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[5/25 00:00] ハッピー・バースデイ

―――プルルルル、プルルルル



「お願い、つながって!」


桂へと携帯で電話を掛けてみるが、まったく繋がる様子はない。

やはり駄目なのだろうか?

桂はもう既に……。


「ダメ、私が諦めちゃ……っ」


そうだ、私がここで桂の死を認めたら終わりのような、そんな気がする。

足に銃弾を当てられた分、かなり痛むが歩く事にはさほど影響はない。

桂を探さないといけない。

生きていると、そう携帯に電話を入れてきたのだ。

ここで見捨てるわけには、絶対にいかない。


机に置かれてあった私の銃を腰に下げた専用のホルダーに入れる。

ついでにこの部屋にあった9mm自動拳銃を二つ程度頂く事にする。

それをカバンに詰め込んだ後、私はこの火薬の詰まった匂いでいっぱいの部屋を出た。


廊下を歩き一階へと降りて、警察署を出る。

腕時計を見てみると、時間は……24時を過ぎていた。


5月25日、私の誕生日。




「……ハッピー・バースデイ、私」




別に可笑しくもなんともないのに苦笑して呟いてしまう。

どうやら、これで私も17歳になったわけだ。







年が増えた実感がわかないまま、外を歩く事10分。

私はバイク屋を見つけて、その中へと入った。

中には誰一人いない。



やはり、逃げたのか……それとも。



だがそこはとにかく、ここの店員がいない事は非常にラッキーな事だった。

これなら、バイクを盗んだとしても誰にも咎められる事はない。

いや、既にこの街全体がこんな事態になってしまったんだ。

今更、こんな事をしても罪もへったくりもない。


適当にどのバイクを乗るかを選んで、キーを漁っていく。

私が選んだのは大型のビックスクーター。

こんな足を怪我した状態では、さすがにミッションはきつい。

いや、私自身はミッションの方が普段乗っていたので、慣れてはいるのだが……。

この際、オートマでも文句は言えまい。

仕方ないのだ。

歩くのでは、あまりに足に負担がかかる。

見てみると、銃弾が当たった部分に巻かれた包帯から血が少し滲み出ていた。

これ以上は、負担をかけさせるわけにはいかない。

ここはバイクに乗って、行動した方が負担は軽くなる。

それにオートマの方が運転は簡単だし、今の足の状態でもその方が都合がよかった。


……テロリストに見つかる可能性は飛躍的に高まる。

だが、同時に生存している一般市民の人も呼び寄せる事ができるかもしれない


「どうせ、一度死んだ命だ。なら、せめて誰かを助けないと……」


そう言葉にして、ヘルメットを被る。

そして、バイクにキーを指してエンジンを付ける。

轟音にして爽快な、バイクから唸るエンジン音はまるで私を元気づけるかのようだった。

私はニヤリと口元に笑みを浮かばせた。

どうやら、私はこの戦場にだいぶ慣れてしまったようだ。


「さて……。それじゃあ、行きますか」


バイクを走らせて、そして私は道路を駆け抜けていった。

ヘルメット越しに風がビュンビュンと聞こえてくる。


すごい疾風だ。


バイクの速度を飛ばしているせいだろう。

見てみると一般道路で100kmを超えていた。

普段なら、この時点で即刻アウト。

警察に見つかりでもしたら、減点と罰金だ。

ぐんぐんとスピードが速くなっていく中、私は視界に映った大きな建物に目が行った。




市街一のデパート、「リバティ」。




かなりの広さなので、市街から逃げ遅れた一般市民が隠れこむには絶好の場所なのだ。

明かりが点けられていないために、外からでは内部がどうなっているかわからないが……。

だが、可能性はあるだろう。

もしかしたら、桂もそこにいるかもしれない。

期待を胸に秘めて、私はバイクを「リバティ」へと向かわせた。















「リバティ」に着くと、私は入口の近くにバイクを停めた。


キーをズボンの後ろのポケットに入れると、このビルを上から下までゆっくり眺めていく。

まるで、そびえ立つ古城のようなそんな嫌な雰囲気をかもし出していた。

私は9m自動拳銃を手に持ち、カバンに入れていた懐中電灯のライトをONにしてもう一方の空いた手に持つと、デパート内へと入っていく。


「くっ……もう……ッ!」


無理して歩くと、やはり痛い。

それはゆっくり歩いていても、一緒だった。

足を見ると、さっきよりも血が少し滲み出ている。

どうやら、これは先に包帯の替えが必要になりそうだ。

それに少しお腹も減ってきた。

私は最初に包帯の変わりになるモノを求めて、1階をくまなく探していった。

他のエリアもそうなのだが、生活用品エリアの店はズラリと私がいる場所から向こうの奥までズラリと並んでいた。

それを一つ一つ、慎重に調べていく。

入ったときに気配でわかったのだが、どうやら1階には誰もいないのかもしれない。

足音ひとつ聞こえないのだ。

まぁ、テロリストが相手なら足音を消して移動する事もできるだろうが、だがしかし、それでも何か、こう直観的な危険信号が感じられない。

そう思いながら、次の店に飾られている看板を懐中電灯で照らした。

そして、ようやくお目当てのお店を見つける事ができた。



……薬局だ。



店内へと入ると、散らばってはいるものの、それでもかなりの薬品がまだガラスケースや売り場の中に残っていた。

奥へ進んでいくと、新品の包帯が余分な程に売り場に並べられていた。

新品の包帯を一つ手にすると、私は地面に座って巻かれていた包帯を外してやる。

傷口が露わになって見てみると、意外にも傷口はちゃんと器用に縫われていた。

包帯からにじみ出ていたのは、その縫われた傷口の隙間から出てくる血だったのだ。

三里がここまでしてくれたのだろう。

だが、それにしては……すごい。


ただの警察官がここまで出来る事なのだろうか?


そんな疑問をふと思いながら、新しい包帯へと巻きなおしていく。

巻き終えた後、少し歩いてみた。

さっきよりもなんだか、少しだけ楽になった気分だ。

当たり前だが、まだ痛みはある。

それでも、ここまで痛みが少なく感じると思うのは、傷口がちゃんと縫われていた事を見たからだろうか。

包帯の代えを終えた今、後はこのデパート内に生存している人がいるかどうか、確かめるだけだ。




――グゥ〜ッ




「あぅ……」


本当は緊迫しなきゃいけない状況だと言うのに、私はお腹をおさえながら言った。

そう言えば、夕飯を食べていなかった。

テロリストを殺してしまった後、急いで逃げる準備をして家を出たのだ。

だから、学校でお昼弁当を食べた以降、何も食事を取っていない。

せっかく作った自家製パスタが……、今振り返るとすごくもったいないと思えてしまう。

逃げてくる前にせめて食べておけばと、今後悔した。

これは……仕方ない。

人を探索する前に、まずは先に腹ごしらえをしておこう。

次の目的が決まった後、私は怪我をした足を気遣いながら、ゆっくりと歩き始める。


目指す場所は地下1階。


食料品のエリアだ。






この作品は久しぶりの更新となります。

「murder game」の読者様、お久しぶりです。

桃月です^^;

さて、この小説……本当に放置しておりました。

というか書く気がなかったというか…←おい


でも、やっぱり未完成のまま放置というのもやっぱりお気の毒なので……。




連載を再開したいと思います!




いやね、「僕なり」とこの小説と後、一つの新規小説の「サイレント」を書いていますけどね

やっぱり、掛け持ちっていうのはしんどいですw←ならやめろ

でもね、小説ごとにジャンルが違うのでそこは助かっています。

現在は「僕なり」が一応桃月のエース的な作品ですが、その「僕なり」で執筆が進まない時とかにこういった他のジャンルを見ると意欲が増してついつい書いてしまうというわけなのですw←こら



え? いや、「僕なり」の執筆に困っていない時もちゃんと連載はするかって?



もちろんですとも!!!←



さて、まぁ長くなりましたが……。

「MURDE GAME」連載を再び開始させます!

また、この小説が完結次第、一から改善すると思います(あまりに最初の自分の分が……うむ、まぁなんというか……ねぇ〜w←)


では、また次の話で逢いましょう^^ノシ

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