出会い
今回は仲尾とキネヤが出会った話しです。
東北地方にある神代神社。参拝客は来るが収入が足りず、副業を営みなんとか成り立っている。いつ無くなってもおかしくない貧乏神社である。
ここの神主は仲尾淳と言う若い青年だ。先代の神主の父の後を継ぎ、神代神社の神主になって2年目の新米神主である。両親は他界し、兄弟もいない仲尾は日々を坦々と過ごしてきた。
しかしある日仲尾は不思議な出来事に出会う。いつものように境内を掃除していたら、どこからか声がする。耳を済まして聞いてみると、どうやら本殿の方から声がするようだ。
「誰もいないはずなのに?」
近づいてみるとそこには、寝転びながら鼻唄を歌う老人がいた。
「あのーすみません」
恐る恐る声をかけてみると、老人は鼻唄をやめて振り向いた。
「なんじゃ?」
鼻唄を邪魔されたのが癇にさわったらしく、どことなく不機嫌そうだ。
「ここは御本殿なので、部外者のかたは入ってはいけないんですけど」
老人の態度にいらだち少しきつめに言ったが、それでも老人は動こうとしない。
「なぜわしがここを出ないといけないのじゃ」
その上この発言である。仲尾もいらだちを通り越しあきれてきた。
「ここは貴方の家ではなく神社なので自分の家にお引き取りください」
「ここがわしの家だが?」
ん?今なんって言った。『ここがわしの家だが?』
やばい頭が混乱してきた。建造物侵入の上に虚言癖?まずここに住んでいたなら、俺が気づかないなんてあり得ない。毎日掃除をして、朝拝に夕拝をしていたのだから。混乱した頭を必死に整理しようとしていたら、先に老人が口を開いた。
「おぬしが気づかなかったのも無理はないいつもは見えないようにしてるからの」
なんだこの老人、俺の心を読んだ?じゃないとそんなこと言わないし、落ち着こうとしてたのにまた混乱してきた。それにいつもは見えない?
そんな俺のことなんかお構いなしに、老人は衝撃的な告白をした。
「でわ名乗ろう、わしはこの神社に祀られている氏神のキネヤじゃ」
これが、俺が出会った神様との不思議な物語。
初めての連載小説です。
至らない点がありましたらアドバイスお願いします。