Ⅺ. ‐ 2. ‐ Ⅱ. 『弟』と 巧 。その2。……『その2』?
「おじ様っ」
と、紀端 友理奈は直夏の『腕の中』に捕まったままで『叫ん』だ。
其れを『観て』在るーー「者達」が居ると思わずに。
* * *
『此方』の世界では
『招かれざる』者達が
『身動き』も取れなく『生って』在たーー
その傍らで、数人の男達は『語らう』。
「直夏のあれーー」
「何、」
「いや、『アレ』…やり過ぎだろ。……『抱っこ』だぞ、あれ…」
「いやあれね?『結界』だよ?僕達の『移動』に『巻き込んだら』いけないと思ったから、『指示』してやってもらってるんだよ?」
と、『華月 陽藍』を『陽君』と呼ぶ、彼の友人のひとり、『吉川 要』は言うーー他の『友人』達に。
彼は穏和な性格で、恵まれた体格の割には全く『武闘派』では無く、大人しいとも言って良い様な性格だった。此の場には居ない『織 洋太』と言う『友人』を通じて『陽藍』と『出会い』、友人と成った。陽藍のカリスマ性に『やられた』ひとりだがーー要は陽藍が『見た目』と全然違う人物だと言う事に『気付き』其処に『惹かれた』。陽藍は、繊細で臆病で、そして『優しかった』。要はどんどん陽藍を『好きに』為った。介した洋太よりも『近い』関係かもしれないーー陽藍は自分を『信頼』しているし、要も陽藍の『全て』を『疑う』事はーー、一切無かった。今では要『無くして』は、陽藍の『事業』等『成立たない』程にで在った。
今、要は、陽藍の『ビジネス・パートナー』で在った。他の友人数名には『要をこき使うな』とデスられ様ともだ。事業を『立ち上げる』陽藍と、事実上『仕切る』のが要で在る。影の功労者と言うかーー言わば『裏ボス』の様な要で在った。陽藍に取って『仕事』上、要が『No』と言えば『NG』つまり『不可』なので在った。お陰で陽藍は『本業』と『自称』している『物書き』業が捗って嬉しい限りだった。陽藍の『本業』が捗る事は、要にも嬉しいーーなので要は言われずとも『仕事』に性を出す『真面目』な男で在った。陽藍の『本』が売れると要は喜んだ。ファン1号は『自分』で在り又陽藍も『其れ』を『否定』しないーーそんな関係だ。
お陰で『仕事』が『忙しく』余り一緒に『遊べない』織 洋太ーーには、『やきもち』を焼かれて大変で在ったーー大概は友人がひとり『結原 基』に助けられる。
「ほら、お前等は又ーー余計な『事』で、気を散らす。特に夏臣。」
早速『基』が、『他の』友人達をーー『諭す』。流石だ。要では友人達は『まとめ』られないーー『やっぱり。陽君がいないとーー引き締まらないんだよな、皆はーー』と、要は思った。
要は基や洋太に助けられて、昔は生きていた。『高校生』だった。『前世』の『記憶』で在る。
男子校に通っていたのだが、当時、時々だが『絡まれる』事が在ったーー。洋太も基も当時『大人しく』要とも気が合い、直ぐに友人に成った。そんな時だった。ある日、陽藍に会ったのはーー。陽藍はその時、彼の『友人』ーー篝ーーと言うのだが、彼等は『バンド』を組むのに、『洋太』を迎えに『来た』のだったーー『ヴォーカル』として。洋太にヴォーカルを頼みたいとの事だった。洋太は一度は篝達とバンドを組んでみたのだが、自分への自信の『無さ』から辞めて『逃げて』来ていたーー要は洋太が『唄う』事すら知らなく哀しかったのを憶えて在るーー『迎え』を『羨ましく』思った。洋太は自分『以外』にも『こんな』友人が『いた』のかとーー哀しく為ったのだ。篝は『女性』かと思いたくなる様な顔をしていた。線も細かった。要はと言えば、楽器等弾ける訳も無く、勿論歌にも自信も無く。連れて行かれる『洋太』と、『何も無い』自分ーー『基君の様にーー頭が良いーー訳でも無い』ーーこんな自分、彼等と『仲良く』したいーーなんて思っては『駄目』だーーと。勝手にそう思った。
けれど陽藍は違ったのだ。要と『仲良く』なりたいと言った。『織君の友達なら絶対吉川君って良い奴だろ?』『俺ってどっちかと言うと、悪い奴らしい。』陽藍は言った。
『素行』が『良くない』らしいよ? 学校では『猫被ってる』つもりなんだけどね?と。
『あ、因みに成績ーーテストの点数なら、良いんだけどね?』
『その位』しか、『取り繕う』処がーー無いもので。と。
『俺も吉川君みたいだったら良かった。』と。
当時ーー『高月 陽藍』と言う名の少年はーー『吉川 要』にそう言って、自虐的にーー笑った。本心だと思った。こんなにも『綺麗』な顔をした彼は、自分の様な『男』に『成りたい』と言っているーー『何でも出来る』のにーーだ。
陽藍の父親は『社長』だったーー。彼の『将来』は『決まって』いたーー父の跡を継ぐ。行く大学も決まっていた。『父親』の母校。それが終われば『留学』の予定も在った。
彼は『音楽』が好きだった。ヴォーカル不在の篝のバンドの『臨時』ヴォーカル…然し『続ける』事は、叶わなかった。陽藍は、『建築家』に成るーー篝は『プロ』のギタリストに成りたいーー陽藍は『篝の邪魔をしたくない』と言った。でも『応援はしている』と。篝の『夢』を『叶えたい』からーー『俺じゃ駄目だ』と。洋太ならーー『希望が在る』と。
陽藍は、『誰よりもーー優しい』んだーー要はそう思った。女性にもて過ぎて、女性不信で女嫌いだった。寄って来る女の子に、にこりともしない。凍る様な冷たさ。頭が『良すぎて』煙たがられて散々だった。正論過ぎて教師に攻撃されるらしいーー理不尽だよね、要はそう思った。教師だけでは無く、『容姿』が目立ち『過ぎる』せいで、『絡まれる』。職質される。…疑われる。
『巻き込まれ』体質なのだ。
『……………あの日もさあ……………陽君、僕をたすけてくれたんだよねえ……………』
要は『陽藍に会った最初の日』を思い出していたーー
高校の同級生に『絡まれ』、基も『巻き込み』、『虐め』的行為を受けていたーーあの日。
陽藍に『救けられた』要はーー『強くなろう』と決めた日ーーでも、在った。
最初から『強かった』美津之君や、ナオトや夏臣や、つぐみ君とは『違う』ーー彼等は元々『スポーツ万能』で、容姿だって良い。…………僕から『見て』も…………本当皆…………『格好良い』んだよなあ…………………基君や洋太もだけどさ。
要は『目の前』で『いつものやり取り』をしている『友人達』を『見て』、昔を思い出していた。……………………今日も『平和』だなと。
「………陽君がちょっといないと………此れだもんなあ…皆。陽君って本当凄いな。…纏めちゃうもんなあ。」そう独りごちた。
「そうだね」
と、いつの間にか横に居た『親友』が、そう言った。
「あ……、…基君。」
親友の名を呼ぶ。陽藍と基は『料理友達』だったーー何方もかなりな『料理馬鹿』で在った。
美味しい物が食べれるのでーー誰も『止めない』。其れが『彼等』で在ったーー
皆が騒ぎ立てる『箇の名も無き星』の『最高』の神達ーーとは、皆『こういう』人達で在ったーー。コンセプトは『能天気にいこうぜ?』ーーで在る。
今、『仕事』して在るーーのは、『要』だけで在った。陽藍に『頼まれた』からだ。
基は『不測の事態』に『動ける』様に、『待機』中〜なので在る。
先程から『つぐみ』美津原 美津之の『弟』で、陽藍の『義兄』と、『夏臣』〜最近ではモデル業をしているのだが、元々は『プロ・サッカー』選手を経ての『全日本監督』そして『世界大会』の『覇者』で在るーー幾度もの挫折の据え、やっと『掴み取った』其れーーは、怪我と言う形で、その道を『諦める』事と為ったーー何度も乗り越えた辛いーーリハビリは、乗り越えても乗り越えても、彼を元の『道』へは『導いて』はくれなくなったのだ。諦めた夏臣は今は、メディカル・グッズやトレーニング・グッズやリハビリ・グッズの開発に陽藍と共に関わっている。サッカーは趣味だ。陽藍やナオトと『フットサル』をして遊んでいるらしいーー最も最近の陽藍は、専ら『見学』らしいが。その『夏臣』と『つぐみ』が『言い争って』いて、『美津之』と『ナオト』がーー止めていた。
「だから、陽藍と基君が『久々』に『飯』を食わせてくれるんだぞ? 俺は『パエリア』食いたいの! パスタとピザもな! 今日はイタリアン! 絶対引かないからな!」
「馬鹿じゃ無いの夏臣。基君なら『本業』の『和食』だろ。俺は『煮魚』が食いたいの!基君の絶品煮魚。陽藍だって和食派だっての。お前『何年』の『付き合い』だよ。」
「基君の和食なんて『店』行って食えよ!何『ダダで』食べさせてもらう気だ?つぐみ馬鹿。」
「ひとの名前と馬鹿を、組み合わせるな!陽藍と基君で作ると『店』の味と又違うんだよ!今日は『和食』な!」
「はあ〜おいおまえ等〜」「もういいよ、尚人(※ナオト)。」
「………………基君。」「…………何?」
「……………両方、…………作ってもらえば『喧嘩』しないで『済む』って、何時気付くと思う?」
「美津之が教えるまで気付かないんじゃない?後、『尚人』も気付いて無い。」
要は『そっか』と小さく『言った』。基と美津之の『アイ・コンタクト』の様子を見ると、美津之は『教える』気が『無い』らしいーー。
『要』は、『此の星』に『連れて来た』『他所の星』の『神々』達をーー『潰さない』程度の『重力』を掛けながら、逃げられない『様に』、其の周囲を『結界』で囲って、溜息を吐いていた。本来ならつぐみと夏臣が、『神々』を抑える『役』で、要は『結界』だけの『為』に此処に『在た』のだーーそう、要は『一切』戦えないーーひとを殴れないからだ。
殴られる『痛み』を良く『知って』いたーーだから殴れない。殴りたく無いーー傷付けたく無いーー情けないか? けれど友人は皆、要を『情けない』とは『言わない』。『要らしい』と言う。
要は、『撲られる』事も『撲る』事も無い存在ーー『箇の名も無き星』の『結界』担当ーー
絶対『侵入不可』の『最強結界』で在った。見た目はただの癒し系優男だが。
『怒り』とは『無縁』と思われがちな彼も、怒ったりは『する』事を陽藍は『誰よりも良く』知っていたーーだからこそ『信頼』していた。『怒り』の無いーー人間こそが、却って『嘘くさい』のだと。『そんな人間味の無い奴ーー居ないだろーー』と。
気付くと何時の間にか『美津之』も『ナオトーー尚人』も側に来ていて、美津之に言われた。
「要、悪い待たせた。『抑え』代わるわ。」と。流石だね美津之君。ナオトーー今は『直人』と書くのだが、五百年単位で『転生』する彼等は最近『役割り』が『固定』していて、ナオトは決まって『俳優』をしていたーー元は違ったのだが。故にナオトは最近『直人』だったり『尚斗』等と名を変える様にしているらしい。陽藍は『名字』を変えていた。五百年置きの転生なのでーー神経質にしなくとも、バレないとは思うーーとは言っていたが。夏臣等は変える気も無い。美津之、つぐみは『流れ』に任せるそうだーー要も気にしない事にした。そもそも一般人だしと。俳優、モデル、歌手、作家は少し気にした方が、……………良いの『かも』しれない。
「このままで『大丈夫』だよ、美津之君。ふたりとも基君と『一緒』に『不測の事態』に『備えて』くれた方が『助かる』。……あっちのふたり……『ああ』だし。」と、要は言った。
つぐみと夏臣の『論争』はーー続いていたのだ。美津之が一言『馬鹿なのか?アイツ等……』と言ったので、要は思いっ切り『苦々しく』笑うしかなかったーー『重力』掛けちゃおっかな?と。
とりあえず暫く『様子を見よう』とそう思った。陽藍が戻ってからでも『遅く』ないだろうと。




