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34.ありがとう。

テントの中で一人眠りにつこうと微睡んでいると外から声がかけられる。


「兄さん失礼するよ。」


その掛け声が掛けられて直ぐにテントの中にアディが入ってくる。


「キャー!アディのエッチ!」


「な、ななんてこと言うんだ!レタちゃん達に聞かれたらどうするつもりなんだ!」


反応が相変わらず面白い、もうちょっとおちょくってやろうかな。


「レタ助けてー!アディに食べられちゃうー!」


そう言い放った俺の口はアディに直ぐ塞がれた。


「へ、変なことなんてしてないです!いいから少し黙って下さい!」


アディは外の音を聞くように外の様子を伺っている。


「良かった…。レタちゃんとエナ姉さんは起きてこなかったみたいだ。兄さんは僕のことを困らせたいのかい?」


「そうなんです。つい出来心でやってしまいました。」


「はぁ。そういうのは止めてくれないか。」


「善処したい。」


「したいんじゃなくて、するって約束して欲しいんだけど…。」


まあ、ほどほどにしといて上げるよ?


「それよりもどうしたんだ?二人で話したいことなんだろ?」


少しだけびっくりした様な顔をしたがアディはすぐに話し始める。


「レタちゃん達の助けになってくれてありがとうと言いに来たんだ。昨日の夜に兄さんたちの今までのことを聞いて、僕が何もできないときに代わりに力になってくれてかったよ。ありがとう兄さん。」


「何でアディがありがとうなんだ?」


「いや、なんとなくね。」


「ふーん。分かった。お礼受け取っとくよ。」


その言葉を最後にお互いの会話は止まってしまい、なんとなく気まずい雰囲気が流れる。


「…。何で僕が何も手伝えなかったのか聞かないのかい?」


「聞いてほしいのか?」


「いや。聞かなくていいなら話したくないかな。」


「だろ?じゃあこの話はお終いで。」


また話が止まってしまい、また気まずい空気が流れる。


「…じゃあ僕は馬車の中に戻るよ。話を聞いてくれてありがとう兄さん。」


「いやお礼言われただけだしな。」


「それでも僕にとっては兄さんがレタちゃん達を支えてくれたヒーローに見えるよ。レタちゃんがもしも僕だったら兄さんに惚れていたかもね?」


「そんなことにはならないだろ?」


普段の口調とは裏腹に男らしからぬとてもかわいらしい笑みを浮かべながらアディは俺に言う、


「よく分かったね。それじゃあお休み兄さん。」


「ああ、おやすm…、


じーーーーっとテントの入り口から見つめる視線で俺の言葉は遮られる。


「レタ?最初はいなかったよね?いつからそこに居たの?」


「アディくんが『ヒーローに見えるよ。レタちゃんがもしも僕だったら兄さんに惚れていたかもね?』ってところから。」


「レタちゃん!違うんだ!そういう意味で言ったんじゃないんだ信じてくれ!」


レタは半目を開きながらアディに問いかける。


「でも、さっきアディくんメスの顔しながらお兄ちゃんにお休みって言ってた。あれはなにかしたあとの恋人の顔だった。アディくんじゃなくてアディちゃんになってた。」


「そ、そんなことない!あれは紳士的なお休みの挨拶だったと僕は思う!」


「そうかな?お兄ちゃんの愛人はまだレタだけだよ?なんならアディくんもお兄ちゃんにアディちゃんにしてもらったら?」


「そんなことは絶対にしない!僕はレタちゃんを幸せにするんだ!」


そうだな、ぜひそうしてくれ。結構アプローチが強くて俺がいつ決壊するか分からないから早くこの問題児を引き取ってくれ。


「それよりも兄さんはレタちゃんになにをしたんだ!?さっきのレタちゃんの言い方だともう…、」


「落ち着くんだアディ。君が想像していることはしていない。だから剣を取り出そうとしないで。な?」


「お兄ちゃんはレタと出会った初日にお風呂に連れ込んで色々とレタに教えてくれた。」


ねえレタ?君は何で勘違いするような言い方を平然とするの?本当は俺のこと嫌いなんでしょ?俺のこと社会的に終わらせたいんでしょ?


「…兄さん少し話があるから外に出てくれない?レタちゃんは馬車に戻って先に寝ててくれ。」


話し合いの場に剣はいらないよね?だからその危ないものは兄さんの宝物庫に仕舞っておいてあげようか?


「わかった。お兄ちゃんにアディちゃんにしてもらった感想を後で教えてね?」


そう言ってレタは爆弾だけを置いてテントを後にし馬車に戻っていった。バタンと馬車の戸を閉める音が少し遠くで聞こえその音を最後にテントから音が消えた。


黙っているが怒っているのはなんとなく分かった。そして満面の笑みでアディが口を開いた。


「兄さん?僕と話をしようか?」


怒っているのが分かっているときの笑顔って怖いよね?


「…はい。でも弁解と説明はさせてください。」


「いいよ。じっくり聞いてあげるよ?」


あぁ、昨日の夜の平穏が遠い昔のようだ。そうして俺の長い夜が始まったのだった。

少し遅れてしまいました。ごめんなさい。

今日もしかしたらもう一話投稿できないかもしれません。その場合は重ねてごめんなさいします。

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