?」
「悪い。今日はこの辺にしてくれ」
「困らせてしまってすまない。だがあの提案はよかった。昔の汀春を見ているかのようで少し興奮してしまったのもある。想心は想心だ。汀春ではない。いつでも相談に乗るからな。それじゃあ」
立ち上がって行こうとするリディーを後ろから引き寄せ、頬にキスをしてご褒美と伝える。そしたら感謝すると言われささっとリディーは退散して行った。俺ができるのはあの程度だよと俺は書類の処理を行っていく。
想兄助けてという夢を見てはっと目を覚まし、まだ夜中だった。この前は白金銀が芽森を連れて行く夢だったけど今度は芽森の声しか聞こえなくて誰が芽森を狙っているんだ。
団長が芽森を見てくれているから心配はいらないけどこれが正夢にもなったらどうしよう。
汗だくだし喉乾いたから水でも飲もうと扉を開けたら部屋の前で寝ているリディーがいたのだ。どんだけ好きなんだよと風邪を引かないように膝掛けをかけてあげ水をもらいにキッチンに入る。
コップを取り出し浄水の水をグビグビ飲んでいると、ぎゃーっという先輩たちの悲鳴が聞こえた。なんだと先輩たちが使用している部屋に入ってみると二人は抱き合って周りには大量のネズミがいる。窓から誰かが逃げて行くのが見え、待てこらと侵入者を追跡する。
「カステクライン!取り出し、箒!」
箒に乗って追跡するとライトグレーのローブを着ている。デステクライン使いかと拘束魔法をかけた。
「カステクライン!拘束、わかめの結び!」
わかめが出てきてローブを着た人を拘束しようとしたがいきなり止まってこちらを向き攻撃をしてくる。
「デステクライン!闇、勿忘草の炎!」
青い炎がこっちに来て防御魔法を唱えた。
「カステクライン!水、水泡の衣!」
防御をしたが多少火傷を覆っても逃すかと箒から降りてローブを着た奴を捕まえようとしたら、背中から濡羽玖朗と同じ寒気を感じた。振り向けないと手足が汗ばみアンジたちに報告しなくちゃとカステクラインを起動させようとしたら天から救いがくる。
「カステクライン!光、ハーフの光波!」
眩しいと目を瞑ると寒気が消えいなくなったのを感じ、想ちゃんと降りて来る美命で俺は無意識に美命に抱きついた。なんだあの恐怖心と今も手足がガクガクで歩けるような感じじゃない。
「想ちゃん、よく頑張った」
「美命、俺の後ろにいたやつは誰だよ。濡羽玖朗と似たような恐怖心があった」
俺の頭を優しく触れながら教えてくれる。
「想ちゃんの後ろにいたのはね、絹鬼涼真。何度かニュースで流れてた人だよ。その人がね、今芽森ちゃんを奪おうとしてる。私たちの団長や他の団長も集まって芽森ちゃんを見守ってるから大丈夫だよ」
「だけど怖い。芽森が自殺しちゃったら俺は」
俺から離れて美命の両手が俺の頬に当てて大丈夫ともう一度言ってくれる。
「大丈夫。何があっても芽森ちゃんの命を奪わせたりしないよ。アンジくんに怒られそうだけど寮まで送る」
まだ俺の足は動けそうになくても、美命が引っ張ってくれて動けた。
翌朝、先輩たち大丈夫だったかなとアンジに着させてもらって食卓へ行ってみると先輩二人はくまができていた。
「舟渡先輩、砂山先輩、夜中大丈夫でした?」
「ねずみの声がまだ耳に残ってて寝れなかった」
「最悪でした。睡眠の邪魔されるの一番嫌なのに」
災難だったっすねとかは言えず帰り際、美命が教えてくれたのはライトグレー寮長の雲井ねずみという子らしい。悪戯にも程があるけど俺が起きていたからってことでいいのかはいまいちわからん。
朝食を食べ授業を受けに行くかポイント稼ぎに行くかどうしようと考えているといきなり航さんが立ち上がった。
「あなたたち今日、なんの日か知ってる?」
「あっ!ゴタゴタしてたからすっかり忘れてた。今日団の中間成績発表なんだよ。急いで食べてミズノ城へ向かうよ」
そんなのあるのかと朝食を食べ俺たちはすぐさまミズノ城へと向かう。
ミズノ城へ入りアンジに案内してもらって大広場では団ごとに並んでおり青の団と行ってみると団長がいらっしゃっる。
「団長!」
「春樹、アンジたちも久しゅうな。いい仲間もできたそうやね。その調子で頑張りいや。アンジ、終わったら話があるさかい。えぇな?」
はいと返事をするアンジで校長が壇に上がり、中間成績を聞いていったのだ。
◆
セブラが帰って来て翌日のこと。いつもならのんびり寝ていられるのに、セブラが起きろとお玉でフライパンを叩きうるさいと起き上がる。
「なんなの?まだ寝てていいでしょ?」
「今日はなんと言っても中間成績発表なんだよ。それでポイントが増えたり減ったりすることもある。ほら着替えすんぞ」
ふわあとまだ寝ていたくても成績ということに敏感な僕はセブラに着替えさせてもらいしっかりと朝食を食べた。ルルラちゃんもぺろり食べたことでライトノ城へと向かう。
ライトノ城の大広場へと行きそこに団の順位が書かれていた。僕のライトノ団は三位か。一位はやっぱりブラックノ団。二位はライトグレーノ団。四位はグレーノ団で五位はダークグレーノ団。
「まじか。ライトグレーに抜かされちまったな」
「そうなの?」
「まあな。以前は二位だったんだよ。これ団長に報告したらやば」
「何がやばいのかな。セブラ」
「団長。いつの間に!?」
「中間程度で落ち込まない。君が噂の思穏ね。あしゃはリラ。セブラうるさくしてない?大丈夫?」
団長さんいたんだといえと笑顔で回答した。
「最初は殺人鬼と一緒にいたくなかったんですけど、セブラと過ごしていくうちになれました。それにいろんなこと教えて暮れるので助かってます」
「あらよかったじゃない。前はね照秋が眠りについてしまった頃、凄く荒れてたのよ。でも透過の紅葉が動き出してすっごく喜んでたの。ね?セブラ」
「ちょい恥ずかしいこと言うなよ。リラ。そうだ、ルル。リラに会うのは初めてだよな?」
「ルルラです。よろしくお願いします」
「可愛い子じゃない。もので釣ったの?」
違うわとセブラが突っ込んでこの二人お似合いだなと笑顔が絶えない。楽しくやっていけそうだなとルルラちゃんと一緒に二人を見ていると濡羽玖朗さんを見つけ、玖朗さんと声をかけると手を振ってくれる。
「やっと現れた!この前のお返し!」
セブラが玖朗さんを捕まえようとするもシュルッと避け僕のところに来る。セブラは伊雪さんに邪魔をされていた。
「ルルラちゃん、お姉ちゃんと街に行ってよっか」
団長はルルラちゃんを連れこの場から離れる前ウインクをして行ってしまいなんだろうこの胸騒ぎ。玖朗さんが僕に真実を告げられ、嘘でしょとライトグレーノ団は一度、自分の国へと戻ったそうだ。




