【ショーショート】終末、胡蝶の夢 〜終わりは突然やってくる〜《嬉しくても、悲しくても》
「胡蝶の夢って何だい? コジマくん」
「全ては夢かもしれないってことさ、ヤマダくん」
「じゃ、このランチセットも?」
「それを食べる君もね」
「馬鹿馬鹿しい。だいたい夢の中ってのは、無限に食えると決まってるものだ」
「君の夢の性質は知らないがね」
「ほれ見ろ。1人前を食べきれなかった」
「存外少食なことは伝わったよ」
一週間後。
「やあ、ヤマダくん。ボクは今日デズニーランドに行くんだ。一緒にどうだい」
「いや。行きたいけど、僕は今回は」
「君がそう言うのは10回目だよ。いつまで先送りするんだい?」
「だってデズニーだよ? 怖いじゃないか。陽キャの巣窟だよ」
「君は随分単純な数式で生きているようだね」
二週間後。
「見たかいヤマダくん。巨大隕石が降ってくるってニュース」
「見たよコジマくん、恐ろしいよ! ぼくはまだデズニーに行ってないのに!」
「来週降ってくるんだって。だから今日こそ、デズニーに行かないかい」
「う、うーむ、それは……」
三週間後。
「ヤマダくん! 今日だよ、今日が隕石が降ってくる日だよ!」
「ウソだ! ぼくはまだデズニーに行ってないってのに!」
『臨時ニュースです!』
「人類滅亡寸前に、テレビで流すべきニュースがあるってのかい!?」
「嬉しいお知らせです! 隕石はミサイルにより打ち砕かれました!」
「「……」」
「「ワーーイ!!」」
「ヤマダくん、ボク達助かったんだよ! 最高だね!」
「ああ、なんて素晴らしいんだろう! さあ、今日こそデズニーに行っ
了




