プロローグ
覗いていただきありがとうございます。毎度お馴染みご都合主義全開です。
貴族子女が通う学園には秘密の恋人が二組存在した。
金髪と黄金の瞳を持つ第二王子は転入生の桃色の髪と瞳を持つ花のように愛らしい姫に恋をした。第二王子には姫とは正反対の婚約者がいても愛らしい姫への恋心は我慢できなかった。第二王子と姫はクラスメイト。王族である第二王子と姫が絆を深めるのを邪魔するものは誰一人いなかった。互いに夢中なのは誰の目にも明らかであり目立つ外見の二人が手を繋ぎ歩く姿も抱き合う姿も学園では見慣れた光景だった。
もう一組の恋人達は前者とは違い忍んでいた。
晴れた日の放課後、庭園の人目につかないベンチには輝かしい金髪と青い瞳を持つ学園一の美男子の侯爵子息と学園一の美声を持つ白銀の髪と瞳を持つ伯爵令嬢が座っていた。極上の笑みを浮かべて話す侯爵子息に柔らかく微笑む美しい令嬢。互いに婚約者を持つので触れ合うことは決してない。それでも人目を隠して寄り添う二人の恋が叶えばいいと思ってしまうほどお似合いだった。
多くの生徒達が行く末を見守る恋人達。家の利のある婚姻を結ぶのが当然の世界でも恋に憧れる者はいた。