表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Gothic kitty  作者: 亞人子
1/2

第一章   監獄の城



イギリス―エイヴォン町

その町はとても観光客が多く、明るい人達で活気だっていた。


 町の郊外に、町の雰囲気とはまるで正反対の深闇に大きな城が聳え建っていた。

不気味な雰囲気に包まれた城の大きな門には、誰も出入り出来ない様に乱暴に鎖が巻かれている。深夜の雲の隙間から覗く青白い月光に照らされてその正体が露にされている。

壁中には古びて伸びきったツタが、城の不気味さを陪乗させる。

近付く者を全て追い払うかの様な不気味さのせいか、町の人は一切その城周辺に近付こうとしない。

その城の事を、町の人は”監獄の城”と呼んでいた。

* * *

 とある日の夜中、その城の前に白いシルクハットを被った男が現れた。

鎖が硬く張り巡らせている門の前に来ると、手に持っていたステッキで横暴に巻かれている鎖の中心にある錠前を軽く叩いた。

すると城の雰囲気には場違いな金属音を発すると、張り巡らされていた鎖がジャラジャラと外れ門がゆっくりと開いて行った。その奥は霜が降りていてよく見えない。

男はニッと口を引きつりさせ、余裕な表情を見せると迷い無く門をくぐり抜けた。

 全く手入れされていないと思わせる程荒れている広い庭園を進んで行くと、青白い城の正面に辿り着いた。

男は表情を変えずに巨大な扉の前に立ち、難なくドアノッカーを叩いた。

暫く何も動きを見せなかった扉が、「ギィ」という不気味な音を発しながら開いた。長年使っていなかったのだろうか。

男はわざとらしく後退りしてから中に入っていた。先は暗くて全く見えない。

巨大な扉は男が入ったのを確認したかの様に、男が入ると急に勢い良く閉まった。その音に驚いたのか、黒い鳥達は慌てて飛び立って行く。

 城の中は全くと言っていい程暗く、闇の世界が広がっていた。

唯一の助けとなる、大きな窓から差し込んで来る青白い月光を頼りに、部屋の中央に張り巡らされている螺旋階段に向かって足を進めた。

螺旋階段を上り終えると、そこから続く長い廊下がある一室に向かって伸びていた。

男は躊躇無くその部屋に向かって歩き出した。城中にステッキが床に接触する音が響く。

部屋の扉の前に辿り着いた男は、優雅に「コンコン」とノックした。

すると、キィィという音が鳴るのと同時に扉が開いた。


そこには、一人の人間がソファに座っていた。


* * *


その大きな瞳は男を見上げている。男はシルクハットを華麗に取ると、姿勢を低くして挨拶をした。

「初めマシテ。私はブルムダーク魔法学院魔法薬学教授を承りし者、名をバウスフィールド=セシルと申しマス。」

ニコっと笑むと傍にあった椅子に優雅に腰掛けた。少年らしき人物はぽけーっとしている。

「いきなりですが、コレを。」

セシルはその表情の侭、胸ポケットに探りを入れて手紙らしい物を取り出すと少年に渡した。

「……」

少年は渋々受け取り、きょとんとした表情の侭手紙の内容を目で読んだ。

[―ブルムダーク魔法学院入学手続き及び魔法界入界届け……今回は貴方の魔法界への入界許可と共にブルムダーク魔法学院の入学許可をお知らせ致します。ブルムダーク魔法学院入学手続きの方は次の項目にある道具及び指定物の方を…中略…我一同、貴方の入学を心から歓迎致します。ブルムダーク魔法学院教員一同、魔法大臣一同―]

手紙を読み終えると、少年はセシルに向けて疑問符を飛ばした。

「これは……?」

セシルは「そうですねェ」と呟いてから

「説明するより、実際行った方が分かりやすいと思いますヨ?」

そのセシルの言葉に促される様に少年はコクッと頷いた。

セシルはそれに満足したのか、椅子から立ち上がると部屋の一角にある大きな煉瓦作りの古風な

暖炉の前に足を進めた。

「?」

少年も首を傾げると危なっかしく暖炉の方に行った。炎は吉か凶か点いていない。

「良かったデス。炎が点いていたら魔法界へ行けない所でしタ☆」

セシルは独特の笑みで少年の心が読めたかの様に言った。しかし少年はまだぽーっとしている。

「さてと。…暖炉の中に入って下サイ。」

少年を暖炉の中に入る様促すと、自分もそれに続いて暖炉の中に入った。暖炉の中はセシルと少年が入ってもまだ余裕がある広さだった。

セシルは再び胸ポケットから何かを取り出し、右手で握った。

「いいですカ。しっかり掴まっていて下さいヨ? でないとバラバラになりますカラネ。」

冗談なのか本気なのかよく分からないセシルの言葉通り、相手は案外素直にセシルの腕をしっかりと握った。

「では…」

セシルは右腕を肩の高さまで上げると、何かを呟いて握っていた右掌を開いた。

「ブレイク横丁へ」

すると青白い炎が二人を包み、一瞬のうちに炎共消え去ったのだ。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ