[5/24 18:55] ゲーム・スタート
『 た、大変です! ○○県篠山市で謎のテロリスト集団により…市が占拠されてしまいました。テロリスト集団の数は少なくとも300はいる模様だと警察は調べております。警察はこのテロリスト集団が同県内の軍の銃を奪った犯人グループだと見ています…。生存している篠山市の市民の方々、すみやかにその場から逃げてください!』
――…プツン!
俺はテレビの電源を消し、手に持っていた銃をホルダーに収める。
大体の状況はわかった。
なぜ、こんな事になったのかは分からないが、一つだけ確かな事がある。
それは動かなければ死が待っているという事だ。
脱出するのは困難だとは思うが、まだ手段はある。
――…今頃、彼女も無事だろうか?
ふと、俺は中学からの友達の事が気になり、自宅の電話から彼女、唯の携帯電話へと掛けてみる。
プルルルルッ! プルルルルッ!
だが、待っていても一向に電話が出る気配がない。
何度も掛けなおすが、その度に留守電話が聞こえる。
「…チッ!」
まさかとは思うが…唯はもう既に…。
最悪の事態を考えてしまうが、それをすぐに頭から消し去る。
――そんなはずない。きっと生きている。アイツがそう簡単にくたばるはずない!
俺はウェストポーチに銃のマガジンを二つとお茶が入ったペットボトルを入れて、ドアを開けた。
ここから先は相当な覚悟が必要だ。
そう、もう既にここは戦場なのだから。
「さて…」
俺はウェストポーチから市内の地図を出して、それを広げた。
現在地は箕田町。
俺が住んでいる町だ。隣町は藤間町。
藤間町と言えば、唯が確かここに住んでいたはずだ。
――もしかしたら、まだアイツは家にいて、部屋のどこかに隠れているかもしれない…!
そう思った俺は急いで彼女の家へと向かった。
移動してから10分後、唯の住んでいるアパートへと着くが、悲惨な状況だった。
各部屋の玄関のドアが全て開きっぱなしで、部屋からは血まみれの死体が幾つも見えた。
惨すぎる…。
俺は急いで2階へと上がり、唯の部屋へと向かった。
唯の部屋も玄関の扉が開けっ放しにされていた。
嫌な予感がして、額から汗が流れ出る。
――…まさか!
俺はホルダーから銃を抜き取り、構えながら部屋へと入った。
「な…!」
部屋内には唯の姿はなく、代わりにテロリストがその手に包丁を握り締めて倒れていた。
腹部からは血が流れていて、それが床に染みている。
銃をホルダーへとしまって、俺はテロリストに近寄り、身体を調べてみた。
息は既にない。傷口をもっと調べてみた。
傷口に弾丸の貫通した後がある。
銃を奪われて殺されたのか…。
――誰に…?
その答えはすぐに出た。
思い当たる人物は彼女しかいない。
ここは唯の部屋だ。
多分、彼女が奪い取って、それを発砲したのだろう。
――なら、唯は生きている…?
まだ確定した訳ではないが、彼女がまだ生きている可能性は高い。
だが、何処に行った…?
もう既に無事に脱出したのだろうか。
…いや、まだ数分前にニュースが放送されたばかりだ。
それは絶対にありえない。
――なら、何処に…?
「くそ…!」
携帯が繋がらなかった今、現時点で彼女を探す術がなかった。
仕方ない。
手がかりがない以上、唯を探すのは後回しにする。
一応、さっき電話で連絡をしておいたのだ。
着信履歴は絶対に残っているはずだ。
何かあったら、向こうから電話を掛けてくるだろう。
俺は唯の部屋から出て、アパートを後にした。
既に次の目的地は決まっている。
“七尾診療所”
そう。
親父が勤めている診療所だ。
七尾 桂
[所持品]
・ベレッタPx4 [20発]
・ベレッタPx4 マガジン(2)
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[]内は弾数。
()内は所持数。