第144話:哀切 その3
コロナが自身を無力な存在だと知ったのは、魔物との戦いで母が命を落とした時だろう。
今となっては半生も昔の遠い、遠い過去。それでも、今でも鮮明に思い出せる出来事だ。
――これから先、死ぬまで忘れることがないであろう出来事だ。
コロナが住むラヴァル廃棄街では人が命を落とすことは珍しくない。幼心にもその“現実”を知っていた。
しかし、身近な――それこそ自分の家族が命を落とすなど、想像もしたことがなかった。
幼い子どもに自分の両親が死ぬことを想像しろというのも難しい話で、コロナもまた、唐突に別れが訪れるまで考えたことなどなかった。
父親のドミニクも母親――カテリーナも、ラヴァル廃棄街ではその名前を知らない者がいないほど有名な冒険者だった。
コロナが七歳の頃。ラヴァル廃棄街においてドミニクとカテリーナを超える冒険者はいなかった。
ドミニクだけでなくカテリーナも『強化』程度ではあるが魔法を使うことができ、ラヴァル廃棄街の冒険者の中では頭一つ抜けた存在だったのである。
コロナの両親に届き得る冒険者がいるとすれば、当時は現役の冒険者だったバルトロぐらいだっただろう。そんなバルトロでもドミニクとカテリーナが揃えば勝つことはできなかった。
――二人が“揃っていれば”、あの結末も避けられたのではないか。
カテリーナを失った頃の年齢を倍にした今でもコロナは思う。きっと、三倍、四倍と年齢を重ねてもずっと思い続けるのだろう。
ドミニクが他所の救援依頼に出かけている間、ラヴァル廃棄街を守っていたカテリーナが魔物と戦って命を落とした。
言葉にすればそれだけだ。ラヴァル廃棄街だけでなく、他の廃棄街でもよくあることだろう。幼い頃のコロナが気付かなかっただけで、身の回りにもそんな不幸が溢れていたに違いない。
今でこそドミニクが引退を決意できる存在が――ニコラとシャロンという新たな魔法使いがいる。だが、当時のニコラは冒険者としては駆け出しもいいところだった。シャロンに至っては冒険者になってすらいない。
救援依頼にドミニクとカテリーナの両方を割くわけにはいかず、より腕の立つドミニクが単独で依頼を行うことになったのだ。
バルトロもいたが一人では強力な魔物が出た際に対処できず、かといってバルトロでは救援依頼を完遂するには技量が足りず。コロナ個人の心情に限っていうならば、救援依頼を断るのが最善だったのだろう。
そうすればきっと、母親であるカテリーナが命を落とすこともなかった。
“今の”コロナにはそれが難しいことだというのもわかる。廃棄街同士の結び付きは薄いが、それでもゼロではない。正規の軍隊に頼れない立場同士、有事の際に戦力を融通し合うぐらいの協力体制は敷かれているのだ。
それでも、他の冒険者と比べればコロナはマシだったのだろう。結果的に母親を失ったが、その死に目には立ち会うことができたのだから。
その点ではドミニクよりも恵まれていた。ドミニクが救援依頼を終えて帰ってきた頃には、全てが“終わっていた”のだ。
普段は厳めしい顔をしている父親が呆然としていたのを覚えている。初めて見るその顔は、幼さに任せて父親をなじろうとしたコロナは言葉を飲み込んだ。
母親を置いて他所に出ていた父親を責めようとした少女が、言葉を飲み込むほど衝撃的だった――あるいは、飲み込んだ“それ”は一種の毒だったのかもしれないが。
ラヴァルのように安全な場所に住む子どもと違い、コロナは冒険者の娘として切った張ったの世界が身近にあった。自分の家族が命を落とすことは想像しておらずとも、冒険者が“そういうもの”だと頭のどこかで理解していたのかもしれない。
ドミニクやカテリーナを慕う冒険者を、ある日を境に見なくなった。
ラヴァル廃棄街の北にある畑に向かった近所の住民が、そのまま帰ってこなかった。
命は助かっても、腕や足を失って冒険者を続けられなくなった者も多くいた。
ドミニクがカテリーナの夢を継いで料理屋を始めた後も、それは顕著だった。
毎日のように通っていた客が不意に来なくなったと思えば死んでいた。
ドミニクの元に挨拶に来た新人冒険者が初めての依頼で帰ってこなくなった。
そんなことはよくあることで、コロナも回数を覚えていないほどである。その度にドミニクは寂しそうにしていたが、コロナとは違った思いがあったのだろう。
そんなドミニクを見ていたからか、コロナは我が儘一つ言うことなく育った。
父と母、そしてコロナの三人の思い出が残る料理店で、増えては減る冒険者や町の住民達と接しながら毎日を過ごす。
ドミニクには料理の才能があったのか、最初は冒険者ばかりだった客層がいつの間にか大きく広がった。いつしか冒険者も町の住民も、大人も子どもも関係なく集まる料理店になっていた。
それこそがカテリーナにとっての夢で――“その夢”に浸っていると、時折無性に泣きたくなる。
カテリーナが命を落としたこの時期は特にそれが顕著で、接客していても笑顔を作れているか不安になるほどだ。
だからこそ、この時期になるとコロナは墓地に足を運ぶ。記憶にしか存在しない、最早永遠に変わることのないその顔を思い浮かべながら、亡き母に祈る。
歳を重ねたからか、記憶が幼い頃のままで止まっているからか、徐々に母親の顔も曖昧になっていく。多くの思い出があったはずだというのに、気が付けば思い出せなくなっていく。
墓標の前で祈る時にコロナの脳裏に浮かぶのは、カテリーナの死に顔だ。日常のありふれた記憶が薄れても、これだけは薄れない。
カテリーナはコロナを心配させないためなのか苦痛を堪え、それでいて死の足音が聞こえることを受け止めていたように穏やかな笑顔を浮かべたままで死んだ。
痛みよりも、死ぬことへの恐怖よりも、幼い娘を泣かせないよう死の間際まで意地を張り、苦笑するように笑ったまま死んだのだ。
――このままでいいのかな?
そんな母親の死に顔を思い浮かべながら、コロナは自問する。
幼い頃は母親の命を奪った魔物を憎み、冒険者になろうと思ったこともあった。護身術程度だが、少しだけなら戦う術もドミニクから学んでいる。
しかし、両親と違ってコロナには戦う才能がなかった。魔法を使える両親と違い、コロナには魔力がなかった。
もちろん魔力がなくても冒険者になれるが、魔法が使えるカテリーナでさえ命を落とすのだ。コロナの意思を酌んで少しばかり戦い方を教えたドミニクも、冒険者になることは勧めなかった。
止めたのはドミニクだけではない。バルトロも、ニコラも、他の冒険者も。それこそコロナを知る町の住民全員が止めた。
せっかくドミニクとカテリーナが建てた料理店があるのだ。将来は料理店を継ぎ、平和に生きるべきだと止められた。
――平和など、ラヴァル廃棄街を見回してもどこにもないというのに。
もちろん、コロナも理解している。自分が冒険者になっても早々に命を落とすだけで、そうなればドミニクを一人にするということを。
かといって、このままドミニクの手伝いを続けるだけというのも心に引っかかるものがある。将来を見越して少しずつドミニクから料理を学んでいるが、本当に“それだけ”で良いのかと疑問に思うのだ。
カテリーナの遺志を継ぎ、誰もが笑顔で過ごせる料理店を作り上げたい。しかし、それが自分にできるのかと不安に思う。
もしもドミニクやカテリーナのように強ければ、迷わず冒険者になっていたかもしれない。それでも、料理を通して町の住民を笑顔にしている“今の”ドミニクの在り方に共感する気持ちもある。
心の中がぐちゃぐちゃで、乱れる一方だ。故にコロナはその日も母の墓標の前に跪き、祈りを捧げながら自問する。
「お母さん……わたしはどうすればいいのかな? このままでいいのかな? わたしはお父さんやお母さんみたいに強くない……誰かを助けられるような強さもない……本当にこのままでいいのかな?」
カテリーナを失ってもその夢を継ぎ、それと同時にコロナを守り育ててきたドミニクの背中を見て育ってきたのだ。
このままでいいのかと、無性に不安になる。
だから、きっと――。
「わたしはきっと、“あの頃”のまま……お母さんが死んだ時からずっと、何もできない子どものままだよ……」
「――いや、そんなことはないんじゃないか?」
迷いを断ち切るようなその声を、待ち望んでいたのかもしれない。
酷く深刻そうな様子で何事かを呟いているコロナの姿に、時間をずらした方が良いかと迷った。しかし、コロナの呟きが風に乗って聞こえた時、レウルスの体は勝手に動いていた。
「――いや、そんなことはないんじゃないか?」
レウルスが声をかけると、コロナは弾かれたように顔を上げる。それほど集中して祈っていたのだろう。
「レウルス、さん……」
「よう、コロナちゃん。邪魔するよ」
敢えて気さくに笑いながら歩み寄る。その後ろにはエリザやサラ、ミーアも続いているが、コロナはレウルス達の姿を見て困惑したように眉を寄せていた。
「それ……」
「ああ、コレ? 森の見回りをしながら集めてきたんだ」
そう言ってレウルスが地面に下ろしたのは、一抱えほどある蔓で編まれた籠である。籠の中には色とりどりの、種類も雑多な花が山のように放り込まれていた。
「寒くなる前だからか、探せばけっこう見つかってさ。取り過ぎないよう注意はしたけど……」
ラヴァル廃棄街では墓標に供えるための花など売っていなかった。そのため、ラヴァル廃棄街周辺の森を見回るついでに集めてきたのである。
「門を通ろうとしたらトニーさんに止められたよ。いくら腹が減ってるからってわざわざ花を食べなくてもいいだろ……ってさ」
いくらレウルスでも腹が減っていなければそんなことはしない。かつては道草は物理的に食べるもので、虫も木の根っこも食べていたが、今の懐事情でわざわざそんなことをする必要はないのだ。
ついでにいうと、税として三割ほど花を納めることになってしまった。トニーに聞いたところ、希望する住民に墓参り用の花として配るらしい。
「じゃがレウルスよ……さすがにこれは取り過ぎではないか?」
苦笑しながら会話に参加してくるエリザだが、レウルスと同じように花が入った籠を抱えている。サラやミーアも同様で、レウルスとしても取り過ぎたと自覚していた。
「せっかくだし、全部の墓標に供えようと思ったんだ……ということにしておいてくれ」
「考えなしじゃなぁ」
「たまにはいいだろ? というわけでコロナちゃん、お袋さんに花を供えさせてもらっていいかい?」
籠をひっくり返せば墓標の根元を埋めてしまえる量である。さすがにそれはそれで失礼になりそうだが、レウルスとしては“命の恩人”の母親の墓標なのだ。根元どころか墓標全体が埋まる量を集めてきても後悔はしないだろう。
「は、はい……」
レウルスの行動に虚を突かれたのか、コロナは動揺したように頷きを返す。レウルスは籠の中から一際大きな花を取り出すと、墓標の根元に供えた。そして両手を合わせて目を瞑り、故人の冥福を祈る。
「レウルス、レウルス、そうやればいいの?」
サラは墓参りの作法を知らないのか、不思議そうな顔をしていた。レウルスとしても無意識の内に両手を合わせていたが、“この世界”での作法は知らない。
「これはなんとなくだ。失礼にならないのなら好きなようにすればいい」
「はーい!」
レウルスの言葉を聞くと、サラはレウルスを真似るように両手を合わせて目を瞑った。エリザは片膝を突き、両手を顔の前で組み合わせながら目を瞑っている。
「それじゃあボクも……」
ミーアはコロナとほとんど面識がないが、レウルス達に合わせて冥福を祈り始めた。精霊教徒だからなのか、右手を胸に当てながら目を瞑っている。
そうやって祈りを捧げるレウルス達をどう思ったのか、コロナは僅かに口元を震わせた。
「ありがとう……ございます」
そして、数秒迷ってから頭を下げたのだった。
「墓標が多すぎじゃない! 全部に供えるのって大変なんだけどっ!?」
「ワシらと面識がなくとも、“町の仲間”の墓標じゃぞ? 大変だろうとやるんじゃ」
「人間の風習だとそうなんだね。ボク達ドワーフだと、宴を開いて大騒ぎしながら死者を悼むんだけど……」
整然と墓標が並ぶ墓地で、エリザ達の会話が風に乗って聞こえてくる。レウルスは手近な場所にある墓標に花を供えつつ、困惑した様子のコロナに意識を向けた。
普段の穏やかで柔和な気配が鳴りを潜め、どこか負の印象を受ける。レウルス達が現れたことで笑顔を浮かべようとしているものの、それも上手くいっていない。
「いきなり押しかけてごめんな、コロナちゃん」
「いえ……本当にありがとうございます。こんなにたくさんの花を贈ってもらえるなんて、お母さんも喜ぶと思います」
「そう言ってもらえると助かるよ……それで、何か悩み事でもあるのか?」
レウルスとしても今のコロナを放っておくことなどできない。人間である以上様々な一面を抱えているだろうが、亡くなった母親に思いを馳せるにしてもコロナの表情は暗かった。
「悩み事……あるように見えます?」
「ああ。普段の笑顔を見ている分、余計に根が深いように感じる」
「笑顔……」
何が引っかかったのか、コロナは困ったように曖昧な笑みを浮かべる。
「……レウルスさん、一つ質問してもいいですか?」
「質問? 一つといわずいくらでも構わないぞ?」
自分に答えられる質問なら何でも答えるぞ、とレウルスは笑う。コロナが相手ならばいくら時間を割いても構わない。
「その、ですね……わたしって何ができるんでしょう?」
だが、コロナから投げかけられた質問はとても抽象的なものだった。コロナ自身質問の意図が明確ではないのか、小さく首を傾げている。
コロナにとっては重要だが、心の思うままに口を開いたらそんな質問が飛び出してきた――そんなところだろうか。
「料理はお父さんから習っている途中だし、レウルスさん達みたいに戦えるわけじゃないし……この時期になると色々と考えちゃうんです。わたしもお母さんみたいに強かったら違ったのかなって」
(そういうのはおやっさんと話した方が良いと思うんだけど……話せないから俺に聞いたのか?)
思ったよりも深刻そうな様子のコロナに、レウルスは内心だけで呟く。ドミニクに心配をかけたくないのだろうが、相談相手にレウルスを選んだのは何故なのか。
“この世界”においては同年代の異性に行う質問として不適当な気もしたが、レウルスとしてもコロナに聞かれたのならば答えるしかない。
「コロナちゃんにできることねぇ……料理は上手だし、気配り上手だし、掃除洗濯と家事は一通りできるだろ? 他にできること……というか特徴? を挙げるとしたら……そうだなぁ」
普段のコロナを思い返し、レウルスはつらつらと言葉を紡いでいく。
「料理店の看板娘で、笑顔が可愛くて、何よりも“優しい”……うん、そうだな。誰にでも優しいのが特徴かな?」
下手すれば八方美人と取られかねないが、コロナの特徴はその優しさだろうとレウルスは思う。
この世界で初めて触れた“優しさ”だからかもしれないが。
「他人に優しくするなんて、誰でもできますよ……」
しかし、その返答はコロナとしては不満だったらしい。どこか拗ねたように唇を尖らせており、そんな反応もまた目新しく感じられた。
「ははは、そりゃコロナちゃんだから言える台詞だな」
故に、レウルスは笑って受け流す。コロナは誰にでもできると言ったが、それはとんでもない間違いだ。
他人に優しくする――“この世界”で誰もがそんなことをできたならば、レウルスの人生は違ったものになっていただろう。
「親しい相手に優しくすることならできるだろうけど、見知らぬ他人にまで等しく優しくするってのは中々難しいもんさ。例えば、腹を空かせて行き倒れてる不審者を拾って助けたり……とかさ」
救われた側であるレウルスからしても、自分にはできないことだと思う。
(おやっさんがコロナちゃんの目につかない場所で野垂れ死ねって言ったのも、コロナちゃんが見たら助けるってわかってたんだろうな……)
見知らぬ相手を助けたことは不用心だとは思うが、それで救われたのだ。レウルスとしてはコロナが卑下するように『誰でもできること』ではないと断言する。
「少なくとも、俺はその優しさに救われた。救われたからこそ、今こうやって生きてる……それだけはコロナちゃんにも否定させない」
「…………」
真正面から見つめて断言すると、コロナは言葉を失ったように視線を彷徨わせた。
レウルスを見て、母親の墓標を見て、再びレウルスを見る。その姿はまるで迷子になった子どものようで、レウルスは温かく笑った。
「ま、出会って一年も経ってない奴の話だしな。帰ったらおやっさんとも話してみなよ。俺よりも多く、それこそ数えきれないぐらいコロナちゃんの良いところを教えてくれるさ」
普段は寡黙なドミニクだが、愛娘であるコロナを大事にしていることは傍目にも明らかだ。普段よりもぶっきらぼうに、それでいてしっかりと、コロナの“良いところ”を語ってくれるだろう。
「それでもコロナちゃんが納得できないのなら、“これから”できることを増やせばいいんじゃないか? コロナちゃんがしたいことならおやっさんも応援するだろうし、俺達も応援するよ」
――そのために必要だというのなら、上級の魔物だろうと正面から斬り伏せてやる。
物の例えとしてレウルスがそう言うと、コロナは唇を真一文字に引き結んだ。
「……それでレウルスさんが怪我でもしたら、わたしは嬉しくないです」
「それなら怪我をしなくても倒せるよう、俺も強くなるよ」
「死んじゃう……かも、しれませんよ?」
「死なないようにするさ。なんなら約束するか?」
そう言って、レウルスは右手の小指を差し出した。コロナは不思議そうな顔をするが、レウルスを真似るように右手の小指を差し出す。
「これは?」
「あー……昔聞いたことがあるおまじない? こうやって小指を結んでだな……」
指切りの風習はなかったのか、と内心で焦りながらコロナと小指を結んで上下に振るレウルス。
「指切った、と……ははっ、これで死ねなくなったなぁ」
命の恩人と交わす約束なのだ。どんな状況でも生きて帰れるよう、最大限の尽力をしなければならないだろう。
そして、その“お代”はコロナの背中を押すことである。
「よし、それじゃあ早速コロナちゃんのできることを増やしに行こうか」
「え?」
不思議そうな顔をするコロナに、レウルスは笑いかける。
「今から晩飯だし、おやっさんに頼んでコロナちゃんに作ってほしいなって……“頼むよ”コロナちゃん」
おどけるようにレウルスが言うと、コロナは呆気に取られたように目を見開く。
それでも、数秒もするとここ数日は見なかった心からの笑顔を浮かべた。
「もう……仕方ないですね。わたしもお父さんに頼んでみます」
「お願いします……いや、本当に楽しみだ」
大仰に頭を下げてみると、コロナの笑みが深まる。
一歩ずつでも前に進めればそれで良い。コロナがそう思ってくれれば、レウルスとしても嬉しく思う。
そうやって“これから”のことに思いを馳せながら、レウルス達は墓地を後にするのだった。