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Ⅺ. 律 VS 『海』

 「律ーー兄ーー何言ってるの?」


 海君は青褪めるよりも呆然としていた。



 「巧にーー言わされてんだ?」と。………………? どうして巧君のせいにしたの? 海君?




 「海ーーいい加減にしろ。」そう言ったのは、『青』さんだった。…恐い顔。笑ってなかった。


 それで海君は『青褪め』たーー。



 「っ、待ってくれ」と、




 その時やり取りを『遮った』のは、レザード・ガイサースだった。



 「………レザード…?」


 私を抱えたままだった直夏が、声を掛ける。アレフゥロード様も、訝しんでる。


 ちょっとアレフゥロード様を見たレザードが、直夏とも目を合わせてから、話し始めた。


 「いや、口を挟むべきでは無い事なのは、勿論分かっての事だ。しかし、その『子供』は……『家族』では無いのか? …家族なら…あまりにも『酷い』のではないか? まだ……子供なのだろう?  事情は勿論分からない。分からないが、………何故、…………誰ひとり、『優しく』接してやる、『家族』がいないのだ…。悪いが、可哀想で……見ていられない。私が君達に『無関係』なのは、良く分かっている。余計なお世話だとも思う……だが、……」



 「いや、あながち『無関係』でもーー無いーーんだよね」と、




 そこで『龍』さんが、代表する様に、そう言った。



 「え?」


 そう言い、レザードは兄アレフゥロードと顔を見合わせた。


 「それより今はーー」


 龍さんが『振り向く』。


 「『あっち』が『先』かなーーとね。」見た先は『女神』達だったーー




 「はっ、…………やっとこちらに…………興味を持ってくださったわ………」と、



 女神の中のひとりがーーやたらと『色っぽく』言うーー普通に話せば良いのに。



 「………フェアリー・ヴァース様の………『御子神』様…………かしら。貴方もなんて『美しい』の…………ねえ? なんて『御呼び』したら…………良いのかしら……」と。だから普通に話したら良いのに。



 言われた龍さんはーー


 「違う」と言った。ーー何が違うの? 龍さん?




 「龍は『お父さん』の『子供』じゃ無いよ。なあ、『龍』。他人だもんな。御前等、『見る目』無いな?」



 突然そう言ったのは、卓さんだったーーどういう事? 『お兄ちゃん』って呼んでるのに?


 直夏みたいな『関係』って事?女神達が卓さんの威圧に、たじろぎ出した。




 「……………卓兄……ちゃん? ……………何…………?」


 海君が青褪めた。どうやら『違う』らしい。龍さんは…………何なの?



 そう私が思った時に、わん君が言い出した。


 「…………もしかして『その気配』………『龍神リュウジン様』……なのですか?」と。



 龍さんがわん君を見た。でも応えたのは、卓さんだったーー


 「違うよ」と。



 「…しかし」わん君は、納得しないーー。


 「違うって。龍は『その上』だよ。」と、


 卓さんは又『言った』。


 それに『騒ぎ出した』のは女神達だったーー



 「…っ、龍……神…………の上って。………………!…え……そん……な」



 海君以上の青褪め様だったーー。 ーー龍さんは  ーー何なの?




 「龍。『おばちゃん』達、『龍』に『興味』あるみたいだ? 『見せて』あげたら?」




 !!! ?!? !??! 「おっおばちゃ? ーーえ? ーーえぇええ?!?」




 女神さま達が、騒ぎ出した。そりゃね。………おばちゃんと言われれば……そりゃ。…………卓………さん。




 貴方の方が余程『毒舌』…………しかもそんな綺麗な顔で…………さらりと。ひどい。責めないけど。




 「やっやめて! そんなっ、龍神様の『上の存在』だなんて!……私達……耐えられない!」



 女神達が『言う』。



 「じゃ、『帰れ』よ。さっきので、『分かった』ろ。お父さんには敵わないって。さっさと『退去』しないとーー『始末』終えて『戻って』来るね〜氷漬けにされたい訳? 流石に此の『数』の『醜い氷の彫刻』は『邪魔』だからさ? ボク、暇潰しに『砕く』と思うけど、ーーいいよね?」




 と、卓さんは中々に『酷い事』を、ぽんぽんと言っている。……毒舌ナイフだ。斬れ味スパスパな…………。



 「そもそもがおねーさん方、………不法侵入なんですけど?………おれ、『星』への侵入許可、………全く出して『無い』んですけど?…………先輩にもね。」


 そこで『白い普通』さんが、そう言った。やっぱりこの『白い』さんも『神さま』ーーなのだろうかーー。普通っぽいけど。



 「ちょっと、…ユリナさん……、ぼくね、此の『星』の管理者…………『星神』ですよ?………一応ね。」と、



 白さんが言った。


 「…………白さん」と、がっくりと肩を落として。………駄目なの? 白さんじゃ。 『普通な』は外したのにさ。



 「俺がナイフなら君は『遅効性の蜜毒』だからね?紀端さん。」


 なんでか私にまで、卓さんが酷い攻撃をして来ました。………おじ様早くたすけて。息子さんが、苛めますよ?




 「おまえ等ーー『オレ』をいつまでも無視してんじゃねーよ」



 そう空気を叩き割ったのは、白髪のーー『空から』さんーーだった。



 「だから!可笑しな名前付けて呼ぶんじゃねーよ!田舎娘!」と。



 げしっ!




 「ーー黙ってろって、言わなかったか? 理解らなかったのか?」


 そう言って、派手な音付きで、『空から白髪』さんの顔面をーー『蹴った』のは、陸さんだったーー踏むの次はーー蹴るのかーー



 「陸。ちょっとやり過ぎだ。」


 龍さんが止めた。……ですよね?


 「黙ってて龍兄。分かってるから。」


 分かってて蹴っちゃうのか陸さん。


 「陸。ーー分かったから『やめろ』。」龍さんがーー少し『恐』かった。


 それで陸さんも、残念そうに『止めた』。


 「陸兄さ、つぐみん達の『予想通り』じゃん。あ、あれ『言った』の、ナオトさんか。」


 と、ずっと黙ってた友さんが言った…………。友さん………つぐみんて………誰?(汗)


 「友、……お前ね、……つぐちゃん聞いたら泣くぞ、それ。つぐちゃんが言ったのは『お前』の事ね。……『暴走』するなよな? お父さんに怒られるのどうせ『俺』なんだからな……たくっ」と、



 卓さんが言った。つぐちゃんて誰……?


 「だからさ?卓兄。ーー俺、『我慢』してるじゃん?ちゃんとね。」





 そう言った友さんが、未だかつて無くーー恐かった。笑顔が怖過ぎる。



 「友も黙ってろ。今『話してる』のは俺だ。」やっぱり龍さんが恐かったです。独特な怖さ。『静かに怒る』って感じのーーあれ? やっぱり怒ってるの? 龍さん………。




 「星神、」龍さんが呼び掛けた。



 「出番。ーー話せ。」と端的に。




 「うわっ、えっと。先ず『打ち合わせ』と違うんですけど……」


 友さん……呆れて見てるよ……『星神白さん』を。


 「ユリナさん………気合い抜けるので…………変な名前………付けないでください………嬉しくないから……………(泣)」


 「喜ばせようと付けた訳では。名前分からないので、心の中での呼び名ですよ………じゃあ『白神』さん。」


 何か私名指しでクレーム貰ったので、提案してみる。大分ましでしょ?



 「………、も、いいです。………………………………そうですね。おれねー、自分の名前?………憶えて無いんですよ。なので何も言えないです。………思い出せないですし。」え?




 白神さんはーー何故だか『哀しそう』に、そう言った。覚えて無いってどういう事?記憶喪失?



 「ハクシン」。



 え?




 「とりあえず『仮名かりな』。『ハクシン』でいいだろ。折角だからーーな。そんな事より、エンドロールに『向かおう』ぜ? 俺も暇じゃ無いんだよ。 ……なあ?」



 そう言ったのは龍さんだったーー。



 「まあ……そうですね。ホシカミ シロとかシロカミとかよりは…………多分。………はい大分。」



 「おい、『となり星神ホシシン』ーー『立場』解ってんだろ?」



 シロカミさんーー嫌、ハクシンさんーーが言うと、それに応えずに龍さんが言ったーー




 「龍……神……さまあ」其処に『空気読まない』女神達のひとりが話し掛けた。…………馬鹿なの?




 「俺は龍神じゃない。ただの『龍』だよ。」龍さんは応える。…………真逆。龍さんて…………





 「ボクを『無視』しないでよ!? 龍兄ちゃん! 卓兄ちゃん! 友兄ちゃん!……陸兄ちゃん。っ、青兄ちゃんっ! ………、律、……にい…、巧はボクを『置いて』逃げたんだ!騙されないでよ!…………巧は……………いつも『ひどい』んだからさ。律………兄?ねえ? 律兄ってば!律兄………嘘だよね? ……………律兄は…………巧を『きらい』でしょ? うざいよね? 巧の事…………律兄?」





 「海。………………何言ってんの?」



 龍さんの言葉を聞いていなかったのか、海君が騒ぎ出した。…………そして律君に言われた。


 律君は『思いの外』冷やかだった。


 「海。それ以上巧の悪口言うなら、海はもう『僕』の『弟』じゃあ無くなるよ? そうなりたいって事だよね? 海。 良かったね、海。もうお父さんに『怒られなくて』済むよ? だって『家族』じゃなくなるんだから。…………………僕さ、何回も何回も海には注意したよね? 巧はお前の『お兄ちゃん』。 なんでいつまで経っても『呼べない』の?海? 巧をお兄ちゃんと思って無いなら、海は僕の『弟』じゃ無いんだろ。  もういいよ、『諦めた』。ばいばい、海。もう好きにしたらいいよ。そうだろ?」





 私は、こんなに『冷たい』口調の律君はーー初めて見た。とてもかなしかった。




 律君の『かなしさ』がーー伝わって来たから。

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