21.再来のうねうね
予告通り視点が混合しています。
読み辛かったらごめんなさい。
私は意識を失っていたがすぐに意識を取り戻した。
(わあ!視点がすごく高い!大きいと結構遠くまで見渡せるのね。)
自分が大きな狼になっているのは何となく分かった。今ならすぐに開拓地に帰れるのではないだろうか?
下の方から声が聞こえる。
「エリアーナよ。それが本来の姿なのか?そんな汚らわしい姿じゃなく、いつものかわいい姿に戻るんだ。これは命令だぞ。」
(はぁ?私が汚らわしいですって!?誇り高い白狼の私に向かって!アンタの醜悪な姿の方がよっぽど汚らわしいわ!少し齧ってビビらせてやろうかな?でもばっちぃし…。)
そんなことを考えていると、身体が勝手に動きだす。そしてコンタニンに噛みついた。
(ちょっと!勝手に身体が動くんですけど!そんな汚いと物はぺっ、てしなさい!)
そんな思いとは逆に身体はコンタニンの身体を喰い千切った。
(え、そんな…そこまでするつもりなんて…。ちょっと私の身体なんだから言うこと聞きなさいよ!)
しかしやってしまったものはしょうがない。うん!しょうがないよね!別に両親の敵とか女の敵とか思ってないからね!本当だよ?
ガァアアァアアァァッッ!!
(もっとお上品に吠えられない?ちょっと野生過ぎるよ?)
その咆哮を聞きつけてか、ヴァルディ領の方から剣の大英雄が現れる。
「蔵の大英雄と白狼の誓約のやり方を教えてやろうと思って来てみたら、まさか誓約のやり方を知っていたとはのぉ。だが、既に主に牙を立てた後と…。」
(私じゃないです。秘書が勝手にやったことです。)
「主のいない白狼はただの災厄をもたらす魔獣。すまんの白狼の姫よここで討伐させて貰う。」
(主は食べちゃったけどご主人様なら居るよ?討伐とかはしないで欲しいな〜って。だからその宝剣を下げよう?ね?)
私の身体は戦闘態勢を取り重心を低く構える。
(いや!無理だから!剣の大英雄とか勝てっこないから!逃げよう!お願いだから言うことを聞いて〜!)
そして私の身体はひとりでに動き出し剣の大英雄の宝剣と爪が迫り合う様にぶつかった。
剣の大英雄はその宝剣で迫り合っている、私の大きな手を弾き返してもう片方の手を切りつけた。
(ーー〜〜ッ!イターーくない?あれ?)
私の身体はお返しとばかりに剣の大英雄の左腕を弾き飛ばす様に引き千切った。しかし剣の大英雄の左腕は数瞬の内に再生する。
(き、キモっ!やっぱり伝説は本当みたいね。)
宝剣の伝説それは今まで斬ったものの魔力を吸い取り内に蓄積し、所有者にその分の身体能力向上を常に与え続け、死ぬ様な身体の損傷も直ぐに治すというものだ。
(ちょ、コージ早く助けて〜!こんな化け物すぐに討伐されちゃうよ〜。)
そんなことを思いながらも戦闘は朝まで続いた。
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「お兄ちゃん少し休もう?」
レタは多分俺の身体を気遣っているのだろう。休むように促す。
「エナとあのおっさんの結婚式をレタは見たいの?盛大に執り行うとか言っといて我慢出来ずにすぐ式をするのが落ちだろ。」
「…う、あのおっさんの妹になるのはイヤ。」
俺達はそんな想像をして嫌悪感を覚えさらに歩みが早くなる。
「休まずに歩いてるのにまだ追いつかないのか?」
既に夜が明けようとしていた。普通夜は足を止める筈だから歩いていてもそろそろ追いつく筈なんだが…。
「多分もう見えてくるんじゃない?もし戦いになったらレタがあのおっさんを倒すから任せて。」
「エナはどうするんだ?あのおっさんのこと主って認めてるんだろ?絶対守ろうとするよな?」
「そこは宝物庫を使えるって見せて上げればいい。でも宝物庫を取り返す前に取り押さえられたらどうしようもない。」
凄い分の悪い賭けだ。エナの身体能力を考えると1%にすら届かないだろう。
そしてさらに歩くこと数十分、遠くからでも分かるくらい大きな白い獣がいるのが見えた。確信はないけど多分あれは!
「……おねぇちゃん。」
そのレタの呟きが聞こえると同時に俺は全力疾走で走り出した。
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朝日が昇りかけようとしているが、まだ白い狼と剣の大英雄の戦いは続いていた。
「やはり白狼の血を濃く受け継ぐ者は強いのぉ。こんなに楽しい戦いは久々じゃわい。」
既に白い狼の身体は至る所が傷だらけで、剣の大英雄も傷はないが肩で息をしているところから疲れが見えるのが伺える。
(もうやめましょう?私の美しい白い毛も紅くなっちゃってるし。おじいちゃんも歳なんだから疲れたでしょう?早くお家に帰ったら?)
「ついつい昔戦った白狼との戦いが楽しくて長引かせてしまったわい。さて、そろそろ決着を着けるかのぉ。」
剣の大英雄が今まで使っていなかった魔法を自身に使用し身体能力を向上させる。剣の大英雄が試しとばかりに拳を振るうと、拳を振るった拳圧のみで離れたところにある大岩を粉砕した。
(ひぃい!やめて下さいぃ!本当に死んでしまいます!)
「すまんの白狼の姫よ。」
私の頭に向けて宝剣が振り下ろされる。
「待って下さい!!」
剣の大英雄は振り下ろした剣を、私の頭ギリギリの位置で止めた。それでも寸止めした剣圧のみで私の身体は地面に叩き付けられるように沈んだ。
「……コージ君ではないか。なんで止めるんじゃ?」
(コージ!このおじいちゃん知り合いでしょ何とか言ってやりなさいよ!)
「おじいさん。俺はエナに宝物庫が使えるってところを見せに来た。」
「それでももう蔵の大英雄と誓約は成されている。そしてこの大きな姿がその誓約を破った証拠じゃ。誓約を破る白狼は最早魔獣と変わらないのでな、今更そんなことを言っても討伐を止めることは出来んのじゃ。」
「エナを大人しくさせれば良いんですよね?」
そう言うとコージはコンタニンの懐から宝物庫を漁って私の前に突き出した。
「そんなに主が欲しいなら俺が蔵の大英雄にでも何でもなってやる!エナ良いか?見てろよ!」
そう言ってコージは宝物庫の能力を使いこなし、
例のアスパラを呼び出した。
アスパラは一瞬の内に大きくなり私の大きく美しい身体をぐるぐると巻き取り拘束した。
(いやぁあぁ!またうねうね!早く取って〜!)
「おじいさん。これでどうですか?まだ脅威が有りますか?」
「押さえ込むだけならこのままでも良いかもしれんが、主が死んでしまった今、命令を聞くことは無いからのぉ。このまま楽にしてあげるのが白狼の姫のためにもなるとおもうがのぉ。」
「ッ!……そうですか。おじいさん、せめて苦しまないようにお願いします。」
(このじいさんなんてこと言うの!?命は尊いのよ!コージも簡単に諦めないで!)
「最後にエナと話していいですか?」
(最後じゃないから!止めてくれれば最後にならないから!)
「ごめんなエナ。こんなことになるならあの誓約書を書かせなければよかったな。」
「ん?」
剣の大英雄が首を傾げている。
「最後だから言うけど、あの誓約書の指示通りに叩いたエナの尻は最高の柔らかさだったッ!。」
(最後じゃなくてもそんなこと普通は言わないわよ!他の人がいるところでそんなこと言わないで!)
「……ほっほっほっ!」
剣の大英雄が高らかに笑う。
(何よこのじいさん!私のお尻がコージに弄ばれたのがそんなに面白いの!?)
「そうかそうか。主は生きとるではないか。ほれコージ君、白狼の姫に命令してみてくれんかの?」
「?、エナお手。」
(私は犬じゃないのよ!そんなこと絶対しないわ!)
思いとは裏腹にアスパラに縛られた腕を強引に動かして、コージの右手に優しく載せる。
「どうやら既にコージ君が主だったようじゃな。なら問題ないかの。」
そう言って剣の大英雄は大剣を納める。
コージは宝物庫から例の除草剤を取り出しアスパラに振りかける。アスパラから開放された私の身体は、地面にスタッと着地した。
「俺が主だったのは分かりました。で、これどうやって戻すんです?」
未だに大きい狼のままの私をコージが指差す。
「ちんちんじゃ。」
「はい?」
「じゃから、犬の降伏のポーズのことじゃ。確かそうすれば戻る筈じゃ。」
(んなっ!わ、私にちんt……をやらせるつもり!?そんなことさせないわよねコージ?)
コージはこっちをゆっくり向き私に命令した。
「エナ。ちんちん。」
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エナに降伏のポーズを命令すると、エナの大きな身体から青白い光が発せられ光が無くなるとそこには、犬の降伏のポーズの格好で泣いている、いつものエナがいた。
「うぅっ、…ひっく、こ、降伏のポーズしかも犬のなんて……もうお嫁に行けない。」
「そんなにコンタニンと結婚したかったのか?」
「うっさい!そんなこと言ってない!」
いつもの騒がしいエナだった。良かった。
「おじいさんなんで俺が主だって分かったんですか?」
「コージ君は宝物庫の中の誓約書を使ったのではないか?あれは初代の蔵の大英雄が白狼と契約するときの専用のものでな、あれが使えるのは白狼の血を濃く受け継ぐ者と蔵の大英雄と決まっているのじゃ。その時点で主従契約が成されてしまうからのぉ。」
そうだったのか。あの人を舐めたようなドM誓約書はそんな物だったのか。
「しかし、やはりコージ君は見どころがあったなワシの見立ては間違っていなかった。」
「でもコンタニンも宝物庫を使っていましたよね?」
「それは、ワシにも分からん。この世界には蔵の大英雄は一人と決まっているからのぉ。謎じゃな。」
この世界にはねぇ。この世界じゃなきゃ良いってことだよな?なるほどねぇ。
「問題はコンタニンがいないヴァルディ領じゃな。取り仕切る者がいないということはないのじゃが、いかんせん内乱後じゃからのぉ。やっぱりお飾りでも上に立つ者がひつようじゃなぁ。しかし、そのまま白狼の姫が王座に就けばまた内乱が起こるしのぉ。」
ん?なんだろう。何となく面倒いことになりそうな気がする。
「じゃ、じゃあおじいさん俺たちはこの辺で失礼しますね。」
「あ、蔵の大英雄が白狼の姫の婿として王座に就けば良いんじゃないかの?」
おじいさんは俺達を逃さんぞとばかりに、名案を思いついたように白々しく手を打った。
いつもより多目にかけました。とっても頑張りました!(自分基準)
次回は普通に浩二視点で書こうと思ってます。(エナさん視点の方が書きやすいなんて言えない。。。)
レタちゃんとはそのうち合流するので忘れてる訳じゃないんだからね!




