ど田舎に行くらしい。
ガシッ!ドンッ!
人を傷つけるのは好きだ。何ていうか何も考えなくていいから。つーか、喧嘩しすぎていつしかそれが快感になっていたんだと思う。
「ちょっとかすった…。」
珍しく顔に一発食らった。当たったのは結構久しぶりだったからいつもより少し痛く感じた。
俺は高野 海斗。いわゆる不良だ。何でこーなっちまったのかはむしろ俺が知りたい。現在高2。成績は底辺すぎて諦めてる。まあ、入学した時はそこそこだったんだけどな。高1の後半頃から不良に絡まれるようになった。ちなみに俺も何でかはよく分からない。まあ、その時までは殴り合いの喧嘩なんてしたことなかった俺だけど、初めて喧嘩した3年に余裕で勝っちまった。しかも、そいつは結構強かったらしい。そんで、俺は自分が喧嘩ではトップクラスな事を知った。だからって自分から喧嘩売ったりなんてしなかったぜ。でも、相手が喧嘩売ってくるとつい興奮して殴っちまう。俺もどうかしてるなと心底思う。でも、今回は少しやり過ぎたな。相手が刃物使ってきたから刃物奪って軽く切っちまった。流石にこれは学校に連絡行くかもな…。
そんで、学校に行ってみれば玄関で先こーがお出迎え。そのまま生徒指導室に直行。ついに退学もある気がして少し怖かったが、担任はこんな事を言った。
「今回はやり過ぎだ。でも、お前は真面目にやれば結構良い成績も取れる。だから校長に頼んで停学処分にしてもらった。だから暫くは学校に来なくて良い。その代わりここで停学期間は過ごしてもらいたい。」
そう言って数枚のプリントを貰った。何枚か写真があって、どれも山奥の森って感じだった。
「え?俺こんなとこで何ヶ月も過ごさなきゃいけないんすか?」
この辺は港が栄える都会だ。便利すぎて笑えるってレベルの都会。そこで生まれてからずっと生活してる俺がこんな田舎に??
「ああ。ここなら人も少ないから停学中に問題を起こすこともなさそうだし、何よりもお前の心が綺麗になると思ってな。」
そう言って少しドヤ顔した担任が死ぬ程キモくてちょっとだけ笑っちまった。
「ま、まあ、強制というわけではないが、停学にしてやった私の頼みだと思って聞いてくれないか?どうせ、停学になってもお前はまた喧嘩するだろ?」
図星すぎて何とも言えなかった。
「そ、そうっすね。ま、あんたの言う事もたまには聞いてやるよ。」
それをきくと、担任はどこか安心したような顔をした。
「ちなみにここはすごい山奥で、泊まるとこなんてないから私の知り合いの家に泊めてもらう事になってるんだ。そこだけよろしくな。」
んな訳で、俺は超ど田舎の山奥に行く事になっちまった。7月が始まってすぐの出来事だった。




