初めて見たもの。
ガタンゴトンガタンゴトン…。
今、俺は電車の中にいる。この前担任に言われた通りに俺は名前も知らないど田舎に向かっている。大量の着替えを持って多分周りにいる乗客は「なんでこんな時間に学生が…」とか「何あの変な人」とか思っているんだろう。大丈夫、俺だって自覚ぐらいある。
「俺、なんでこんなクソ真面目に担任の言う事なんて聞いてんだろ。」
呟いてみた。誰も気付かないくらい小さな声で。
「間も無くーー駅ーー駅。」
ここだ。担任に渡された紙を頼りにする。このど田舎の駅に着くまで半日。なんかめっちゃ長く感じた。電車から降りるとホームにはあまり人が居なかった。俺と同じ電車に乗っていた奴らはもう少し後の少し大きな駅で降りるんだろう。切符を駅員に渡して駅を出た。こんなアナログな事、絶対俺の住んでるとこではないと思う。担任が言ってた通り駅にあるたった1つの機械は故障中だった。
「さっさと直せよ…。」
こんなくだらない事でなぜか俺はため息をついてた。駅から出ただけでこんなに田舎を感じるとは思わなかった。
その駅で今日から世話になる担任の親戚の人が車で待っていた。そのまま車に乗って約1時間。俺は今まで見た事もないような山奥の建物に辿り着いた。車内での会話は何もなかった。
建物の中に入ると担任の母親らしき人が現れた。そして案内をして貰った。建物の中は思いの外広くて迷いそうな所だった。その後、飯を食べて風呂に入った。風呂は珍しい風呂だった。(テレビで見た事ある五右衛門風呂ってやつだと思う。)その後、自由に使って良いと言われた部屋に向かった。でも、この建物にいるだけでなんだか息苦しかったので一言声をかけて外に出た。
外に出るとプラネタリウムでしか見た事がないような満天の星空が見えた。
「この辺みたいに暗いとこんなに見えるもんなのか…。」
初めて見た沢山の星々に見入っていると突然背後からガサッという音がした。不良だからかすぐに背後を見た。するとそこにいたのは髪の長い白いワンピースを着た少女だった。
「ねえ、貴方、誰?」
なんだか不思議な雰囲気だった。




