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災厄の少女 ~アリーシャ視点~

今回はシルフィーナの副官アリーシャ視点でシルフィーナが執務室から出た後の話です。

 シル様が部屋から出ていかれた。元帥閣下に報告に行くためなのだが、なぜ【テレポート】を使わないのでしょう。得意魔法の一つでしょうに。もしかして忘れているのでしょうか。シル様は時々抜けているところがあるので心配です。


「それで、レザノフ大尉、ゲイドー大尉よ結局あの時からアレは欠片も出ていないんだな?」


「はい、シル様からはそのような傾向は全く見られませんでした」


「こちらも同じくです、陛下」


 シル様は3年前の帝国を揺るがす危機の際、アレと呼んでいる力を出して、1人で解決したらしいのです。いつもシル様のそばにいる私がらしいと言っているのは、悔しいことにまだその時はシル様と再会できていなかったからです。実際に見ていたのがゲイドー大尉で、とても凄まじかったらしいです。


「そうか、ならよいが。だが、前回のように突然発動されては何がキーとなっているか分からぬからそれも不安なのだがな」


 その意見には私も賛成です。何がキーとなって発動するか分からなければそれを防ぐ手立てを考えられません。アレはずいぶん消耗すると聞いておりますし、シル様にはそのような目には少しでも遭って欲しくありません。ただでさえ10年前のことでひどい目に遭っているのですし。


「帝王よ、あの娘があの力を発動する条件に付いては完全にわかっている」


「3年前だけでなく、10年前にも起きているし、星神形態に進化したときに知識として頭の中に流れ込んできたからな」


 ジョーカーが話に加わってくるのはある程度予想していたけれどレーヴェまで食わってくるなんて珍しいこともあるのですね。おそらくそれだけ重要な話なのでしょうけど。不謹慎ですけど壮観ですね。なんせ12星宮が2体もいるのですから。


「ジョーカー殿、レーヴェ殿それはいったいどのような条件なのですか」


「1つは外傷的要因で死ぬこと。命が亡くなることで契約従魔であるアレが目覚めて契約者を死なせないようにするのだ」


「もう1つはあの娘自身のとても強い負の感情だ。アレ自体は純粋なヤツだからな。契約者を、自分の主を守ろうとし、願いを叶えようとする」


 条件がそれだけ正確にわかっているなら安心できる。シル様を守ることができる。…………え?ちょっと待って。なんで両方とも条件がわかっているの?アレが発動したのは2回、判明している条件も2つ。両方の条件で1回ずつ発動したということ?


「ジョーカー、レーヴェ、もしかしてシル様は1回死んでるの?」


「…………………………………………あぁ、10年前のあの日に、な」


「あの日我らがマスターたちにあの娘を頼まれてすぐに屋敷に戻ったが、辿り着いた我らが見たのは民の死体とあの娘が忌まわしき奴らに刺されたところだった」


「その時にアレが目覚め、我ら以外のその場にいたヤツらは全員あの娘が殺した」


「その様は普段のあの娘からは予想もできぬ変貌ぶりだった」


 シル様の両親の従魔であるジョーカーとレーヴェが言うのであればそうなのでしょう。救いなのはシル様がそのことを覚えていないということだろうか。陛下がシル様を見つけたとき以前の記憶はほぼなかったようですし。


「そろそろシルフィーナが帰ってくるかもしれんな。今回はここまでとしよう。それでは引き続きシルフィーナのことを見ててくれ、頼むぞ」


 もうそんな時間ですか。お茶の準備をしておいたがいいかもしれません。シル様はお茶が好きですからね。



 今回はちょっとシリアスでお送りしました。

 作者的に評価や感想がもらえると嬉しいです。気軽に送ってください。

(*人*)

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