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[5/24 23:00] 死の刻

――どうする!


考えている内にもテロリスト達はまるで私の居場所を分かっているのか、こっちへと向かってきている。

テロリスト達の人数は確認するところ、3人。

肩にはマシンガンのような銃を持っている


――このままでは見つかってしまう…。


だが、隠れるにしても管理室には隠れそうな場所がない。

私は銃を強く握り締め、息を殺した。

もはや、残された“選択肢”は一つだ。

生き残るためには手段は選べない。

未だにテロリスト達は真っ直ぐにこちらへと進行してきている。

私は意を決して、テロリスト達よりも先に先手をとった。

管理室のドアの隙間から、一人のテロリストへと銃を向けて、照準を合わせる。

ワルサーP99から銃弾が3発、テロリストに向けて火が噴いた。

テロリストの一人に1発当たり、足を押さえながら地面に倒れこむ。

それが合図だった。

残りのテロリスト達は銃弾が飛んできた方向へと、手に構えられたマシンガンで一斉に掃射した。

こちらへと無数の銃弾の雨が飛んでくる。


ダダダダダッ!



「…ッ!」


凄まじい轟音が廊下に鳴り響いた。

すぐさまに部屋に入り、ドアを閉めて、間一髪でそれから逃れる。


――あれが…マシンガン…。


まだ戦闘中だと言うのに、私の体は震え出す。

圧倒的に不利だった。

マシンガンと拳銃ではこうも差があったとは…。

こっちの手持ちの武器は拳銃とその予備のマガジンが一つ。

しかも、テロリストの一人は負傷させたとはいえ、まだマシンガンを持っている奴は二人も健在している。


「ふぅ…ふぅ…」


既に緊張感は極限状態だった。

そうだ。一歩間違えれば、死が待っている。

テロリストがこちらへと足音を立てながら向かってきている。

私はドアの影に隠れて、そっと伺った。

テロリストの足音はドアの前で止まる。

そして、ドアノブをゆっくり回した。

一人のテロリストが部屋に侵入して、私はそのテロリストの後頭部を銃で思いっきり殴る。

殴ったテロリストは気絶したのか、私の方へと倒れこむ。


「クソッ!」


残ったテロリストが舌打ちして、一歩下がり私に向けてと銃を構えた。

そして、すぐさまに引き金を引いた。


ダダダダダッ!


今度は部屋内に凄まじい轟音が鳴り響いた。

咄嗟に私は倒れこんできたテロリストを盾にして、その銃弾の雨を防いだ。

全弾防ぐ事ができたが、それでもその反動からか、体への負担は掛かる。

盾にしたテロリストの腹部からは大量の血が溢れかえっていた。

盾代わりを退かせる。


「まだ生きてやがる!?」


再び、最後に残ったテロリストがマシンガンを私へと向けるが、私はすぐさまに相手の懐に入ってそれを瞬時に蹴り落とす。

テロリストの手からマシンガンは離れて、床へと転がり落ちた。

私は握り締めていた銃をテロリストへと向ける。


「はぁ…はぁ…」


「や、やめろ…。やめてくれよ…」


テロリストからは命乞いをされるが、私は銃を下ろす気はなかった。


――こいつ等が…こいつ等が!



「はぁ…はぁ……くッ!」


私は怒りに任せたまま、引き金を引こうとした。


――バンッ!!



「……え?」


銃声と共に“私の足が撃たれる”。

放たれた砲口は私の銃からではなかった。


「うぁ…ぁああ…ッ!」


何が起こったかわからないまま、私は地面へと倒れこんだ。

テロリストの方も何回も瞬きを繰り返して、何が起こったかまったくわからない様子だった。

銃弾が飛んできた方向へと私は目を向ける。

そこには、足を銃で撃ち抜かれ、行動不能だったテロリストの一人がその手に拳銃を握り締めて、それをこちらへと向けていた。

それが最後の力だったのか、そのテロリストは今度こそ、地面へぐったり倒れこむ。

それを目の前にいたテロリストも確認したのか、私の手から強引に銃を奪い取った。


「…は…はは…ははははっ!」


奪い取られた銃を振り回しながら、テロリストは狂ったように笑い出す。


「形勢逆転だぜ。どうしたよ…? オラ、抵抗できるならやってみろよ!」


「く…あっ!」


駄目だ、力が入らない。

足からの出血が思いのほか酷い。動かそうとしてみるが、そのたびに血が溢れ出てしまう。


「へ…へ! できないだろ? できないんだろ!?」


「ふぅー、ふぅー…」


私はテロリストを睨みつけた。

それが気に食わなかったのか、不愉快そうな顔を私の顔に近づけてくる。


「なんだよ…。なんだよ、その目は! えッ!? 何か言ってみろよ!」


テロリストは私の顔に唾を吐き捨てて、私の腹部を蹴り飛ばす。


「ぐああっ!」


「へっ! イイ声出せるじゃねぇか」


「ふぅー……ぐっ!」


私の目から涙が溢れ出し、それが頬へと伝っていく。


「あー、いい顔だな。もっと泣け、もっと苦しめ!」


テロリストは私の苦しむ顔を見て、凄く満足そうに笑う。


「――でしまえ…」


「……あ?」


「お前達テロリストは全員、死んでしまえ…!」


「てめぇ! もう終わりだ! お前は死ね」


そう言って、テロリストは銃の引き金を引こうとした。


――…ああ。私、死ぬんだ…。


死を悟った私だが、何故か心には不安はなかった。

あったのは、三里への後悔。

きっと、私一人に管理室に行かせた事を悔やむだろう。

決して、彼女のせいではなのに…。


――ごめんなさい、三里さん。私、ここでリタイアです…。


覚悟をして、目を閉じる。

銃の引き金が引かれようとする中、あまりの激痛から意識がだんだんと遠のいていく。

意識が遠のいていく中、最後に“彼”の笑顔が頭に浮かんだ。


――桂…ッ!

 


…バンッ!!

 

 

大羽 唯


[所持品]

・ワルサーP99 [13発]

・ワルサーP99 マガジン(1)


[]内は弾数。

()内は所持数。



―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


一時、大羽唯編は進行停止です。(これで終わったわけではありません)

次回からは別の主人公からの視点に代わります。

ご愛読ありがとうございます。


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