入学式と初めての友達
ようやくスクールライフに入ります。
今日はヒステルム学園の入学式があるので私は今、ヒステルム学園の校門をくぐったところだ。陛下から学園に着いたら集会所に行くように言われている。そこで入学式があるらしい。
だが、問題が1つ。私は集会所なる場所が全く分からない。学園の敷地内にあることは確かなのだが、何せ始めてきた所なのでマップが全然わからない。誰かに聞けばいいのかもしれないが周りにいる子供は全員が全員親同伴なので話しかけづらい。
それから周りの人たちに付いていけばいいと気づいたのは10分後のことだった。
なんやかんやあって、無事に集会所に着いたが、どこに座ればいいのかな?周りを見ると結構バラバラに座っているので自由というか早い者勝ちなのだろう。なら、と全体が見渡しやすい後ろ側の席に座ることにした。
そしてさっきからず~~~~~~~~~~~~~~~~~~~っと思っているのだが、今着ている制服というもののレギンスとして履いているものがずっとスース―する。たまにリーシャに着せられるワンピースと言われていたものよりひどいのだ。
なぜこんなものが軍服と同じ定められた服装なのだろう。動きづらいし利便性が全くないように思える。
無理やりにでも動けはするのだけど、私だって年頃の乙女?だ。このひらひらしたモノがめくれて中が誰かに見えるようになるのはとっっっっっても恥ずかしい。
制服として定められているのがブラウスとジャケット、そしてこのレギンスだけだったからまだましだった。だから薄手で長袖のインナーを上下と、軍でも履いているブーツを着用している。これでまだ動きやすいだろう。
しばらくすると私の隣の空いている席に学生が1人来た。
「あの、隣よろしいですか?」
「うん、いいよ」
断る理由も全くないので二つ返事で承諾する。話しかけてきた子は見たところ天狐の女の子のようだった(一応体は男、心は女みたいな人かもしれないが、声や制服を押し上げているものから考えると女の子だろう)。
それにしてもこの子は結構優秀なんだな。魔法?で完全に隠しているが彼女の尻尾の数は7本。天狐族は強さに応じて尻尾の数が増え、最終的には10本まで行くというが、この年で7本はとても珍しい。私が知っている常識としては5本行くのにも通常は100年近くかかるというのに。
「え、私たちの種族のことご存じなんですか?」
「あれ?もしかして声に出ちゃってた?」
「はい。そこまで詳しく私たちの種族のことを知っていて驚きでした。天津の出身なのですか?」
「いや、この国出身だよ。あなたたちの種族のことを知っていたのはね、私は料理が趣味で天津の食材もよく使っているからその絡みで知っていただけだよ。あ、私はシルファ、シルファ・リベイロンだよ」
「そうなんですか。あ、私は天雪 幻って言います。幻が名前で、天雪が家名です」
「家名が先なのは知ってるよー。天津の文化なんだよね」
「はい、そうです」
などと入学式が始まるまでの間、友達?とやらになった幻と長々に話していた。
集会所に着いてから1時間くらいして、やっと入学式が始まった。学園長先生の話やら学生会長の話やらがあったが、内容はあまり重要ではないようなのでスルーした。ちなみに学園長先生は王弟殿下で、学生会長は現在宰相を務めている人の長男さんだった。
『次は新入生挨拶です。新入生次席特待生のユークリウス・ディスティル君お願いします』
「はい!」
「あれ?今年の新入生挨拶は次席の人がやるんですね」
「いつもは違うの?」
「もちろんです。こういうことはいつも首席の人が行うんですよ。次席の人でも特待生ということは首席の人も特待生みたいですね」
「首席の人がやらないってことはどういうことなの?」
「この学年では身分の貴賤による差別を行ってはいけないとされているので首席の人が自分から新入生挨拶を降りたか首席の人が休んだかだと思います」
へぇ、私が首席だったらあの場所に立たされてたってことだよね。私は首席じゃなくてよかったかな。
ユークリウスという顔立ちが整った少年による新入生挨拶が終わると、小鳥の群れが表れて新入生全員に紙切れが配られた。紙切れには自分が入ることになるクラス名とそのクラスの教室までの経路、そして教室での自分の座席の場所が書かれていた。
「シルファちゃんは何クラスだった?」
「私の紙には1‐Aって書かれてるよ」
「やったぁ、私も同じAクラスだよ!」
幻と同じクラスなのは嬉しいな。せっかくここで知り合ったのだから一緒なのがいいしね。
「じゃあ早速私たちの教室に向かおう、幻」
「うん!」
私たちは入学式が終わると、紙切れに描かれた地図を頼りに自分たちの教室へと足を運んだ。
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