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Ⅹ. ‐ 2. クール・パニック

 「やっぱり面白いお嬢ちゃんだな、君。友理奈ちゃん。」



 笑いながら出て来たのは、やはりなあのひと…律君のぱぱだった…。

 律君ぱぱ『陽藍』サンは、丁度キッチンの出入り口の辺りから、『現れた』。相変わらず綺麗な顔で。律君ぱぱを見ていると、美形で有名な『タクト王子』ですら、霞んでしまうーーそんな印象だった。綺麗なひとが多過ぎて、ちょっと訳が分からなく為ってしまう。…くらくらしたので、気を取り直して、直夏を見る。うん。大丈夫2。落ち着いて来る。



 「…直夏で…口直しするなって…君は。……本当『面白い』な?」美形ぱぱがくすりと笑って私を見た。




 「ひゃああぁあすごい!……かっこい…きれい………」と、横に居たマリーサさんが、『奇声』を上げた。……え?大丈夫?ちょっと挙動不審と化した、マリーサさんが心配…。しかし、マリーサさんに声を掛けるより、律君のぱぱーー陽藍さんが言う方が早かった。




 『とりあえず【外】出るぞ?』と。「教会たてものぶっ壊されても面倒だからな?」とーー。私には意味も分からなかったが。




 ふっと薄く成った感覚と、又ふっと『戻って』来た『感覚』で、気付くとそのまま『庭』にいたーーさっき干した『洗濯物シーツ』はためく。


 は?と思ったんだけど、きっと陽藍さんの仕業だと思うと、余り突っ込みも出て来なく為っていたーー直夏曰く陽藍さんとは『度を越した』天才ーーとの事。直夏だって十分頭良いのに?と言いたかったが、直夏が言うならそうなのだろうと思った。思う様にするしかなかったーーと言うか。


 私の頭の中が動くよりも、陽藍さんの行動はとても早かった。『洗濯物邪魔だな』と言い出し、息子さん達に言って、『片付け』させた。未だ乾いてないーーと言うより前に、ふわんと温かい『風』と共に、『乾かして』しまった。空中で面白そうに『振った』指が、軽やかに『洗濯物』に『指示』を『与え』、綺麗に畳まれ、息子さんーースーパー・モデル、タクト様と、若き実力派ピアニスト、『リュウRyu‐カゲツKagetu.』さんとに『振り分け』て、教会の中に『運ばせる』。



 リュウ・カゲツ……そう言えば出身、ニホン・エリアでしたね。気付け私。嫌、無理だから。



 も、いいや。とか思ってると今度は、陽藍『おじさま』はーー出て来た息子さん達を見届けるや否や、教会に『結界』を張った。結界だと分かった訳では無かった。そう言われて、ようやく理解したのだーー。『これで大丈夫』と、だいぶ満足気。…何が?と思ったら此方を向いて、私に、




 「洗濯物しょうばいどうぐ。」と、何やら……えらいドヤ顔だった……。彫刻ばりのドヤ顔初めて見たよ……私。顔をどうしても引き吊らせていると、気付くと直夏が近くに来てくれていた。直夏に、



 「……オジサンって、『ああいう』人だから……。」と、言われた。………。どういう?


 「だから……ああいう。」と。うん。もういいや。納得します。



 「ほら。ぼんやりしてると、もう『来る』ぞ?」と、



 綺麗な彫刻顔で、おじ様は言った。





 何が?と思う『暇』は『無かった』。『威圧感』。『何か』が、来た。



 空から『降って来た』『それ』は、ひととも思えたーー私には。


 しかし違ったらしい。


 おじ様や息子さん達が、『それ』が『ひと』では『無い』事を、『示した』。






 「『お父さん』こいつ、『誰』?」


 美形の代名詞『タクト様』が言う。もう、「タクト」さんで良い?知り合いじゃないけど?馴れ馴れしい?



 「ん?しょぼい『どっか』の『神?』(もどきかもな。)」と、おじ様。



 あ〜成る程。っと、その場に居た『彼』の息子さん達、但し海君は除く〜の皆さんは、深く頷いて居たーー美形集団、えらく失礼だけど……大丈夫?



 「さすがに失礼だろっ!」と、やっぱり怒りだしたよ?





 『もどき』さんが。



 「おまえもだよっ!そこの娘!田舎娘!場違いにも何故居る!?此処は『此の星』でも『そこそこ』の『主要都市!』〜お前みたいな『田舎くさいの』は、場違いだ!場をわきまえろ!そうだな……田舎帰って、畑でも耕せよ!似合うな〜農夫の嫁とか!嫁げ、嫁げ、農夫の嫁に成って野菜でも作ってろ!田舎娘!オレの『邪魔』をするな!」と。





 ………………。田舎娘ってのは、私ですか?……………。おにいさん。突然『やって来た』白っぽい髪色の『中途半端さん』に、罵られた。私が何したって?『邪魔』って何だろ?




 初対面の筈だよ?お空から『降って来る』知り合いは居ません。私には。




 その時だった。




 又違う『気配』が『笑い出した』のは。





 「おもしろいな〜御前。『うちの』お父さんの『お気に入り』に『喧嘩売る』とか?中々やるじゃん。馬鹿だけどな。俺なら『恐くて』売れないね〜」と。




 どことなく見覚えの『在る』、爽やかな口調で、でも決して『瞳』は笑っていなかった。

 見覚えの在るのは、『誰か』に似ていたからだろうか……多分『違う』。私は『何処か』で、『この人』を『見た』事が在るらしいーー思い出せないのだけれど。




 「っ、セイ兄ちゃんっ!」と、海君が叫んだ。……オニイチャン?………お兄さんなのか………その人も。


 『セイ』さんとやらは、おじ様&友さんと同じ顔だった。『双子かな?』と、私は思った。歳も同じ位に見えた。



 「青?珍しいな?おまえが『こんな辺境とこ』迄、乗込んで来るの?どした?暇なの?」


 呆気羅漢と言ったのは友さんだった。


 「ゆう程暇な訳無いでしょ。悠太ゆうたひかるに泣き付かれて帰国したの。もうちょっと太郎たろうちゃんと遊ん来よ〜と思ってたのにさ。唯華ユカちゃんとデートとかさ。」と。それに応える。



 「……お前等、……暢気だな。……目の前の『ソレ』、一応其れ『敵』だぞ…。」



 呆れた声を出したのは、ピアニストさんの『リュウ』さんだった。


 「「分かってるよ。」」友さんと、セイさんの声がハモる。……仲良しだなあ……直夏にこっそり『耳打ち』したら、『……わりと』って。……仲良しなんだな。




 その時だったんだけど、又ふっと、『其処』から『気配』が現れて、『又!?』って思ったのと同じ位のタイミングで。『現れたその人』は、すたすたと。


 『空から降って来た』なんちゃってもどきサンーーへと向かい、………踏んだ。





 「!!」踏んだよ?!



 「「「「陸!!」」」」





 私が慌てるよりも、皆さんの『声掛け』の方が早かった……踏んでる。



 あ、なんちゃってもどきが、もがいてる。藻掻もが藻掻もがと。





 「お?、何だ、陸。結局来たのか。面倒だし忙しいとか言っておいて。(笑)」と、陽藍オジサンが言った。


 ……先ず『人』を『踏んでる』(多分)息子さんには、何かひと言無いーーのだろうか?私の方が汗をかきますよ、本当。(苦)……踏んでるなあ……。(汗)





 「あ〜と、『陸』さんっ、そのひと、『隣星』のおれの『先輩神』です。ん〜一応『踏むの』止めたげて下さい。w」と。




 又急に『現れた』のはーー…誰?白っぽい上下のゆったりウェアさん。顔はーー普通?良く有る『タイプ』だなと。





 「ちょっと『お嬢さんっ』良く有るに、普通って、おれも傷付くからね!?ちょっと包んで2。デンプンのやつで!微妙にさ。(泣)」



 「微妙なら包んでも変わらねーだろ。」とおじ様が言った。それにいたくダメージを受けたその『普通』の男は、『ちょっと?!陽藍様!?』と、泣き付いていた。





 どうやらおじ様の『知り合い』なのねと思った友理奈は、『……変なひとばっかり』と、やや疲れ切って居たーー。




 そして又気付く。『直夏』と共に『出掛けて居た』筈の『犬』が、其処に居た事に。『連れ』が『居た』。





 だから友理奈は思わず言った。




 「…………? 『牡丹』君?」と。





 巧が『連れて居た』猪がーー其処に『居た』。二匹で『尾』を振りながら。

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