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引きこもり卒業女子、最強AIと再び! 爆破計画少女と海底トンネル防衛戦  作者: あみれん


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10/21

第10話「限界」

五年前。

セレスティア王国とヴァルガード帝国――二つの島国は、大陸移動によって衝突寸前という前代未聞の危機に直面していた。

戦争か、国土消滅か――その瀬戸際で、ただ一人“夢の図書館”で出会った白髪の青年から「世界最強のAI《Air on G》」を託された少女がいた。


彼女の名はみお

引きこもりの女子高生だった彼女は、仲間や市井の人々との交流、そしてAIとの奇妙な信頼関係を経て、数々の妨害や裏切りを乗り越え、二国の衝突を阻止した。

あの日の潮の匂いも、青年が消える直前に見せた微笑も、今も彼女の胸に焼き付いている。


――そして現在。

22歳となった澪は、セレスティア政府の科学技術省に勤務し、新たな国家AI戦略プロジェクト《Affectis》に関わっている。

それは感情を読み取り、行動を予測する感生AI――防衛にも外交にも使えるが、使い方次第では危険な兵器ともなり得る代物だった。


海底トンネルの完成が近づき、両国の交流が加速する一方で、見えない火種が静かに燻り始める。

そして再び――潮の匂いが、濃くなる時が迫っていた。


本作は、前作『引きこもり女子高生、夢の図書館で手に入れたのは世界最強のAIでした』の五年後を舞台にした、完全続編である。

あの時の“選択”がもたらした未来で、澪は再び運命の渦に巻き込まれていく。

文化交流式典まで、あと四日。

夜の自室。澪はベッドの上で大の字になり、天井をじっと見つめていた。


「……寝られない」


布団にくるまっても、枕をぎゅうぎゅう押し潰しても、ぜんっぜん眠くならない。

理由はもちろん――


「ユナ……あの子、絶対なんかやらかす気でしょ……」


脳内でユナの笑顔とドローン撮影シーンがスローモーション再生される。その奥の、ほんの一瞬だけ覗いた影まで、フルHD画質で蘇る。

忘れろって? 無理無理。Affectisの画面でも「要注意マーク」がチカチカしてるのに。


――そのとき、不意に耳の奥で声がよみがえった。


『澪。――潮の匂いが強くなる時が、近い』


「……あの人……」


白髪の青年――Air on G。

最近、夢の中の図書館で会えてない。あの顔を見れば、ユナのことも相談できるのに。

もしかして、これはユナと関係ある暗示なのか?


考えれば考えるほど、頭が煮詰まっていく。

そして現実問題として、Affectisの解析精度じゃ、これ以上ユナの“真意”を引き出せない。

感情乖離スコアは高い。でも、犯罪意図と断定できる閾値には届かない。つまり――


「技術的にも、私の権限的にも……無理ゲー」


こうなったら上司に相談して、国家保安局に動いてもらうしかない。あと三日しかないんだし。



翌日、澪は意を決して上司のデスクへ。

仕事用の笑顔+冷静な口調でユナの件を報告。

しかし返ってきたのは、冷たい言葉だった。


「外部事案に確証なしで首を突っ込むのは危険だ。それに国際交流事業を混乱させるような真似は許されない」


ガラスみたいに冷え切った声。

澪の心はガチーンと凍った。


(あー……これ、完全に政治的配慮ってやつだ)


せっかくの勇気が、一蹴どころか真っ二つ。

でも、ここで引き下がったらユナが何をするか分からない。


その夜。

澪は自室でノートPCを開き、モニターの光に顔を照らされながら作戦を練っていた。

確証を掴むには……どうすれば……。

ポップアップするのは、資料、過去の記録、交流団メンバーのスケジュール……。


「うーん、こうなったら尾行? でも私、隠密行動レベルEだし……」

「いや、待て……聞き込み? いやいや、根拠なしでやったら職務規定アウト……」


頭の中で繰り広げられる、無限大のツッコミ合戦。

そのうち、まぶたが重くなっていく。

机の時計は、深夜をとうに回っていた。


――気がつくと、本の匂いがしていた。

澪は静かに目を開ける。そこは、いつもの夢の図書館。

高い天井まで届く本棚が、ゆったりと並んでいる。

ページをめくる音と、どこか懐かしい潮の香り。


そして――


「……来た……!」


白髪の青年が、棚の向こうから歩み出てくる。

その笑みは変わらず柔らかく、どこか切ない。

澪は息をのんだ。今度こそ、ユナのことを話す。

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