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シゴノセカイ《改訂版》  作者: 福乃 吹風
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22話 カイノ村②

 シルバー男は白金銀という人物でドSイケメンらしくハウヴァがこんなに惚れている原因は、ほとんどの女性がドMだと理解したからだ。ハウヴァもその一人。

 白金銀は一度獄の世界へ帰り何かをしてくるとかで、俺は再び枷をつけられたからあまり行動範囲ができない状況になった。それにしてもここは一体どこなんだよと小窓を覗くも何も見えない状態である。ここで連絡したらまずいよな。早くこの状況をなんとかしなくちゃ。


「そ・う・ご」

「やめろって。何回言えばいいんだよ!」

「だって銀様のお仕置きが欲しいんですもの。だから想心といちゃついてたら、銀様がお仕置きをしてくださる」

「あのな、ハウヴァ。自分の体をもっと大事にしろ。せっかくくれたその体にどれだけ鞭の痣とかあるのかは知らないけど、お前がほっとけないんだよ」

「なっ何を言ってますの?はいねは望んでお仕置きを貰ってますのだからその…ふん!」


 どっちなんだよと不貞腐れたハウヴァで今までどんな人生を送っていたのか想像ができない。自殺したり人を殺めた人の発想は負の感情から生まれるもの。そうさせたのは周囲の人たちでもやってはいけない行為だから許されることはできない。

 ハウヴァの様子を見るからに姿は少女だからきっと何かの原因で自殺したのはなんとなくわかった。

 今は甘えさせる方がハウヴァにとっていいのだろうけど、この先のハウヴァ自身が道に迷わないようにしなくちゃな。


「ったく。服は脱ぐなよ。ハグだけしてやるから。ほら」


 俺が両手を差し出すと枷の間を潜って俺に抱きつき、体がこんなにも小さいことが理解した。よしよしと頭を撫でていたら襲撃よと女性陣の声が聞こえ助けに来てくれたらしい。

 しかしだ。ハウヴァは俺から離れようとせず、この場を見られたらやばいってと離れようとしたらリディー先生がいた。リディー先生の顔が鬼の仮面を被ったように怒りが爆発する。


「想心殿にくっついている小娘!今すぐ想心殿から離れろ!この愛しい顔に傷を入れたらただじゃ済まさない!」

「ふふっ。想心を解放するためにあなたの魂を狩らせていただくことはお分かりですの?のうのうとここに到着したのはお見事ですわ。ですが銀様が戻って来るまで引っ込んでおくれません?」

「いい度胸の小娘だ。アンジ準備はいいか?」

「いつでも行けます!」


 何をする気だとアンジとリディー先生は同時にカステクラインを起動させた。


「カステクライン!氷、雪男の暴風雪!」


 それ一番寒いやつだと逃げようとも、枷がついている状態だから防御魔法で防ごうとしたらハウヴァが防御魔法をかけたのだ。


「デステクライン!闇、鴉の羽根!」


 鴉の羽根が沢山現れ俺たちを囲み吹雪を防ぐ。これもこれで面白い魔法だなと興奮していたら思いっきり剣が俺の顔ぎりぎりに刺さったのだ。

 冷んやりしてよくよく見ると剣汰がくれた剣で、びっくりしたと落ち着いているとピカンッと剣が光り眩しいと目を瞑る。少しして目を開けたらハウヴァの姿がなくアンジが枷を外してくれた。


「ありがとな、アンジ。ハウヴァたちは?」

「あの光で逃げたっぽい。あの光はデステクライン使いを追い払う光にもなる」

「へえ。そんな魔法もあるんだな。そういやテンファと雫どうした?」

「二人は引き続き調査をしてるから一度合流しよう」


 アンジの手を借りて立ち俺たちはダンジョンを出てカイノ村へ戻ることに。


 ダンジョンの中は何もなかったけど、リディー先生がダンジョンでひっそりと暮らしているデステクライン使いがいると教えてくれた。グレーノ国の団長である白金銀もその一人なんだとか。だから注意は必要らしい。

 前で歩いているリディー先生はデステクライン使いがいないか警戒心を抱いている。さっきの見られたからなのかはわからないけど、猫よりライオンのようだ。

 後ろで歩いている俺たちはアンジにこそこそとある提案を持ちかける。


「なあアンジ、リディー先生を団に入れないか?」

「なんでよ。僕は却下」

「アンジの立場は変えさせない。リディー先生は防衛官に向いているっていうか。それに以前の戦を詳しいしそういう人材を一人入れておいた方が今後起きうる戦にも役に立つと思うんだよな」

「それはそうだけど雫はあれだよ。校長以外誰にも話していないんだし、いつばれるかわからない。リディー先生は鋭いよ。そこはわかってる?」

「わかってる。そうならないためにもリディー先生には協力してもらう」


 どうやってとアンジは首を傾げながらまあ見ててとリディー先生と声をかけリディー先生の隣を歩く。


「どうした?」

「汀春さんがいた頃、リディー先生とはどういう関係だったんですか?歴史学には載っていないことだったから気になっちゃって」

「汀春は誰にも優しく時に不器用な部分もあったが、先生は汀春を尊敬し共に戦った仲。多くの魂を失った時は先生に甘えて来た姿が今でも忘れられない記憶。怒り悲しみ後悔をしてなぜこうなってしまったのか常に疑問を持っていた。先生やアンジのカステクラインの持ち主であった花畑蓮はなばたれんも汀春を慰め汀春の心の傷を癒していたな」


 懐かしそうに喋るリディー先生でもどこか寂しいような表情をしていた。


「戦が終え汀春は先生たちに言った。照秋との約束を果たしに生まれ変わるとな。あの二人の絆は消えてはいなかったということが理解でき、盛大に見送った。だが照秋は今も死屍デッドルタを送り続けている意味が全くわからん」

「え?」

「歴史学ではそう伝えているが、本来は違う。そう伝えなければ死屍デッドルタを倒さない人も増えると王が仰ったからだ」


 そんな真実があっただなんて知らなかった。戦が終え照秋さんとの約束を果たすために生まれ変わっただなんて。


「じゃあアンジが持っているカステクラインの持ち主さんは?」

「蓮は自分の意思で生まれ変わった。まさか汀春より先に蓮のカステクラインが動き出した時は驚いた」

「リディー先生」

「いいではないか。どちらにせよ、再びこうやって会え三人で歩くのは千年ぶりだよ。お帰り、二人とも」


 お帰りではないと思うのだがリディー先生は俺とアンジの肩を組み俺たちはなぜか喜びを感じていた。きっとこの魂が再会ができて喜んでいるのかのように。



 カイノ村に到着して来た時よりだいぶゴミが減ったなと歩いていたら、雫とテンファを見つけごめんなと手を振る。すると二人がこっちを向いて良かったという顔をしながらこっちにきた。


「何もされてない?大丈夫?」

「何もされてないよ。それでゴミが減ってるっぽいけど原因が分かったのか?」

「原因はデッドメイドだったけどまだ終わりではないって倒した時に言われた。リディー先生、デッドメイドは人魚。もしかしてカイノ村の言い伝えが実際に存在するのですか?」


 テンファがリディー先生に質問し、リディー先生は歴史学の先生でもあるからこういうのは詳しいのか。少し待っているとリディー先生がこう告げた。


「人魚がいると言うのは事実だが、あまり先生たちには見せないと言われている。村長なら何か知っているかもしれない。聞いてみよう」


 甲斐さんのご自宅へと行き、ベルを鳴らしても反応がなくどうかしたのかなと待っていたら出て来る。


「甲斐殿、ご無沙汰しております」

「これはリディー」

「村の言い伝えについて聞きたいことがある。少しいいか?」

「もちろんだ。手伝ってくれた君たちも疲れただろう。お菓子を用意したから食べながら話そう」


 お邪魔しますと言いながらご自宅の中へと入り、リゾートにありそうなソファーに腰を下ろした。貝殻の置物が沢山ありながら冷たいお茶をいただき甲斐さんが語ってくれる。


「魚人族がいるのは本当だ。ただ人見知りが多く違う種族とはあまり関わらず、ひっそりと海の中で暮らしている。しかし千年前起きた戦では共に戦ってくれたが、戦が終わり仲が深まっていた頃、突如魚人族は地上へ出て来ることはなかった。しばらくして死屍デッドルタが各ところに出現していると聞いて、わしたちもそれ相応の準備をしていたが、このカイノ村は千年前からずっと現れない。もしかすると魚人族が守ってくれているのではないかとわしは思っている」


 言われてみれば小さな村だというのに死屍デッドルタが出現していない。強いて言うなら海の中だけのこと。魚人族に会ってみたいと興奮してしまうほどだけど一つ気になる点がある。デッドメイドが出現するようになったのは千年前の戦が終え五百年辺りから出現するようになった。

 デステクライン使いが捕らえてデッドメイドにさせているのかは不明だが確かめる必要があるかもしれない。


「ゴミが増える理由とその言い伝えが関係しているのかはまだ特定できていないがもう一度海を調査する。想心殿たちはまだ地上にあるゴミ拾いを頼む。海を綺麗にしなければ魚人族が全滅してしまうからな」

「リディー先生、お気をつけて」


 リディー先生は即時に動きお茶と焼き菓子をいただいて、俺たちはリディー先生の指示通りゴミ拾いをしていくことにした。ゴミが多ければ多いほど魚人族の環境が悪くなってしまうのは知らなかったな。

 トングでゴミを袋に入れていると汀も、持てるサイズのゴミを持って来てそれをもらい汀は違うゴミを拾って来るようだ。

 ほいほい入れてこれが最後かとパンパンになった袋を閉めてごみ置き場へ持って行くと、アンジとテンファがゴミ置き場の前で倒れていた。


「アンジ!テンファ!しっかりしろ」


 体を揺さぶってもびくともせず何が起きたんだと思考を膨らませていると体がぐらっと来て地面に手をつける。さっき食べた焼き菓子かそれともお茶に入っていたのかと俺も倒れた。甲斐さん、俺たちに何をしたんだよとそう言えば雫はと考えても視界が遮断する。


 誰かの歌声に汀の鳴き声がして目を開けると汀が俺の上に乗っかっていた。ここはと上半身を起こすと海の中にいるも呼吸ができるのはどうしてだろうか。隣ではまだ寝ているアンジとテンファがいる。

 歌っていたのは魚人族らしい人で、すみませんと声をかけると起きたのねと俺の手を掴む。


「あのなぜ俺たちは海の中にいるんすか?」

「あの村はすでにミッドヴィークに奪われているの。助けに行きたくてもゴミが多くあったせいでなかなか地上に出られなかった」

「いつからですか?」

「一ヶ月前辺りからよ。その一ヶ月前に甲斐さんと揉めてしまったのがいけなかったのかもしれない。それか五百年前の出来事で甲斐さんは変わってしまった」


 俺の手を離し海を眺める可憐な人魚は五百年前のことを教えてくれた。


「私たち魚人族やそれ以外の種族はあの世で亡くなられた方たちのサポートに当たる側の全種をサポラントと言います」

「授業で習いました」

「なら大体はつくと思います。決して結ばれてはいけない関係、禁断の恋をしてしまったのが原因というべきでしょう。甲斐さんを支えてくれていた女性はポイントを稼ぎ切ったことで生まれ変わることを望んだ。けれど甲斐さんはその女性を失うのを恐れ、彼女のカステクラインを奪いここに止まらせることを強制させた。彼女はいつも浜辺で泣いているのを知った私たちは、一度地上に出て甲斐さんを説得し彼女を逃したのです」


 禁断の恋かとその続きを教えてもらおうとしたら魚人族がぞろぞろ来て武装している。しかも俺の前で跪いたのだ。何事ですかとびっくりしていると俺の前にいる魚人族が喋り出す。


「お待ちしておりました。青藍の葉桜を持つ想心様。我々は千年前、汀春のご指導のもと、カイノ村を守っていたにも関わらずシジノ族を守れなかったこと誠に申し訳ない」

「謝らないでください。誰を好きになるのかは自分自身であり、例えそれが禁断な恋だとしてもその恋は誰にも止められない。だけどあなたたちがやったことは正しいと俺は思いますよ」


 想心様と腕で泣く人たちでアンジとテンファが起き、雫とリディー先生がいないことについて可憐な人魚に聞いた。


「頭に雫のピンをした女子と耳に氷のピアスをつけている女性を見かけませんでしたか?」

「いえ。見つけたのはあなたたち三人だけ。もしかすると…」


 なんだと俺たち三人は顔を見せ合い、他の魚人族も暗い表情をしていたのだ。



 なんとかしなくちゃと思っていても枷が外れず、やめてと叫びたくても口も塞がれてしまっていた。甲斐さんはリディー先生をイタヤ貝のベッドに寝かせて何をする気と見ていたら、影からお疲れ様ですのと現れたのがなんとハウヴァだ。


「ご苦労様。これ彼女が生まれ変わった人物の住所。行って差し上げて」

「感謝しよう」


 私を無視して貰った住所を見ながらささっとこの場から離れ、ハウヴァがパンパンと叩いたら銀の奴隷たちが出てきてリディー先生に何かをしていく。

 なぜ私まで捕まったのか原因が掴めないけど、ハウヴァがこちらを向きにこにこしながら雫のピンとガムテームを外してくれる。


「これロゼのですよね?どこでお会いしたのか教えてくれません?」

「知らない。拾って可愛かったから付けてるだけ」

「ふうん。まあいいですわ。それよりロゼ似のあなた、銀様が興味を抱いていますの。だからあなたも着替えていただきますわ。あなたたち、ロゼ似の子にもお目かしを差し上げて。さてとはいねはもう一度、想心を奪いに行きますわ。また後ほど」


 ちょっと待ってと言いたかったけれど、銀の奴隷たちが私をいじりまくっていった。



 想心を助けられないと相談を持ちかけたものの、それはできないとキッパリ断れてしまって想心の魂が危ないのに僕はどうしたらいいと部屋を行ったり来たりしていた。

 僕はまだ六段魔道士だしあっちには行けない。頼れる人って言ったら他に誰がいると考えていたら何してると濡羽玖朗が訪ねて来たのだ。この人に頼むのもどうかと思うけど相談してみようかな。


「助けてほしい」

「助けられない」

「想心が危ないんだ」

「それは無理な話だ。天の世界にいる人を助けたら死屍デッドルタになるって教わらなかったのか?」

「そうだけど唯一の友達を失いたくないんだよ」


 僕がそう告げると玖朗は僕の頭を撫でこう言われる。


「想心は大丈夫。アリサイズのコウモリを忍ばせといたから、万が一想心が危険になってしまおうともやつがれのコウモリが必ず守るようになっている。心配せず今は段を上げることに集中しろ。いいな?」

「…わかった。ねえ前から思ってたんだけど、どうして玖朗は人を殺めたの?人を殺めるような人じゃなさそうなのに」

「いずれわかる。ここに来たのはセブラに内緒だ」

「あっうん」


 すっといなくなり同時にセブラがやって来てなぜかバットを持ってギロギロと目が光っていた。


「どうしたの?」

「一瞬、玖朗の気配がしたんだけど、こっちに来てないか?以前のお返しまだできてねえからさ」

「来てないよ。来てたら先にセブラの顔に落書きとかいたずらするんじゃない?」


 それもそうかとバットを消すセブラで本当にこの二人仲良いなと感じてしまう。


「そういやさ、さっきのことなんだけど」

「それはもういいよ。想心が無事でいることを願うって決めたから。それよりライト寮生を少し増やしといたほうがいいと思ってる。どうかな?」

「そうだな。寮を管理するに当たって寮生にはいくつか役割分担もあるし。ルルラにはどういう役割を持たせるとかも重要だ」

「それならもう決めて今やってもらっている最中だよ」


 早っと言われながらもセブラに提案を持ちかけ、手作りのチラシだけどそれをコピーして街中に貼っていくことにした。

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