シルフィーナ少佐の日常が終わる少し前の朝
一の刻は朝6時、そこから一刻ごとに2時間で、九の刻まで鐘が鳴ります。
一般民は二の刻に起き、八の刻から九の刻までの間に寝ます。
普通の軍人は、一の刻に起き、九の刻過ぎてから寝ます。対して、シルフィーナは二の刻に起き、八の刻前には寝ます。
「シル少佐~、朝ですよ~」
朝?そんなのどうでもいいじゃない。昨晩はまた暗殺者に狙われて眠いから今日はこのまま寝ていたいの。
「もう、また狙われたんですか。暗殺者さんも部屋を掃除する身になってほしいものね」
そうそう、それは私も毎回思うよ。月1くらいで来るしホント迷惑だよ。翌朝は確実に寝不足になるし。
「シル少佐、深夜に襲われて眠いのはわかりますが時間ですので起きてください!」
「…………んぅぅ?リーシャ?もうそんな時間なの?」
「はい、先程二の鐘が鳴りましたよ」
リーシャが起こしに来たってことはホントに起床時間なのか。一般民ですらこの時間に起きるのだから軍人である私が寝てたらダメなんだけど…………
「むぅう、もうちょっと寝ちゃダメ?」
「ダメです。起きてください。少佐、今日は陛下が来るのですからちゃんとなさってください」
え?陛下来るの!?なんでそれを先に言わないの!もう私も15歳なのに陛下はいつまで経っても私を子ども扱いして心配してくるからしっかりしてないと。
「わかったよぅ。ふぁぁ~、さてと私は朝食を食べてくるからそこの遺体の処理頼める?」
「わかりましたけど、【クリーン】かけるか、服着替えてから食堂に入ってくださいね」
おっとそうだった。このまま血塗れののパジャマじゃ恥ずかしいよね。
時空魔法の【クイックチェンジ】を使って【アイテムボックス】内に入っているモノクロカラーのチェックで彩られた私専用の正装用軍服に着替える。そして愛用の黒い剣を腰に佩く。
私の正装用軍服はボタンで前を閉めるタイプのコート型で、レギンスはジーンズだ。どちらも陛下が私のためだけに準備してくれた一点物の国宝級防具で、材料から付与してある効果まで天下一品だ。私が少佐に昇進したときにもらった。とても気に入っている。
陛下が来るんだからこれぐらいのオシャレしないとね。
私、シルフィ・アルファ・リベイロンの朝はこのように副官であるリーシャーーアリーシャ・レザノフ大尉にほかの人たちより遅い時間に起こしてもらい、軍服に着替えてから朝食を食べに食堂に行く。
…………今日みたいに前日の夜に暗殺者が来て血塗れで迎えることもあるけど。
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食堂に着くとまず私は厨房に向かう。私は軍のなかで唯一成人していないから起きる時間が違うため、ほかの人より朝食を食べる時間が遅い。
私1人のために料理人さんに残ってもらうのも気が引けるし、5年くらい前から暗殺者に狙われるようになったので、自分の分のご飯は自分で作っている。もちろん材料も私個人が手に入れたものだ。いつどこに毒やら何やらが仕込まれているかわからないしね。
今日の朝食は、と薄切りのスマッシュボアのお肉にキャベチやオニエンを味噌ベースで作ったタレで炒める。そこそこ多めに作って食べれない分は【アイテムボックス】内の保存容器に入れる。これで遠征に行った時でもおいしいものが自由に食べられるんだよね♪
できた肉野菜炒めを盛り付けて、食堂内の机に座る。肉野菜炒めのほかにもパンを2個とトメントスープを出して食べ始める。うん、今日もおいしくできてるよ♪
さてと、朝食はおいしく食べたし、そろそろ動かないとね。自室に戻ると、綺麗になった部屋でリーシャが待機していた。
「リーシャ、今日の予定は?」
「午前中はシル少佐にしか可決できない書類があるのでそちらの整理を。昼休憩を挟んで五の刻過ぎごろに陛下は来るそうです。あと、少佐に個人的な話があるそうですよ」
陛下は五の刻過ぎに来るんだね。それまでにしっかりと書類整理を終わらせておかないとね。それにしても個人的な話かぁ。いつも個人的な話はしてると思うんだけど事前に連絡するってことは何か用があるのかな?
「その後の予定は?」
「特にはありません。ですので森に狩りにいかれてはどうですか?」
「そうだね。【アイテムボックス】があれば鮮度とかも気にしなくてもいいから行ってくることにするよ」
おいしい食事は活力と魔力になるからね。いつでもどこでも食べれるように備蓄しておこうっと。
「今日の予定は把握したよ。じゃあ隊の部屋に向かおうか、リーシャ」
「はい、シル少佐(シル様への個人的な話って何でしょう)」
さて、今日も1日頑張りますか!
わかるとは思いますが、キャベチはキャベツ、オニエンは玉ねぎ、トメントはトマトです。
最後のアリーシャの思考の部分を変えました。