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シゴノセカイ《改訂版》  作者: 福乃 吹風
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11話 ユッキーノ街④

 雫が盗んでしまった分を一緒に謝りに行って、店の手伝いをさせたら雫の評判がよく四店舗の評判がぐんと上った。そのおかげで雫も自然と笑うようになった頃のことだった。

 武器屋を経営している剣汰は普段通りに働いているそうだが、悪夢を見るようになってしまってちゃんと眠れないでいる。

 そこで俺はどうにかできないかと校長に連絡してしまった。俺の連絡用動物はペンギンで、少ししてペンギンが喋り始める。


『大体はアンジから報告を受けているよ。こちらもデステクライン使いを庇うのはどうかと思うんだが手続きは済ませている。それでかじ剣汰くんが悪夢を見続けているということなんだが、恐らく体のどこかに死屍デッドルタの模様があるはずだ。浄化魔法で消えるから試してみるといいよ』

「ありがとうございます、校長。この一件が終わり次第、雫と一緒に奥様に会いに行きます」

『待っている。それでは気をつけて』


 はい、失礼しますと返事をして通話を終えた俺は剣汰を呼び、剣汰の部屋でチェックをした。死屍デッドルタの模様ってどこだとまじまじ見ていたら何やってるのとアンジに怒られてしまい、もうと服を着させるアンジ。


「何考えてるの?」

「そう言う趣味じゃねえよ。校長が体のどこかに印があるから探してごらんって言われて」

「あぁもう。それはすでに試してみたよ。でもどこにも死屍デッドルタの印なんかなかった」

「ねえそれならそっくりの人形が原因かもしれないよ」


 いきなり雫が現れて剣汰は赤っ恥になりながらささっと服を着始め、雫は気にせず俺たちに言ってきた。


「デステクライン使いの基本であっちには多くの人形が製造されててね。悪夢を見せたり不幸に導いたりできる優れた人形があるの。ただ対象とされているカステクライン使いたちのみしか使用は禁じられてるから、対象とされている盾乃ちゃんと邪魔な剣汰くんの人形がディーグの手持ちにある。その人形を壊せば何も起きらないからね」


 所謂藁人形で呪うというありがちな方法だな。俺もいずれそういうことになるのかと思うとゾッとするけど大丈夫だろう。


「んじゃディーグを探せばいいってことだろ?どうやって探す?」

「まだ盾乃ちゃんが依頼書に残っている以上、また襲いかかってくるケースはあるよ」

「囮はさすがにやらせたくない。そうなると魂狩りの日に再び現れるかもしれない」

「なんだ?魂狩りって?」


 俺はまだこっちに来て浅いこともありアンジが簡単に説明をしてくれた。


「毎月四日の日が魂狩りと言って、デステクライン使い五段魔道士以上の人たちが、一斉に魂狩りをしに出現するんだ。団に入っている人たちはそれに対抗してデステクライン使いを追い払う」

「なぜか四日の日だけ天の世界に行けるようにされてるんだよね。私はまだ六段魔道士で幽閉されちゃったから逃げることも困難だったけど」

「寮長も強制ってこと?」

「そうだよ。寮は団の寮でもあるからね。一応、僕たちには団長がいるけど、基本家にいないパターンだからずっと青の寮生は野宿生活だった。それによって団長がかき集めた寮生は僕のみになった頃に、ちょうど想心そうごが来てくれたから助かったよ」


 そんな理由があったんだなと知れたことで、寮長としてもっと頑張ろうという気持ちが出てくる。


「じゃあもう寮のイメージってあったんじゃないのか?」

「団長、そういうの気にしないタイプで無地の青だったよ。どうなったかは家に帰ってみないとわからない」


 団長に相談せず申請してしまったがよかったかなと少々不安があるも早く帰ってどうなったのか知りたいな。

 それで四日って明日じゃんとかけてあるカレンダーで確認をし、どういう作戦でやるか作戦を練る。


「普段はどうしてるの?」

「ほとんどは魔法で対抗してるけど、ミズノ王国を守るのが基本。街からの依頼があれば派遣されることがある。今回、僕たちはここに滞在をしているから、校長の命によりここで待機命令が出されてる。デステクライン使いが現れる時間帯は就寝時間」

「てことは今夜の夜中ってことかよ。準備しないとじゃん」

「そう。だから雫、君はデステクライン使いに顔がばれている。目の色だけでも隠せても、デステクラインで気づかれる可能性が高い。そこで校長に教えてもらった場所に行こっか。ユッキーノ街から少し離れたウォールノ森がある。そこに行けば大丈夫って言ってた」


 ウォールノ森ねえと三人で話し込んでいたら、剣汰が挙手しながら話に入って来た。


「それなら弓持ってた方がいい。あそこに何度か行ったことあるけど、デッドバードの住処になっちゃってる。魔法で祓っても他のデッドバードが住処にしちゃってるから」

「珍しいね。普段は人がいる時だけ現れるのに。まあいい経験として弓矢に魔法をかけておこうか。その方が一発でデッドバードをすぐ祓える」

「それは考えなかった。今度やってみる」

「それじゃあ早速、自分好みで弓を借りよっか」


 剣汰が作った弓で自分に合う弓を選び、ウォールノ森へと出発する。

 どんなところなのかなと箒に乗って数分後にあれだよとアンジが教えてくれた。ただの森にしか見えないと思っても入り口の前で降りて、ウォールノ森へ入る。

 自然が溢れ動物たちが住みやすい環境の森になぜデッドバードが住み着くようになったのかが不思議だ。歩いているとカサカサと茂みが揺れ誰かいると準備をしていたらカワウソが飛び出してきて、それによりデッドバードが出現した。

 どうしたと俺は飛び出したカワウソを抱っこして、アンジがデッドバードを追い払ってくれる。


「水魔道士に懐くのは知ってたけど、まさかデッドバードに狙われていたのがこのカワウソだなんて信じられない」

「そうなの?私には凄く威嚇してるんだけどな」

「野良のカワウソにしては服なんか着ないよな。誰かのペット?」


 キュキュと鳴き声を発し体を擦り寄せて、よーく観察してみると服はボロいけどこの模様、俺のカステクラインの模様とそっくりだ。もしかして汀春さんが飼っていたペットがまだ生きてたのかだろうか。

 カワウソを降ろしてあげるも足元にペタッとくっついて、雫が可愛いと触れようとしたらガブッと噛むカワウソであった。


 なんなのと雫は噛まれたことで怒ってしまい、どうしたものかとカワウソを抱っこしながらアンジが何かを考えている。


「なんかわかった?」

「ペットの捜索依頼書は複数あるけど、カワウソの依頼書はなかったはず。だとすれば主人が生まれ変わってしまって野良になったか、それとも主人が死屍デッドルタになって逃げたとしか言いようがない。知り合いがいるか聞いてみるよ」

「それまでは俺が預かってるな。なんかなつかれてるし」


 抱っこしながらカワウソに戯れていると泉が見え、カワウソが降りたがってたみたいだから降ろしてあげた。すると走って行ってしまい、俺たちはカワウソを追いかける。

 泉に到着してカワウソはジャボンと入ってしまうとピカンッと光って泉の女神が現れた。


「ようやく来たのですね、葉桜想心」

「あなたは?」

「私は水の守護神、ウォールディア。再びこの世に災いが起きようとしています。それを阻止するには雫の父親、シャン・エンディリアを捜さなければなりません。シャンは娘に会うためにデステクライン使いと取引を行っていた。しかしデステクライン使いはシャンを利用する目的だということを知り、シャンはその後、失踪している」

死屍デッドルタになったんじゃ」

「いえ。感じるのです。シャンのカステクラインである起源の大地が起動している。とても危険なことが起きる感じがあるのです。千年前、起きた戦のように起きるのではないかと。そこで 六人の守護神が出した答えは娘である雫をカステクライン使いとさせ、父親を捜させる。但し条件があります。雫が持つデステクラインの力を封印させる。その代わりカステクラインをお渡しし、デステクライン使いから追われることがないように致します」

「ちょっと待ってください。そしたらかかっている剣汰はどうなるんですか?」


 俺が問いかけるとウォールディアは大丈夫ですと映像が出て来て、剣汰の右目に雫のマークが消えていた。


「今回ばかりは特別です。雫、お渡し頂けますね?」


 雫はデステクラインをぎゅっと掴み、少し悩んでいるようでもデステクラインを渡すことを決めたようだ。


「お願いします。それにお父さんにもう一度会えるなら伝えたい。自殺しちゃってごめんなさいって謝りたいっ」


 つうと涙を流す雫で、いいでしょうとウォールディアは雫にカステクラインを渡す。


「雫が持つカステクラインは青の星花。雫の信じ合う心でカステクラインの力が開花するでしょう」

「ありがとうございます」

「またいつでもいらっしゃい。そうだ」


 パンッと両手を合わせて俺の前にウォールディアが来て、なんだと思いきやさっきのカワウソが俺に飛びついてきてボロかった洋服が新しくなっていた。


「あなたは想心と一緒に行きなさい。かつて春のみぎわのペットとしていい働きを見せ、彼が生まれ変わると同時にこの子は深い冬眠をしてた。そして青藍の葉桜の持ち主が現れたと同時に目を覚ましたの」


 やっぱり汀春さんのペットだったから俺に懐いているんだ。


「名前は?」

「それはあなたが決めなさい。性別は雌よ」


 汀春さんが飼われていたカワウソだし、どんな名前をつけていたのかな。考えた結果、これだな。


「汀春さんの漢字一つとって、なぎさ。よろしくな、汀」


 キュッキュと鳴いて喜んでおり、ウォールディアに手を振りながら俺たちはウォールノ森から出て、ユッキーノ街へと戻った。

 箒、乗れるのかなと少々心配だったが俺の前にちょこんと座り可愛らしい手で箒を掴んでいる。これは癒されてしまうほどだとユッキーノ街に到着して箒から降りた。

 降り方も可愛らしく降りて箒を取り入れしながら街の様子を見ていく。今のところ異常はなさそうだが、今晩どれくらいのデステクライン使いが来るのかはわからない。剣汰の武器屋に行き弓を返した。


「ありがとな」

「大丈夫だった?」

「デッドバードに襲われてたのこの汀なんだよ。だからもう大丈夫っぽい。それで剣汰たちは今晩どうすんだ?」

「想心たちと一緒に戦う。その前にお礼を受け取ってください」


 カステクラインにポイントが入り履歴を確認したら、なんと百万ポイが入っていたのだ。


「こんなに貰えない」

「いいんです。それに雫が来てくれなかったら僕はここにいなかった。雫は才能もあるんだし階級を上げた方がいいと思う」


 そうかなと照れてる雫で百万ポイントで見習いから六段魔道士になれるんだよな。この一件が終わったら学校に行って早速申請をしよう。


「私からもお礼させて。剣ちゃんを助けてくれたお礼。千ポイントだけど受け取ってほしい」


 盾乃からも千ポイントを貰ってありがとなと頭を撫でると汀に触れたいようで、触れ合ってもらい今度こそと雫が汀に触れようとしたらガブリと噛み付く。なんで噛むんだよと汀を離して、雫の手をとり傷口を癒す。


「カステクライン!水、水草のゆれび!」


 歯形が残ってしまった部分が綺麗になって、感謝を述べる雫であった。



 夜中、真っしぐらになり俺たちは仮眠をとっていると汀が起こしてくれて起き上がる。ふわあと欠伸をしながら背伸びしているとすでにアンジが窓を見ながら警戒を抱いていた。


「悪い、寝ちまった」

「いいよ。剣汰くんと盾乃ちゃん起こしてあげて。死屍デッドルタが動き出してる」

「了解。そういや雫は?」

「屋根に登って周囲を見てくるって言ってたよ」


 てっきり寝ているのかと思ったけどそうじゃないっぽく剣汰と盾乃を起こしにいく。盾乃はまだ眠そうな表情をしているもがっちり鎧を着てカステクラインが奪われないようにしてある。剣汰も自分で作った剣を持って起きたようだ。


「もう出てますか?」

死屍デッドルタが歩き回ってるらしいけど、デステクライン使いの気配はまだっぽい。雫が今、周辺を見てくれてるらしいから準備はしておけ」


 二人が頷きアンジのところに行くと雫が帰って来た。


「北西の方から襲撃が始まってたよ。デステクライン使いが来るのはまだ先っぽいけど…伏せて!」


 雫の合図で俺は盾乃を守り、アンジは剣汰を守って瓦礫が頭にぶつかる。いたたたたと思っても脳はないから軽症ですんだ。そこにいたのはやはりディーグで巨大なデッドウルフに乗っていた。


「よう、剣汰。あいつに助けてもらったんだよな?ロゼはどこにいる?ロゼを引き渡せばお前と盾乃はもう狙わないと約束してやるよ」

「そんな人、知りません」

「そうか。じゃあ魂は回収させてもらおうか!デステクライン!闇、ウルフの遠吠え!」


 巨大ウルフが遠吠えをして耳が痛くなるほどで、遠吠えが終わると数匹デッドウルフが出現する。雫は正体がばれていないっぽく俺たちはディーグに挑んだ。



 路地裏の周辺にいた街の人たちや観光客に負傷者が出てしまい、セブラが治療をしていて僕も治療をしてあげひと段落ついた。滝木くるめさんという女性。どこかで会ったような気がするも気のせいかな。路地裏に行ってみるも、すでに滝木くるめさんの姿はなく逃げられてしまったようだ。

 滝木くるめさんが言っていた言葉、後輩ということは想心のことだよね。想心、頑張ってるんだと笑みが出ちゃうよ。


「思穏」

「もう耳は大丈夫?」

「まあな。まんまとくるめにやられたよ。ったく。あいつ変装も得意だから十分に気をつけろ。そろそろか」

「そろそろって?」

「魂狩り。五段魔道士以上の者が毎月四日になんか知らないけど天の世界に行けるから、魂狩りができるようになってるわけ。本当は俺も参加しようか迷ったけど、がっぽりとっちゃうから、最近はやめてんだわ。多分中継されてると思うから居酒屋でその様子観ようぜ」


 毎月四日に天の世界に行ける。魂狩りの日とかじゃなくてもしかしたらと思ってしまった。

 セブラの行きつけである居酒屋に行って、テレビがありそれを見ながらセブラがいつも頼んでいるものを注文する。カステクライン使いも魂が奪われないように工夫されてるんだ。

 そりゃあそうだよね。必死に頑張って点数集めしてるのに魂が奪われちゃうんだから。


 オレンジジュースを飲みおつまみを食べながら、その映像を観ているとそこに想心が映っている。知らない男子二名と女子二名と一緒に挑んでいるのはディーグだった。

 ここでダークグレー寮長であるディーグと一戦を交えるだなんて、想心は運が悪すぎなの。セブラが言うにあの人はあっちにいた頃、裏切られたショックで自殺をし、天の世界の人たちが信用できなくなった。それに火刑をしカステクラインを壊して魂

を狩る。観ていたらセブラが席を立つ。

「トイレ、行ってくるわ」

「あっうん」


 セブラはお手洗いへと行き、僕は魂狩りというものを観ていく。想心や想心の友達は奪いたくない。でもやらなければ僕は死屍デッドルタになってしまう。

 想心、どうかディーグにやられないでと違う人に切り替わってしまい、それをただ観ていることしかできなかった。

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