わたくしは己が手で決着をつけんと、白き衣の老人と相対し 2
今話は途中、倫理的に不快な思いをさせてしまう個所があります。ゾンビ系の話が苦手な方はお気を付け下さい。
ですが最後の方で、そういうの全部吹き飛ばすあの人が……!
奴が来るぞ……!
駆け付けろ、アロイヒ。
彼は果たして彼女の――妹の涙を止めることができるのだろうか。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
どう致しましょう。
不測の自体が発生致しました。
緊急時呼び出し用の飾りを、確かに引っ張ったのですが……犬(?)が、一向に駆け付けてくる様子がありません。
何故? 何故ですの?
わたくしは、顔にはおくびにも出さないようにしつつ、内心では混乱しておりました。
誰も駆け付けて下さらないとなると……この場は、わたくしだけの力で切り抜けろと?
無茶ですわ。
無茶苦茶ですわ。
後でピートには是非とも配下の教育不十分に対する責任を取っていただこうと思います。
勿論それも、この場を生きて帰ることが出来れば……なのですが。
「お下がりなさい。わたくしは、本気ですわよ……!」
いま現在、わたくしは。
役に立たないと判じながらも犬(?)の尾飾りを左手に下げたまま。
右手に握った扇を老人の1人に突き付けております。
小柄な子供の体も、時には有利に運ぶことがありますのね。
わたくしが男の臑を1人を扇で打ち付けた際、生じた隙に。
体の小ささを活かして、はしたないことですが居並ぶ男衆の股下を潜り抜け、囲みを突破することに成功しました。
しかし小さな人垣を潜り抜けたとしても、この場からの単独逃亡は無理があります。
そして囲みを抜けたわたくしは、相対してしまったのです。
わたくしの不利な状況を前に調子に乗ってか、わたくしに何も出来ないと思ってか。
近くまで接近して来ていた……この場で1番仰々しい身なりの、つまりは最も権力を握っていそうなご老人と。
身体能力に自信がない場合は、荒事は他者に任せて下がっておくことこそ賢明な判断だと思うのですけれど。
このご老人は、少々迂闊であったのかもしれません。
わたくしのような幼い女児に、接触を許してしまうのですもの。
わたくしが男を殴りつける様を、近くで見た為でしょうか。
ご老人は硬直しておりました。
好機を見逃す程、わたくしは愚鈍ではないつもりです。
わたくしは即座に老人の身体を床へと跪かせ……背後から首に、扇を突き付けました。
動きがあれば、速攻で老人の頭部なり顔面なり肩なりに打撃を加えることが出来るよう、覚悟を決めて。
ですが、わたくしは知りませんでした。
この老害聖職者の方々が、本当に老害であったことを。
彼らが……わたくしの抵抗を完全に封じる、有効な手段を隠し持っていたことを。
わたくしは、この権威の塊のような御老体を盾に囲みを抜けようと思っていたのですけれど。
周囲を取り巻く男達ばかりを、気にしていて。
老害のお1人が、不穏な指示を出していたことを。
指示を受けた従者が廊下の向こうから誰かを連れて来たことも。
……見逃してしまいましたの。
見咎めていたとしても、わたくしにはどうすることも出来なかったのでしょうけれど。
「――やあやあ、流石は侯爵家ともなると御令嬢とはいえ勇ましいものですなぁ。ましてやお嬢様は彼の竜殺貴公子の妹御とお聞きしますよぅ。勇敢なのも道理でしょうなああ」
緊張の高まる、空間に。
新たに知らない声が響きました。
今までに聞いたことがないと断言の出来る、気味の悪い喋り方で感情の起伏もなくつらつらと流れていく、声。
どことなく粘着質な響きを持った……老人方とは、違う声です。
見れば唯一の出入り口を背に、見慣れぬ方が立っておられます。
今までいなかった、と。
不在を断言出来てしまう……白衣を纏った、奇抜な髪色の男性が。
男性の毛髪は、少なく見繕っても赤・青・黄・黒・灰・緑の色を宿しておいでです。
6色の頭部なんて初めて見ましたわ。
染髪されているのかしら……。
わたくしが怪訝な思いで、男を見るも。
男はわたくしに対してにやにやと、どこか厭らしい余裕の笑みを向けるのみ。
何事か謀っているような、嫌な空気を纏っております。
「いやはや……しかしながら侯爵家の御令嬢ですよ? 少々のお転婆は元気がよろしいと好意的に受け止められそうな気がしなくもなくなくないですが、そんな蛮勇そのもののお姿を見てーぇ………………御両親が何と仰るでしょうか、ねえぇ?」
「貴方、どなたですの? わたくしのことを御存知のようですが……わたくし、貴方にお会いしたことがありましたかしら?」
「いえいえいえーえ? ありませんよぉ? ですが、ねぇ、やっぱり親子ですねぇ。……そっくりですからぁ、御両親にひぃ」
「…………貴方、何者です」
「これは失礼をばー! 私は此方の第18研究室の末席にて研究をお許しいただいている有象無象の1人にございましてぇ! お嬢様のご両親には大変、大変、たーいーへーん! お世話になっておりますですでふよー……ふふふ、常日頃からぁ、ねえ!」
「なんですって……?」
聞き捨てる事の出来ない言葉に、わたくしの声は自分でも聞いたことがないほどに低く尖ります。
この男の言葉を、聞いてはいけない。……とも、思いますのに。
ですが、聞かねばならないとも……強く、思います。
男がわざとらしく口にしたのは、わたくしの……両親の、こと、ですもの。
「ええ、えーえぇ、とってもお世話になっておるのですぅ。得難い、研究素材として……」
にたり、と。
男の顔が……尋常でなく、歪みます。
善意でも悪意でもない、ですが純粋で醜悪な何かで。
歪む。
「ソおダァ、お嬢様あ……ご覧になります? 私共のぉ、最・高・傑・作!!をぉ」
気持悪い男の、ねばついた猫撫で声に。
わたくしをにたにたと見下す、眼差しに。
わたくしの背筋を、ぞくりと……怖気が駆け抜けました。
男の目には、底知れぬ奈落しかありません。
社会性や協調性、他者への共感。
人間としての真っ当な生活を営むのに必要な筈の、諸々をどろどろに溶かし崩して損なった……深い底なしの穴しかなかったのです。
何か良くないことが起こると、察せずにはいられないのです。
「さてぇ――御両親がお嬢様のお転婆ぶりを何とお思いになるか、直接お聞きしてみましょうかねぇぇえ? 泣いてしまわれるかもしれませんねええええ」
そう言って、自然さのまるでない芝居がかった……大仰な手ぶりで、男が指した先では。
男と同様、白衣に身を包んだ男達が……
………………白い布の掛かった、檻の様な物を運んでいて。
車輪の立てる音は、檻の中身が空ではないことを示し、て……
「――……っ」
取り払われた布の下から、垣間見えた姿、は……
「おと、う、さま、お、かあさ、ま……?」
確かに覚えのあるお姿で。
確かに、わたくしはよく知っている筈ですのに。
目の前の方々が、確かにあの御2人なのだと……
わたくしは、どうしても断言出来ませんでした。
いいえ、断言したくはなかったのです。
信じたくはなかったのです。
違う『ナニか』だと思いたかったのです。
あの御2人が。
わたくしの、愛する両親が。
あのような……無残、な。
檻からゆっくりと、緩慢に、体を引き摺る様にして。
現れたお姿は、懐かしい両親のモノ。
……生前そのままの、お姿ですのに。
わたくしの行方知れずの両親が、すぐ目の前にいますのに。
『ソレ』を両親と同一の存在だとは……認めることは、苦しくて。
わたくしの両親は、確かに亡くなったのですもの。
遺体を前に、わたくし、もう生きてはいらっしゃらないのだと確かめましたもの。
死を信じられずに、何度も、何度も。
何十回だって、確かめたのですもの。
両親はもう動かないのだと。
もうわたくしに笑いかけることも、お話して下さることも。
何もないのだと、諦めることが出来るまで、何度も。
御2人の葬儀が終わるまで、何度だって確かめたのですもの。
両親は、確かに亡くなったのです。
もうこの世には、いないのです。
動く筈が、ありません。
――少なくとも、真っ当な手段では。
「かーんどーーうーーーのぉ、ごったいめぇーんだあ!!」
ケラケラと、笑う男の下劣な声が聞こえます。
ですが、わたくしの頭に意味が浸透することがありません。
あの男は、わたくしにとって毒になることしか言わない。
無意識の内に、男の声から意識を遠ざけるわたくしがいます。
「ほーらーー、ほらほらーーー、どうしたんでっすかぁ、お嬢様ぁぁぁ? いーとーしーの、御両親ですよぅ! ごりょーっしぃん!」
わたくしは。
無言で。
徐に靴を片方、手に取って。
男に向かって投げつけました。
「ぎゃふっ!?」
……これで静かになりましたわ。
ですが、わたくしの胸の内は、少しも静かになり様がありません。
ざわざわと、ぐわぐわと騒ぎ、暴れ、荒れ狂う。
『ソレ』は。
不遜にもわたくしの両親と奇妙に良く似た……いいえ、わたくしの両親なのでしょうか。常に鈍ることの無い様に心がけていた思考が空転し、物事を深く考えることを拒みます。
わたくしの両親の様な、そうでない様な、『ソレ』は。
立って、動いて。
そして。
わたくしの両親は死んだ筈です。
肉体をこの世に捨て去り、とうに天の御園に旅立たれた筈なのです。
ですのに。
目の前の『ソレ』はお父様とお母様の抜け殻。
空っぽな、亡骸の筈ですのに。
亡骸の筈の両親が、喋ったのです。
奇妙に掠れ、ざらついた……不自然な甘い声で。
わたくしの名を、呼びましたの。
[――みれぇぇぇぜ、みれェェぜ]
[みれぇぇぇぇ……ぜ]
……現実さんにお暇を告げてもよろしいかしら。
→ ミレーゼ様は現実逃避がしたい
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
目を背けても、仕方がないことは彼女もわかっていた。
だがこれ程までに現実を直視したくない、耐え難いと思ったことも今までになく。
どんなに辛いものであっても、現実から目を逸らしては生きていけないとわかっていても、それでも。
現状に置いては、物理的にも生きていけなくなる一歩手前の切羽詰った事態に陥っていたとしても。
ここで目を背けては、いけないとわかっていても。
それでもまだ幼い子供にとって、目の前の現実は『見てはいけないもの』だった。
わかっていても、なお。
辛く思うあまり、目を瞑ってしまいそうになる。
彼女の父は。
[み、みれ、みれーじぇ、じぇ、じ、え、え、ぜ、ぜ、ぜぜぜ、ぜ、みれ、みれ、みみみ、み、みみれ、み、み、みれ、れ、れ、れみれ、み、みれーえぜ、か、かかか、かわ、わ、かかわ、かわ、かかわわわ、わ、かわ、かわい、い、みれ、れれれ――……]
彼女の、母は。
[みれーぜぇ、わた、わ、わたくし、の、かわいい、みれぇーぜえ?]
こんなことを口にするような人間ではなかったのに。
[あ、あな、たたた、た、あ、あなた、は、あ、あああ、あ、す、すばら、ししい、いい、おやくめ、を、さず、さ、ささ、さずか、ああ、た、の、の、おおお、の、よ、う、あ、ううぅ、あ]
[むね、う、うう、むね、を、はり、はあ、う、はって――胸うぉ張っテ、こ、こここの、栄誉ヲ、おお、はた、は、はたし、なさあああ、ぃ、い、いいい、い……]
死して弄ばれた肉体は、本来の姿とどれだけ似ていようと。
内包しているべき人格は既に失われ、比べようもなく遠い存在へと変質していた。
神を冒涜する行為。
根源的な禁忌に触れる、おぞましき行い。
だがそれを、神に仕える筈の者達が秘密裏に重ねていたというのか。
罪の証拠は、今。
幼い少女の眼前で、その両親の形を取って踊る。
まるで糸に吊られた、操り人形のように。
かくりと力なく落ちた、肩と首。
締まりなく緩んだ口からは、かすかすと砂を擦れ合わせるような耳障りな音が零れる。
化粧でも施されているのか、何らかの処置がされているのか。
表面上は瑞々しく張りのある様に見える、死人の肌。
しかし皮一枚をめくれば、そこにはカラカラに乾燥して水気を失い、繊維の集まりのようになったナニかしかない。
変わり果てた姿で、変質した肉体で、生前と同じ動きを再現しようとする為か。
今の肉体の状況には不相応な仕草は、一々不自然に目についた。
それがより一層、彼らを人形のように見せるのだ。
作られ、指示の通りに忠実に動きを再現しようとする様は、本物の人形であればいっそ滑稽にも見えただろう。
だが、この2人は死人。
その肉体は、かつては潤沢な生命力に満ちて動いていたモノ。
生き物の、人間の身体だ。
人間の身体が、1分1秒という時間が経過する間にも冒涜されていく。
そして、ただでさえおぞましく衝撃を受けるだろう光景を。
見も知らぬ他人のものであっても、きっと衝撃を受けただろう光景を。
他ならぬ、死んだ2人の実の娘が愕然とした顔で見つめている。
ミレーゼ様本人も知らぬ間に、彼女の瞳は零れおちそうな程に見開かれて。
愕然と、一切の動きを止めていた。
確かに死んだ筈の2人が、その亡骸が動き、声を発する程に。
さらさらと流れ落ちていく砂時計の砂のように、彼女の顔から色が失われていく。
表情は、とうの昔に消えていた。
ただ。
拒絶したくてもしきれない、愛する両親の変貌に。
その悲しい、変わり果てた姿に。
精彩を欠いた幼い顔で、彼女はぽつりと呟いた。
「こんなものが……。誇りを失くした、こんな醜悪な操り人形が……わたくしの、両親である筈が、ありませんわ」
偽者とはいわない。
だけどわたくしの愛した『両親』ではない――。
その言葉を聞いて、果たして彼女の両親は薄情な娘だと詰るだろうか。
怒るだろうか。
悲しむだろうか。
それとも……己の不甲斐無い姿をこそ、恥じるだろうか。
死んだ者の思うこと、考えること、その反応は得ることが出来ない。
壊れそうな心を必死で繋ぎとめようとする娘の言葉は、受け止めてほしい人に投げかけることも出来ず、亡骸に当たって跳ね返るだけ。
動く亡骸が、生前に娘と呼んだ彼女の方へと。
ずるずる、ずるずる……足とだらしなく垂れた衣服を引きずる様にしてゆっくりと近づいてくる。
体温を忘れ去った、冷たい屍。
懐かしい父の手で、温かかった記憶ばかりの母の手で。
その手は今、ひやりと冷たく硬いばかりで。
弱々しく拒絶しながらも……激しく抵抗することは出来ずに。
愛している筈の両親に、細い腕を痛いほど強く掴まれて。
ミレーゼ様は瞳を虚ろに曇らせ、ほたりと大粒の涙を落した。
現実に対抗するには、まだ幼すぎる娘。
侯爵家の令嬢、ミレーゼ・エルレイクは……
2人の体で包み込まれるように、拘束された。
例えそれが両親ではないナニかに成り果てていたとしても。
それでも幼く、親を亡くしたばかりの彼女には……両親の姿をしたものを、傷つけることは出来なかった。
贄にされる。
それこそがお前の使命だと、傲慢にも押しつけて。
贄にされる。
身勝手な理由で幼い命を犠牲に捧げようと、痛痒すら覚えずに。
生贄にされる。
他ならぬ、両親の亡骸の手で。手に。
握られた儀礼用の短剣が、ミレーゼ様の前で大きく振りあげられる。
「止めて、お父様! お母様……!」
咄嗟に身を捩って避けた少女の肩口を、浅く切り裂き。
短剣から、赤い血が滴り落ちた。
「無駄な抵抗を……」
醜悪さを増して、老人が嗤う。
ミレーゼ様を取り囲み、何人もの老人が。白衣の男達が。
周囲を囲むように控える、神に仕える男達が。
わらう。
わらう、わらう、わらう――。
少女が藻掻こうが、抗おうと足掻こうが。
それは全て無駄だと、ここで死ぬのは免れないと。
白い衣を纏った者達が、8歳の幼女を取り巻いて嗤っている。
それはなんと狂った光景なのだろう。
ああ、このまま幼い命は散らされてしまうのか。
このままミレーゼ様が殺されてしまうのか、と。
誰もがその未来を疑わず、場の空気に酔いしれたその時。
いきなり天井が崩落した。
否、訂正しよう。
神聖な空間を素敵に演出する、職人技が光る芸術的なまでの逸品――秘儀の間と呼ばれるこの部屋の、東側の壁を占拠する巨大な薔薇窓に。
何かが猛然と外側から突っ込んできた。
それはそれは巨大な、ナニかが。
そして、誰かの……――ナニかの、悲鳴が轟音を伴って響き渡った。
『がぎゃぁあぁああああああああかかかぺぎょぁぁぁぁあああああああああああああああああああっっっっっがふぅっ!?』
豪快なる、邪悪な響きをうっすらと残して耳障り悪く響く悲鳴。
ナニかは破砕する天井の瓦礫、粉砕された薔薇窓の色硝子を盛大に撒き散らしながら薔薇窓のど真ん中を突き破り、そのまま室内の床まっしぐら斜め45度の角度で墜落。そのまま大きい物では人間をいちころで押し潰してしまえそうなサイズの瓦礫諸共ぎゃりぎゃりぎゃりと鈍い音を立てて床を削りながら部屋の中へと押し寄せる。大質量の、見るモノを圧倒する迫力で迫るナニか。
いきなり天から押し寄せたナニかに、室内の誰も彼もが怯まずにはいられない。
そして何故か。
薄ぅ~く悪い予感を伴って。
だっぱぁぁぁと涙を流していたミレーゼ様の小さなお耳に。
「いぃぃ……っやっほぉぉ――――う!!」
なんか聞き慣れた声が聞こえた。
こんな場所で、聞こえる筈がない思っていた声が。
瞬間。
空耳を疑うよりも、早々と。
ミレーゼ様の顔から、涙が引っ込んだ。
『理不尽の権化』が唐突に乱入してきました。
→ 幼女は真顔で硬直した!
「やあ、シリアスさんお疲れ!」
「あ、カオス君……すごい汗だね?」
「ああ。準備運動してたんだよ。でも随分と待たされちゃったな……ラジオ体操だけじゃ時間が余ってさ。雑誌に載ってたバストアップ運動してたんだ」
「カオス君、男の子だよね……? えっと、お胸大きくしたい、の……?」
「そんなことはないけど。暇だったから」
「でも、そっか……もうカオス君の出番なんだね」
「うん、僕の出番なんだ。体は十分に温まったし、そろそろ本気を出さないと、ね……」
「私も……もっと、がんばりたかったな。もっとカオス君やコメディさんと一緒に、同じ舞台で……がんばりたかった」
「仕方ないよ……僕らは、表では並び立てないんだから。でも、シリアスさんの分も頑張るから、さ。舞台裏で、見ててよ」
「うん……!」
→ 次回:えっ? 遠距離主従再会の時!?
以前の、ギルたち視点の続きに飛びます。ちょっと、時間を遡りますよ!
某エプロン姿の竜殺しさん登場の場面直後です。




