Ⅺ. ‐ 2. 『弟』と 巧 。
「海、それから、律も。」
巧君の言葉だった。
皆が巧君を見た。
「海ばっかり責めないでよ」ーー巧君がーーそう言った。
「…………確かに、おれね、…………海を『置いて』帰って来た…。それは、『事実』だし…。」と。
「おれ……って言うか……僕も責められるべきだ…。」と。
「巧、『M』なの?」
「違う!」
………………酷いお兄さんだな…………。巧君が真剣に話してたのに、青さんが………なんだかなあ、もう…。青さんが肩を竦めて、周りの皆を見ている。皆さんは呆れてる………何時もなの?ねえ?
それで青さんは、ふっと。……物凄く『優しく』笑って。巧君の頭をくしゃくしゃに『撫でた』ーー。
『其れ』を『見た』女神さん達が、……『発狂』せんばかりの騒ぎ様…………。『格好良い〜駄目素敵!』とか『素敵!笑顔素敵!』とか『嫌!美しい〜!』とか『嫌〜ブルーナイトさま〜あ、私にも〜!』とか。……………………煩いなあ。きゃっきゃっと。………………もういっかい、………………凍えて大人しく為ったら………良いのにな。
はあ。
呆れて見てたら、龍さんが、真顔でこちらを『見て』、『………冷やす?』って。
私に聞いて来ましたーー顔に出てたかしら?(汗)あ、違うか。…………多分龍さん達も、私の考えとか『読める』んだ…………そう言えば『さっき』…律君も…。…………『いままで』も?……だったのかな?
…………ちょっとショックだな。……………直夏もなのかな…………? ………嫌だな、其れ。
そんな事を思ってたら、龍さんに『否定』された。『意識』しないと『聴こえない』よって。……そうなの? …ちょっと安心。 『後で詳しく』って。 後で教えてくれるそうです。…お願いしますね…声のダダ漏れみたいで…当人としては凄く恥ずかしいのですよ…。
今度は卓さんに『大丈夫だよ』と言われました。卓さんを『見る』と、『そんな不安な顔しなくてもね。ちゃんと防ぐ方法があるから、大丈夫。直夏は全然聴こえて無いし、律なら修行足りないから、俺達が強制的に受信させるーー位だし。そんなもんだよ?』と。
うん。全然っわからん。分かりません卓さん。……も、後でいいや。直夏に心配そうに『大丈夫?』と聞かれて、うん、と言った。
あ、それより巧君と、ーー海ーー君だよ。
巧君困った顔してた。………あ〜可愛い顔が、…………台無しだね。見るからに顔色が悪くて心配。海君と………仲、…………悪いのかな?
「…直夏」直夏を見上げた。
「ん?」直夏が応える。
「あのふたりって………仲、……悪いの?」………もしかして。多分そうだよね。
「海と巧…?」直夏が言う。私が頷くと、直夏も頷く。うん、まあ………みたいな感じで。やっぱりか。
卓さんと龍さんも困ってる。『……ちょっとね』『……まあ……ね。』って。巧君の『愛情』が、
……海君に伝わらないのかな………?龍さんが、私を見て、静かに頷いた。……そうなんだ。
ねえ? ーー海君ーー その『お兄さん』はね? ーー私の事ーー 『放置』しても、
……………………君を『迎え』に、……………………行ったんだよ? 君って多分『その位』には、
『愛され』てるよ? 良いお兄さんじゃ無い。 ……今も律君から庇ったし。 律君も『御説教』の『つもり』 ーーなんだろうけどさ。 弟と兄と言うより『ぱぱ』みたい。……律君。
ひとしきり『巧』君の頭を撫で回した『青』さんが、満足したのか、ようやく『其れ』を止めたーー
と言っても未だ、片手で頭撫で撫でしてるよ? ………どれだけ『弟』が『好き』なんだろうーー
巧君はーー諦めた顔をしていたーー ーー通常運転ですか?青さんーー
「っ、っ、っ! せい、青兄ちゃん〜、ボクも…………、っ、ボクの事も『撫でて』よお〜うわあ」って。
海君ーーーーー君、
「………………………泣いてるよ、海。」
「海って、『うみ』じゃ無くて、単に『水分(※涙)』って意味だったりしてーー」と、
卓さんと龍さんが代る代るそう言うーーそんなわけあるか。
ーー酷いお兄さん達は、此処にも二名、居ましたよっと。あ、卓さんは元からの毒舌さんか。って、龍さんも程良く『毒舌』じゃない? 『ナチュラル』に。
「あ、あの子供は……………泣き過ぎだな…………」と、そこで流石にレザードもそう言った。…………やっぱり?
「…………そうだな…。流石にちょっとな……。うちの『ユシ』ですら……人前ではあの様には………泣かない………な、いや、失礼……」アレフゥロード様も『失言』とばかりに。『ユシ』って誰でしょう?
「へえ、『ユシ』君って言うのは『お子さん』?」と卓さんが。あ、成る程ね。
アレフゥロード様も頷いていた。レザード君も興味深そう。あ、甥っ子さんに為るのか。暫く会ってないとかなのかな?
そんな訳で、何故か此の人達は、『世間話』がーー始まりました。……………ちょっと……………、…………飽きたんだな……………アレフゥロード様達…………私も疲れて来たものね…………………止めませんよ。
『子育て苦労話』に突入しました。更に『弟自慢大会』みたいな。ふ〜ん。アレフゥロード様達、3人兄弟なんだって。………なんか、仲良さそう。……いいな。
「…友理奈」
直夏に呼ばれました。上を見る私ーー
「……寂しい?」
私にはーー兄弟いないからな。寂しくないよ? …………直夏いるもん。 そう言ったらぎゅっとされました…………ちょっと直夏さん……………人前って、……今更? …嫌、でもさ。(汗)
あ、陸さん…………睨んでる。今更だけど、律君って、友さん達より、陸さんに似てない?そんな気がする。
『ありがと』って聴こえた。………………此れって?
不思議に思ってたら、陸さんの『声』だったみたい。龍さんが微笑んでた。…………。不思議な兄弟だな。…………でも嫌いじゃ無いな。う〜ん。『律』君が、『沢山』いるみたいーーな、感じ。
分かる? 分からないか(笑) でもそうなの。 毒舌だし、『弟』に厳しいし、やる事滅茶苦茶でついて行けない『ハイ・ペース』だけど、だってやたらと『強い』し、人様行き成り『踏む』しで、皆して『行動は読めない』しで。私は驚いてばっかりだ。
でも、皆、多分『全員』がーー『優しい』ーーと、思う。ーー多分『陸』さんもね。
あ、青さんは『ちょっと』分からないけど。(笑)
「ちょっと!『友理奈ちゃん!』僕が優しさなら代名詞な位『優しい』よ?!何、『分からない』って。龍兄と卓兄にばっかり『懐かない』の!ちょっ、卓兄か龍兄、やっぱり『ポジション』代わって。僕そっちで『のんびり』したい。あ、勇者君の『子孫』君達〜『うちの子』もめっちゃ可愛い〜よ〜写真見るかな?見るよね?ね?」
ばしぃっ!…………………………………………………………………………………………………………………………………………………………。
あ、はい。陸さんがですね、青さんの『後頭』を、ひっぱたかれました。…………その音です。
「真面目に、やれ、よ?」と。陸さん、こわあ。めっちゃ恐いです。殺気かな?あれは。(汗)
…………………恐過ぎて…………………笑いそう(泣)わ〜殺人犯の顔だ。…………会った事無いけどね殺人犯。(苦)
青さんが、叩かれた頭撫でながら、……陸さんを見てます。海君が『お兄ちゃん』達の『喧嘩?』に、……びびってます。……脅えてるよ?
助けに入るにも、私は直夏の腕の中に、抱き締められたままだったので。……動けない。直夏を見るけれど。……。でも卓さん・龍さんは何故か動じてもいないの。なので『…大丈夫なのかな…?』
ーーと言う気がして来た。もしかして『通常』運転? ーーー華月一家、ーーーーこわいーーかも。
「せっ、青兄ちゃんっ、だっ、だい、……大丈夫…………?陸兄…………たた、叩いちゃ…………ダメだ…………よ。………………お父さん…………お父さんにケンカ…………おこられる………し。…………ねえ?…………おにいちゃん………、」
其処に『勇気を振り絞った』みたいな声で言ったのはーー海君だった。ーー君が言うのかーー海ーー君。
「陸〜、青ふざけ過ぎだから、ボコっていいぞ〜?『お兄ちゃん』が『許可』します。」と、其処に『龍』さんが言った。
「あ、『お兄ちゃん』も『許可』します。陸君。」と、卓さんが挙手した。
「うん、了解。……『おにいちゃん』。」と、陸さんが『応えた』。
青さんより先に海君が『ええ?!』って焦ったけど、青さんも軽く『げっ』とか言ってた。嫌、俺、仕事したじゃん!とか。女神さん達『指差し』て。あ、未だ居たんだ。痴女さん達。
陸さんが『却下』だって。攻防しながらね。『は?何それ』とか青さん。蹴りは当たらない。
『中途半端。友にすれば良かったよ』と蹴り上げながら陸さん。
『げっ、ちょっと陸兄!マジ蹴り痛いからね!』と、青さん。…………大して効いて無いんじゃん。今、お腹に蹴り、綺麗に入ったよ?
『ちょ〜、陸兄!マジやめて!ちょい、友!見てないで救けろって!タウン・タウンのーーデート券!友!』と、
青さんは意味の分からない事を言いながら、結構必死。………陸さん強いなあ。
あ、友さんがね、『持ってる。年間フリーパス。てか俺等皆持ってるだろ、今更……おまえ何を………』とか、青さんは、『違うって!友がアメリカ行ってる間に、お父さんアトラクション増やしたんだよ!特別パスやるから助けておにいさま!いってっ』と。
卓さん・龍さん? すっごい面白そうに見てるよ?寧ろ『観てる』だよ。仕掛けたの此のふたりだしね〜。直夏に救い求めてみたけど、『陸君、俺より強いから』無理だって。………強いのか陸さん。………………インテリ系だと思った…………見た目からして。まあ、『神さま踏む人』だからね………………弱くは………………ないか。
あ、陸さん…………勝ちました。青さんは………………沈みました。………………友さんは…………結局助けなかったよ。
「ちっ!友…………………憶えてろよ?」と、青さん。……………見た目より大丈夫そう………………結構ぼろっぼろだけどね。………………。
「青が悪いんじゃん? 報酬が『しょぼい』んだよ。自業自得。なあ、陸兄?」と、友さんが言う……………………………………報酬………………………なの?……………………………友さん?
「なんだ、陸、大分『手加減』して。もっと『立てない位』でもいいのにな。なあ、龍?」
「そうだな。ま、陸、優しいからな。……無理だろうな。」
「いや、……………あれで『手加減』って」
「………ああ、…………レザード、すごいな……………私達もまだまだなのだな………」
横にいた『御兄弟』さん達がーー其々(それぞれ)に会話していましたーー。通常運転?なのかな?…………………………………………………。此の人達。
呆れ返って直夏と顔見合わせていると、律君が青さんを『立たせて』あげてた。
「おっ、あれ? 律の奴、『成長』した? 龍、『あれ』ってさ?、『龍の真似』だろ? へえ。…………やるじゃん、うちの律。」と、卓さんが言うーー其処へ、
「うん。『回復』させてるね。見様見真似なんだろうけどさ。多分………『お父さん』の『真似』なんじゃないかな? ……あの『使い方』はさ……」と、龍さんが『応えた』。
「あの、聞きたいんだが? 『あれ』は、『回復』の『魔法』ーーなのか?」
と、レザード・ガイサースが龍と卓に聞いていた。
「『魔法』とは少しーー違うんだけどなーーま、似てるからな。いいだろ、『其れ』で。」
『俺』は、『龍』の『代わり』に『そう言った』。台詞を『盗られた』『俺の自慢の』息子はと言うとーー何やら嬉しそうに、『俺』を見てきた。
全く、幸せだね。良い笑顔だよ、『龍』。………『卓』もな。『友』、『陸』、『青』はっと、お前服が(笑)洗っても駄目だな、其れ(笑)何をやってるんだか、うちの『息子達』は。(苦笑)
………………此れ『つぐみ』に『千円』……取られるな。ちっ、あいつめ、独り勝ちかよ。
青君……………『お父さん』は『君』を『信じて』たんだけどな? 喧嘩しないって。
お前がそんなんだから……………海が巧に『喧嘩吹っ掛ける』んだろ?全く。
お兄ちゃん見て『育った』な。………海は青になんでか『懐いてる』もんなーーちっとも『可愛がって』無い割には。巧のが『よっぽど』海の『面倒』みてるんだけどなあ。
構い過ぎなのかもな……。
俺も、そろそろね、律と悠太と巧に海の事『丸投げ』し過ぎだったしな。そろそろ『本気』で『修正』してやらないとな?そうだろ?
そう思って息子ーー龍を見たら、不安な顔をされたよ。龍君?(何その顔。)
横で我が家の『長男』も不安げな顔して『見てた』よ。何、その顔は、卓君。
お前ら皆してよっぽど俺を信用して無いんだな? 大丈夫だよ。 流石に『息子』を、『捨てて』帰ったりしないからさ。
ちょっと雷落とす位だよ。そうほんの少しな。『星神』君とも打合わせたしな。心配するなよ。




