表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
イージー・ラバー  作者: いちる
シガレット
5/23

物は試しの二本目 そのいち

スッキリと目が覚めた。

起きた時間はいつもの休日よりだいぶ早かったのに、ゆっくり休めた気がする。

起きてキッチンでミネラルウォーターを飲む。体の中に沁み渡る感覚。


ペットボトルを持ったままリビングに行くと、テーブルには発泡酒の缶が2本。

持ち上げると、一方にはまだ中身が残っていた。

昨日の夜のまま。


「…夢、だよねぇ」


呟きに返事は帰ってこない。

当たり前だけど。


とりあえずテーブルを片付けて、ベランダで回る洗濯機を眺めつつ朝食代わりに昨日買ったスイーツを食べる。

コレおいしい。また買おう。


そのあとはいつもの土曜日の過ごし方を頭に思い描く。

クリーニングにスーツを出して、ネイルサロンに行って、ついでに買い物もして、時間があったらDVDでも借りて、あ、払込の用紙があったっけ。


ちらりと時計を見れば、まだ8時半。

時間はたっぷりある。


「ランチもしてこようっと」


行きたいお店があったのだ。

素晴らしい名案に鼻歌でも歌いそうな気分になりながら、クローゼットのドアを開ける。

買ったばかりワンピースに目が留まるけれど、やめておく。一目惚れして買ったけれど、フレアのスカートが可愛らしくて、着る勇気がイマイチ出ない。

今日は深いグリーンのオフタートルニットに、スキニージーンズにしよう。

いつもより華やかなメイクをして、髪も仕事のときのまとめ髪じゃなくハーフアップにして、足元はいつもよりヒールの高いパンプス。

忘れ物はないわよね?

いつものように、出かける前に玄関で荷物を確認する。


スマフォに、お財布に、定期に、化粧ポーチに、鍵に…そうだ、シガレットのポーチ!

昨日家に帰ってから吸ってないから、まだ通勤バッグの中だった。


部屋に戻って、リビングに放置していたバッグからポーチを出す。いつもならもう確実に1本は吸っているのに、今日は吸いたいとは思わなかった。

他に忘れ物はないかと見回したリビングで、床にぽつんと落ちているものがあった。きっと、バッグの蔭にあったんだろう。


一本だけ減ったイージー・ラバー。


一瞬悩んで、まぁ持ってくかとバッグに入れる。



期待してるわけじゃない。

ただ、そこにあったからよ。

10/26投稿してすぐに改稿しました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ