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Fast-Ⅱnd.『踏むな。』



 「おい、邪魔」




 道にへたり込んであれこれしていると、真後ろ後頭部上から低音ボイスが響いた。思わず悲鳴を上げそうになるのを堪えて、どうにかこうにか声と覚しき方を振り向く。…イケメンがいた。がーー、しかしこのイケメン目付き悪過ぎ。タイプじゃ無いな。どっちかと言うと嫌いーーそんなどうでも良い思考に走りそうになった時に、また低音ボイスが何か言った。



 

「退け。踏むぞおい」ーーは?なんだこいつ。人外かよ。


 踏まれたくないが、地味にあちこち痛い…直ぐに動けずもたもたした。「や、ちょっと待って」



「とりあえず踏まないで」



 初対面の人をまず踏むな。そして面識が有ってもやはり踏むな。


 え?何この人。人外じゃ無いならまずは助けてよ?手を貸さないかなあ?こういう場合。私なら転んだおじいちゃんにまず手を貸すよ。手助けするよ。偽善じゃ無いよ。普通だよ。そんな前に本当にあった、『路を歩いてたら、目の前でおじいちゃんが躓いちゃって、びっくりして慌てて声を掛けて、手を差し出したら思いの外怪我も無く大丈夫で。良かった×2とホッとした微笑ましい私のとある実話』とか思い出していた。ーのに、



 

 「…汚っ」って言われた。…泣くぞこら。転んだ時、砂っぽい地面にダイブしたらしく、…自分でも思ってるよ、てか思ったよ。『…汚っ』て。顔が何だか砂っぽいんだよ。ジャリって。…。理解ってるよ!




 大体何だかもう文句とか文句とか文句とか、後文句とかそれから苦情とかしか言葉が浮かばないこんな状況で、現れた人がひとの事、行き成り『汚い』だの『邪魔だから踏む』だの。…此処は一体どんな世界だっ!だっっ、だっさい格好してる、なんちゃってイケメンがっ!




 オマエの着てる服のが程良くボロボロに汚れとるわっ!ーー叫びたかったが、自粛した。…ああ叫びたい。



 泣く泣くこう言った。大人対応、女の子な自覚在りな私。(無いって言われるんだよ。…なんでよ)



 「…すみません。退きたくとも…転んで。あちこち痛いので、ちょっと動けません。…手とか貸していただけませんか」と。






 「幾ら払う?」ーーーー流石でも無いが、流石の私でも、金払えと言われるとはーー思わなかったよ。





 もういい。なんちゃってには頼らん。……自力で………とは、行かなかった。良く見たら膝とか流血してた。あれだよ、あれ。運動会で転んじゃった子の膝小僧だったよ。赤に砂の混じった、黒が痛々しい例のあれな。…あれだよ。…ぐすっそりゃ鼻水もちょっと出るよ。でもちゃんとかんだよ。ティッシュって大事だよね。OLオーエル必須アイテムだよ。ちゃんと割高でも保湿だよ。鼻赤くなるしメイク落ちちゃうからさ、保湿ティッシュじゃ無いとやってらんないんだよ。(何が?)




 女の綺麗は大変なんだって話だよっ!

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