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Fast-Ⅲrd. 『冒険者』とか言ってるんだけど、…冒険者って一体何なの?……旅人的な……なら、あの妖精さん…『○○フキン』さん?(汗)


 仕方無いので、お金無い事とか、(いやあるけど。この変な世界のお金は持ってません。そもそも私、キャッシュレス派ですしって、そんなん普通だよね。たまにお札崩すと、小銭さんが重い…でも全然現金を持たないって生活も出来ないしね~って今はそんな事はいいか…はあ)そんな事情を話して、呆れた顔の残念なんちゃって君に、何とか手を貸して貰う事にした。何かー後払い言われたよ。…守銭奴と思ったし、言いたかったけど、向こうの主張もちゃんと聞いた。



で、『冒険者』って何?






 …あれかな?良く分かんない、CMシーエムとかで時々目にする、あれ、『~何とかの冒険』とか、『何とかの~勇者~』とかのキャッチフレーズ的なあれとかで、宣伝とかしてるやつ。つまり何?冒険者と言うのは、勇者がどうのとかの同類とか仲間かな。違うのかな。勇者がどうした的なアニメ?とか映画?とかあるみたいだったけど、観た事無いし、具体的な事が良く解らない。…勇者って何する人?ニックネーム的な呼称かな?うん、分かんない。勇者って何か、目的を持って?旅して?何か強くなる話だと聞いた事がある。冒険は分かるよ。こう、探索とか探検とかを、好奇心を持ってする事とかだよ。ーー多分。大体そう。(だと思う)




 で、冒険者とは何?もういいや、聞こう。




 「ちょっあの、少し待って。話戻しますけど、冒険者って何?…どんな事する人?…えっと職業的な呼び名なの?」



 素直に疑問を口にしたら、こっちが驚く位の『はあ?』と言う顔をされた…不本意だ。何よあんた有名人なの?だったら謝るけどさ。30分位前まで、生まれ育った世界に在た私が、此処の世界で貴方様が冒険者とか言う呼称なのか何か、知らんけど有名人さんだとしてもさ、私は知らないよ。仕方無いじゃない?取り繕うかどうか、次の質問とか、私が言葉を発するよりも前に、彼の方が口を開いた。



 「田舎から出て来たとか言ったな。…例え田舎でも…冒険者が何か知らないとか、…酷いとかより酷いな。…なんだおまえ。……やばいのか。」と。




 酷いのはアンタだよ。女子に向ってその台詞。やっぱコイツなんちゃって残念イケメンだ。目付き悪いし。あ、後守銭奴。…でも…、困ってたのが滅茶苦茶可愛くて仕方無い、そう例えば会社で言うとあの多橋とかなら…うんあの多橋とかなら…こんな奴でも無償で助けたりするんだろうか…



ちょっと聞いてみたくなったよ。



 「ーー例えば、…」「ーあ?」



 「…例えば道に転がって怪我してたのが、綺麗な服着た凄く可愛いなって言う、…私より若い女の子だったら…無料で手助けしたりとか…」「割引きはするだろうな。」





…食い気味解答来た。つか出たよ。ここでも、『多橋チャン最強説』、『多橋恵タハシ・メグはそのままで可愛い説』。多橋チャン、なんかね、異世界ってとこに迷子になりに来ても、君なら生きて行けそうな予感だよ。ああ、きっともう多橋ちゃんに会う事も無いんだろうね。『先輩の彼氏さん素敵ですね~いいなぁ~』とか言ってた会社の後輩ちゃんにさ。…そう言えば私、昨日多橋ちゃん的には素敵らしい(社交辞令かもだけど)その彼とは別れたよ。…多橋ちゃんも彼氏が居るんだか居ないんだか、秘密主義的な…良く分かんない子だったけど、まあ、良い子は良い子だったから、




……彼奴と何か縁があったら、付き合うのも良いんじゃないかな……。『別れそう』って無意識に言葉漏らした時に、『ーえっ』って言うあの食い付き方が少し気になったんだよね。…疲れてて…あの時はあんまり深くは意味を考えなかったんだけど。





兎にも角にも私は、『冒険者』について深く考えずに、とりあえず今の現状をどうにかしようと、残念君ーーもとい、彼が名乗るには『ガイ』と言うらしいーーガイと共に痛い足を引きずって、てくんてくんと、砂埃の轍街道を歩いて行く事にしたーーガイが言うには1時間程てくてくと歩けば、街に入る門が見えて来るらしいーー





 お前が居なきゃもっと早く着くと言われ、



 身分証が無ければ街に入れないかもしれない(身なりが汚いから)と言われ、



 「…しかも無一文…なんなのオマエ。ふざけてんのか…ふざけてんな。それで護衛頼んで来るその勇気……すげえわ。感服するわ。引っぺがして売るには、…汚れてるし(※服が)」



 「…この服の下は殆ど裸に近いので、服を売られると困るんですけど」そう返すと、鼻で笑われた。その汚い服売っても駄賃にも為らねぇよーーと。…失礼だよ本当。




 冒険者ってもしかして、失礼で傍若無人な人外規格の人の呼称ですか?旅人で、とある幻想的な谷が故郷の、有名な、妖精達のあのお話とは大分違いますね、冒険者さん。ああ、お家に帰りたいよ。




 歩くと膝が滅茶苦茶痛いよ。一応手当してくれた時には、こいつ口は悪いけどイイ奴キャラ?なのかしらとかふと思ったんだけど、…お金取るらしいよ…手当。保湿ティッシュだけじゃ無くて消毒液に包帯にガーゼにって持ち歩くべきなのっ?ってもう、ドラッグストアはきっと二度と行けないんだろうけどねっ不便だよ。…これからどうやって生きるのよ。私。……さっき、ガイが、『護衛なんて…要らないけど?』って言ったら、『お前、魔獣倒せんの?後は獣もたまに出て来るぞ、この街道』とかなんとか。…なんちゃらとか多分獣だの、後何?魔獣?とかだのの名前なんだと思うけど、出て来そうなヤツの名前とか言ってた。いや知らんよ。我が家の帰り路には、狸さんとかすら居なかったよ!時々猫を見掛ける位のそんなのが路って言うのよ!ー分かったかなっ!




 ……わかって無いのは……私か。……どうやら私は…帰り路の歩道橋で、迂闊にも滑って、足をまんまと踏み外し、そのまま階段下へと落下して、硬い地面に頭や身体を無防備に打ち付ける筈だったのだろうが、何の間違いなのか見た事も聞いた事も無いーー全く知らない世界に落ちてしまったらしいと言う、とても恐い現実を、受け入れる事も出来ないままに、とりあえず歩き出した。




 あんな道の真ん中に、いつまでも呆然として途方に明け暮れていれば、きっと死んでしまうからだ。その時思ったのは、人って多分絶望とは言っても本当は未だ本物の絶望では無くて、生きてる限りは生きようと思うのだろうなと。とりあえず、今の私に出来る事は、例えよたよたでも街に向かって歩く事。ああ、スニーカーが欲しい。仕事用のパンプスでは…足が(泣)




 格好付けて、美人の先輩方が履くみたいな高っいヒールとか履かなくて良かったとだけ思った。先輩、私はヒール『慣れ』る事無く、OLオーエル人生は終わりみたいです。可愛がってもらってありがとう御座ました。…仕事遅くてごめんなさい。例のあの仕事、半分程終わってませんでした。本当ごめんなさい。



 あれはきっと私の指導係をしてくれたあの先輩に…行くのだろな。ごめんね先輩。


 ぶつぶつとそんな事をひたすら考えながら。ただひたすらに黙々と歩いた。…多分明日筋肉痛。



 ※ ※ ※



 

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