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Ⅴ ‐ Ⅵ - Ⅱ. 友理奈、宿場(ビジホ)と食事処(レストラン)とその他店(アーケード)に行ってみる。

 門の騎士さんふたりの助言から、私事友理奈はこの街のと或る宿屋『葉緑の宿場』を目指しています。

 何か綺麗ぽさを期待しつつ。綺麗な宿屋であります様に。

 うん、着きました。何故、この世界の字が読めるのかーーだって何故か『ローマ字』と呼ばれる其れで書かれていたからでーー。ローマ字って言うのは、棲息エリア違いの人々の交流の為に在る文字で、俗に言う『アルファベット』と言う記号の様な文字を使う表記法だ。私達、ニホン・エリアの棲息ヒューマンは、主に『漢字』『平仮名』『片仮名』でコミュニケーションを取る事が多いし、主流だ。俗称は『日本語』と言う。ニホンとは漢字で『日本』と書く。ローマ字だと『Nihon.』と書き、アメリカ・エリアで主流の『英語』では『Japan.』となる。読み方は『ジャパン』。『J』とか『a』とかのこの文字の事を、『アルファベット』と呼ぶ。他の海外エリアでは、『フランス語』とか『イタリア語』とか他にも文字、言葉が在るのだけど、残念ながら私は詳しく説明出来ない。それを勉強する学校に行ってないからだ。独学で学ぶ程、使う事も無かったので、日本語、少しの(基本的な)英語、ローマ字辺りしか分からない。


 で、ローマ字なのだけれど、便利なので各エリアで習得義務が有り、小学校や幼稚園でも教えている。必須科目だが、難しくも無いので、幼稚園でマスターした子は、小学校ではやらない。テストして、理解して無い子だけ、補習で習い、マスター済みの子はその間の授業は、大概は『体育』や『美術』の特別授業となる。体育の特授は通常の体育とは違い、武道又は、球技が多い。私は受けた事が無い。主に男子に人気。美術の特授は『華道』『茶道』『演奏』『声楽』『御作法』『読書』等バラエティに飛んでいた。美術と言うより『芸術』に近いとの事。因みに私は美術でも無く何故かあった『護身術、他』の授業を受けていた。都心では人気のその授業は、私が小学校時代を過ごした土地では不人気だった。読書と迷ったのだが、読書が人気だったのと、華や茶は祖母が教えてくれたので、祖父に勧められて『護身術』にしたのだ。内容は『護る』より『先ず逃げる事』『近寄らない事』『事前回避』の心構えを持つ事への指導だった。…成る程。主に『、他』が主体だったのだ。


 と、まあ、思い出話は此の位にして、私はとりあえずローマ字が有り難いこの世界で、『葉緑の宿場』を難なく見付け、中に入ってみた。中々綺麗です。うん、清潔。これならと。

 入口からすぐ見えたのは、当たり前だが受付け。カウンターになっていたので、中の人に話し掛け、部屋が未だ有ったので早速チェック・イン手続きしてもらう。用紙の記入とお金を支払っただけ。直ぐ済む。荷物が何も無いので、色々相談がてら聞いてみる。親切に色々教えて貰い、部屋には行かずに又外に行く事にした。必要な物の調達もだが、騎士さん達に助言貰ったお食事処と、買い物ついでにお花屋さんにも行こうと思った。宿屋さんにリサーチしたら、此処からどちらもみえる位近かったので。食事処マーマレード・ローズンはお隣りさんだった。やはりというか。


 そんな事より、私の話を聞いたこの宿屋のおばさまは、有難い事に、『じゃあ』と言って娘さんの古着を何着か譲ってくれた!天使ですか?おばさま!有難う!

 驚いて謙虚にしてたら、『古着だから』と処分しても良いのだが、宿屋だとやはりこういう私みたいな『訳有り』が来ない訳でも無く、役に立つ事も有るので、極力捨てないらしい。単純な理由だと、『雨』とか。雨が降れば荷物も濡れ、着替えに困るが旅人ならお財布事情もある。貸せるなら貸すーーそれが理由らしい。誰に彼にもでは無いらしいが。御礼を言うと「私のを譲ってもいいのだけど、ねえ?やっぱりサイズがねえ?」とおばさまは『ふくよか』に笑った。


 この宿は女性に人気らしい。男性の客は極力断るらしいのだ。理由は以前は普通に営業していたらしいが、男性客は部屋を汚しても気にしない。部屋で飲食したそれを散らかしたままチェック・アウトする。時にはいざこざで、部屋や宿屋を壊す。喧嘩は他所でやれと言いたいが、正しくは他所でもやるなだ。故に昔馴染以外の男性客は極力断るとか。いちいち宿を壊されては、営業に響く。それよりも部屋を綺麗に使ってくれる女性客を主に相手に商売した方が賢いと思ったらしい。


 昔馴染の男性客層の主なのは、個人営業の商人等らしい。女性客の主には商人もいるが、旅の演奏家や、仕事の出張で街を移動する者等。友理奈は聞いていて『宿屋って、ビジネス・ホテルだね』と思った。因みに此方はなんと『お風呂』があった。予約出来るとの事で予約させて貰った。時間は30分が最大時間だったので、そうした。風呂代は宿賃と込。利用の有無に問わないとの事。なら入った方が特。因みに他の素泊まり宿より、そんな理由でやや高い。それが冒険者達があまりこの宿には来ないその理由だった。成る程である。石鹸は持込が多いとの事で、タオル等も同じく。貸出もあるが、借りるより安い近くの店を教えてくれた。その店は石鹸、タオルに始まり、古着等、旅支度一式揃う店との事だった。花屋『ジャズミンフレグランス〜』の場所を聞くと、その店の直ぐ近く。友理奈は宿のおばさまに礼を言ってから、そちらに向かう事にした。


 すぐ着いた。宿から見えたのだから当たり前だ。店先はとても良い香りが充満していた。

 友理奈は思わず胸一杯に其の香りを吸い込み、楽しむ。『良い香り〜』と、顔もほころぶ。

 中に入ってみる事にした。なんとも可愛い店で空間だった。『はあ〜癒される〜』今の状況を忘れそうになる、そんな店内だった。


 「いらっしゃいませ」と店奥にいた女性が出て来る。門の騎士さんの話をし、挨拶すると、素敵な笑顔で対応してくれた。そこで友理奈は彼女に気になる事を色々と『リサーチ』してみた。成る程2とそれなりな情報・収穫を得て、彼女は御礼を言って花屋を出て、目当ての雑貨屋とも言うべき、店へ向かった。そう2、花屋の騎士嫁さんは、『じゃあ』と言って、何と花の精油を使った良い香りの石鹸と、これから出来れば買いたいなと思っていたタオルを譲ってくれた。タオルは花の精油の香ーーつまりアロマ・オイルを焚いてあった。香りとアロマ・テラピー効果のある、有難いタオルだった。しかも魔法効果で、アロマ・テラピー効果が続く魔法の品。香りが薄れたら、洗い落とし、他の香りやアロマ・テラピー効果が焚き染められる優れ物。


 なんて素敵。魔法って便利なのねと思ったが、『…つまり香り付き柔軟剤効果持続』って事だよねと思った。……成る程。形(方法)は違えど、効能は略、同じだよねと。 




 でも『あれ』は無いのね。と。あれーー、つまり友理奈は『クリーニング屋』もとい、『洗濯屋』は出来ないかな?と思っていたのだ。何故無いのだろう?と。先程『葉緑の』店主に聞いていたのも、『洗濯』についてだった。この世界に洗濯機は無かった。代わりの魔道具とやらも

無かった。何故無いのか?


 洗濯は大きな『桶』〜タライの様な入れ物に、水と洗剤を入れ、洗濯物を一緒に入れる。

 そこで『魔法』が登場する。属性は『風』。風魔法の操作で、タライの中身を回転などさせながら『混ぜる』のだ。そこで再び魔法。汚れと泡を『浄化』し、水を綺麗にし、『濯ぐ』。2、3度繰り返せば衣類の汚れが落ちるので、水を捨てる。衣類の水気を切る。干しても良いが、急ぐ場合や面倒だと思う者は、『風魔法』で『乾かす』ーーそうだ。


 便利なの?不便なの?と友理奈は聞きながら思った。


 つまり。魔法が使えないと、洗濯は大変だと言う事が分かった。だが、大概のこの世界の者達は、『洗濯に必要な魔法』位は、『習う』のだそうだ。成る程。

 『洗う』を習得している者は大半らしい。

 『乾かす』まで出来る者は、女性に多いらしいーー。乾かすイメージを失敗すると、魔力で乾かした衣類は『ぱきん』とすると。…『柔らかさ』も……イメージしてあげて……布のorzと成る。(笑)着心地はーー悪いらしいーーと。



 友理奈は魔法等使えないー筈だった。けれど彼女は、ふと、固定概念を捨てた。街に着く前、ガイサース様と魔法の話をしていたのだ。ガイサース曰く、この世界に魔力の無い者はいないとの事。正しくは、『魔法の理屈』を解釈すれば、使えない者は居ないーー居なくなるとの事。風ならば『風の持つ力』を利用し、火ならばやはり『火の持つ役割』を利用するーーそんな話だった。


 そこで『巧』の事を思い出した訳だ。彼は彼なりの解釈で、『魔法』を使ったのでは無いか?と。ガイサースにもその考えを提示してみると、納得された。


 だから友理奈は試してみた。目の前には『大気』が在り、『大地』も在る。彼女が『力を込めた言葉』は、発動した。「風よーーうねれ」と。



 ちいさな竜巻が起きて、うねり終え、無かったかの様に消えた。ガイサースには褒められた。


 ついでに試しに『爽やかなそよ風』と言って発動させたら、ふわんと風が吹いて、そのまま消えた。更に実験的に、『水!』と言ってみたが、やはり何も起こらなかった。友理奈は『水の化学式』も上手くイメージ出来なかったし、空気の中に含まれる成分から『水』を作ってみるーーと言う事は『イメージ』が出来なかった。水道ひねると、出て来るイメージしか…と。火も上手くイメージ出来ないので、無理だろう。逆に『消火』は出来そうだった。『酸素』が無ければ、燃えないイメージ。




 『洗濯屋出来るんじゃない?私』と、ちょっとドヤ顔で思った友理奈だった。


 そしてその足は今は、『雑貨屋』とも言うべき店に向かっているーもう着いたけど。


 雑貨屋の店内を色々と見た友理奈は、『物価のリサーチ』をしつつ、無事買い物を終え、宿屋方角に戻りつつ、『食事処』に着いた。目の前だから。空腹を刺激する薫り。友理奈は店へと入って行き、店員の案内で席に着いた。時間が食事の時間帯では無かった為か、客は居なかった。


 店のオススメを伺いつつ、成るべく低予算で注文を済ます。門の騎士の薦めで来たと伝えると、騎士さん恋人さんが来てくれた。綺麗なひとだった。事情をざっくり話すと、やはり色々教えてくれた。


 食事を堪能して、挨拶をして店を出た。



 『異世界来ちゃっても、まんまビジホとかカフェ風レストランとか、店もはっきり言ってアーケード街だよね……』


 店店は街の一角に集っているらしく、店店の集落的なその一帯の上部には、『ひさし』的な簡易屋根が付いていた。『…アーケード、…アーケード街だな…』と、友理奈はひとり妙に納得していた。『…商店街だな』と。雨が降っても大丈夫、アーケード商店街……と。



 そこで彼女の『持ち味』嫌、『体質』が発動した。


 「おい、ねーちゃんっ」と。


 所謂『冒険者』風体の厳ついだけが正義であろう男だった。折角の気分を台無しにする風貌の男ーー冒険者は、案の定友理奈に絡んで来た。




 「ぼお〜と立ってて、暇なんだろ。其処で一杯おごってやるわ。」と。


 断るが、言葉は通じない。『食事なら済んだので宿に帰る』のだと言っても、友理奈の腕を掴んで離さない。散々断ると、こうだった。


 「あ〜?!なんだオマエ!そんな高えのか?!この身の程知らずが!ちょっと小一時間愉しく飲もうぜって言ってるだけなのにな!はんっブスが。田舎くせえ顔しやがって。帰れ帰れ田舎によお、酒もつきあえねえんなら、帰んな!田舎農夫にでも嫁いで仲良くやんな!にあってるわな、……このブスがっ、」と。





 ブスって二回も言ったっ、!友理奈は悔しかったが、言い返さなかった。長引くより、諦めてくれるならば、我慢する。


 はっ!と吐き捨てて、その男が立ち去るのを待ち、見えなくなってから宿屋に飛び込んだ。理不尽極まりなかったが、怪我する方がもっと理不尽だからとそう思った。

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